魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

第85話 素直になれば


永臣が作業を始めていると、明臣が篁一家と話し始めた。美桜はスマートフォンを操作して蓮や琴音達に解決した旨を伝えると、琴音から出雲が乗り込みに行ったよとメールが届いた。

さらに、蓮からは出雲が美桜のアルバイト先の人達を連れているとの情報をもらえた。美桜は出雲は何をやっているのよと微笑していると、外から何やら騒がしい音楽が聞こえてきた。

「もしかして、出雲かしら? 誰と来ているのかしら?」

美桜が出雲に電話をかけようとした時、椿から着信が入った。美桜は椿も出雲に協力をしているのかしらと思いながら、椿からの着信に出た。

「もしもーし。 さっき解決したって連絡したんだけど、もしかして皇家の家の側に来てる?」

椿にそう言うと、椿がそうだよと言う。そして、出雲は多分メール見てないと思うと言ってきた。

「何度も言って、メールも見せているんだけどそれは美桜からのメールじゃないって何度も言って聞かなくて……今喫茶猫娘の人達と一緒に皇家の玄関前にいるわ!」

椿のその言葉を聞くと、美桜は何かを閃いたようであった。

「分かった! ありがとう! 後は私が上手くやっておくわ!」

その言葉と共に美桜は、椿との通話を終えた。美桜は永臣に話しかけることにした。美桜から話しかけられた永臣は何かあったのかねと美桜に言葉を返す。すると、美桜は永臣に私を取り戻そうと友達がこの家に突っ込んでいきますと言った。

「もう解決したと思うが? その友達には伝えていないのかね?」

そう言われた美桜は、伝えましたが聞いてもらえなくてと返す。その言葉を聞いた永臣は、その友達は君のことが好きなんだなと言う。

「その友達は君のために動き、美桜さんを救おうと動いていたのですね」

美桜は永臣の言葉を聞くと、顔を紅く染めて両手を両頬に当てていた。その美桜の様子を見た明臣とマリアは、美桜にその友達のことが好きなんだねと話しかけた。

「わ、私はあいつのことなんて好きなはず……」

美桜が悶えながら明臣とマリアにどもりながら、そんなはずはないわと言うが、明臣とマリアは美桜にもう気がついているんじゃないのと優しい顔で言った。

「そ、そんなはずわ……いや、あるかもしれないわね……」

美桜は初めて自身で出雲のことが好きなのかもしれないと実感をした。そして、美桜のスマートフォンに出雲からすぐ助けてやるからなとメールが入った。

「永臣さん。 出雲が今からここに突入するみたいです……」

その美桜からの言葉を聞いた永臣は、スマートフォンでどこかに連絡をし始めた。

「そうだ。 家の警戒レベルを最低まで落としてくれ。 息子の友人の好きな子が助けに入るらしいんだ。 少しは協力してあげないとな」

そう永臣が連絡をすると側にいたメイドの女性が、家のセキュリティーが最低レベルに変更されましたと永臣に報告をした。永臣はその報告を聞くと、メイドの女性にありがとうと言った。永臣はこれからどうするのだと美桜に聞く。

「そうですね。 とりあえず、出雲は私のアルバイト先である喫茶猫娘の人達も巻き込んで、皇家に囚われている私を助け出すようです」

美桜がそう言うと、永臣は具体的な作戦などあるのかと聞いてくる。

「何も言っていませんでした。 多分喫茶猫娘の人達で騒いでいる時に、隙を見て助け出すようですね」

美桜のその言葉を聞くと、永臣はどうしたものかと額に手を置いて悩んでいた。その様子を見ていた美桜は、そうだわと突然声を上げた。

「出雲達にここに来てもらって、明臣達を祝ってもらいましょう!」

美桜がそう叫ぶと、永臣が好きな子の名前は出雲と言うんだねと微笑していた。雫は出雲と名前を言ってしまった美桜に対して、認めてしまいましたねと言う。

「ちょっ、えっ、ただ名前を言っただけで認めてなんかないわよ!」

顔を紅く染めて言うが、マリアが好きな人がいることは幸せですよと言ったことで、美桜は机に突っ伏してしまう。その様子を見ていたマリアは、素直になればいいのにと笑顔で笑っていた。

「美桜さんに好かれるその出雲さんって男性は、幸せ者ですね」

明臣がそう言いながら、マリアと顔を見合わせて笑っている。

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