魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

第66話 小テスト


美桜が朝食を食べ終える頃に、出雲が部屋に入ってきた。出雲はごめんと言って席に着くと自身の席に朝食は置かれていなかった。

「俺の朝食がない! 食べられないの!?」

出雲が絶望をしていると、雫が小さく笑いながら三個のサンドウィッチを皿に乗せて出雲の前に置いた。

「時間もないですし、このサンドウィッチで我慢してください」

雫お手製の色とりどりのサンドウィッチがそこにはあった。出雲はありがとうございますと言って勢いよく食べ始め、三分と掛からずに食べ終えた。出雲は美桜と共に学校へと行く。

今日は出雲が勉強をしていた小テストの日なので、前日に行った勉強会が活きる日である。出雲は美桜達との勉強会のおかげでかなり自信がついていた。出雲は道中にて美桜からテストに出そうな質問を受けながら通学をしていた。

「よし! 答えられた! ありがとう美桜!」

学校階段を上りながら美桜にありがとうと言う。出雲は小テストの時間まで休み時間に教科書を読むなどしていた。そして、ついに四時間目の魔法史の授業がやってきた。

「ついにテストだ! 頑張るぞ!」

出雲が意気込んでいると、後ろの席にいる椿が出雲の背中を軽く突いた。出雲は後ろを振り向いてどうしたのと椿に話しかけた。

「緊張しているんじゃないかと思ってね! 昨日あれだけ勉強したんだし、今日も休み時間とか全部勉強してたじゃない! もっと自信もっていいにょ!」

最後に椿は可愛く噛んだが、出雲にとって凄い励ましになった。椿は噛んじゃったと顔を紅くしているが、出雲は後ろを向いたまま椿の頭を撫でてありがとうと言った。そんな二人のやり取りを見ていた美桜は、出雲に椿の噛みを可愛く思っていないで前を向きなさいと言った。

「あ、ごめん。 もう先生来るよね」

出雲はそう言いながら前を向いて教師が来るのを待った。出雲が前を向いてから一分もかからずに教師が部屋に入ってきた。

「全員席に座ってるかな? 今日は先日伝えていた通り、小テストを行います」

出雲は途端に緊張をしてしまうが、椿に言われたことや美桜に教わったことを思い出して緊張が和らいだ。教師は前列の生徒に後ろの生徒達分のテスト用紙を渡し、後ろに回してと言った。

出雲にもテスト用紙回ってくると、紙を後ろにしたままにしておいてと教師が生徒達に言う。生徒達はその言葉に従って指示あるまで紙を裏返しにしていた。そして、全員に渡ったのを教師が確認をすると、試験を始めてくださいと教師が言った。

出雲達生徒はその指示のもと、紙を表にして試験問題を解き始める。授業時間全てを使ってのテストなので、小テストといってよいのか出雲には分からなかったが、それでも良い点数を取るぞと意気込んで臨む。

試験問題は問題文が書かれており、文章の途中が空欄となっているので答案用紙の下の部分にある選択肢から選んで書き込む選択肢問題と、問題文が書かれている中で問われていることを書く文章問題の二つがあった。

「教科書の初めの部分だなここは。 こっちは昨日やった中学校の魔法史の範囲だ……こっちは小学校の範囲」

出題部分が分かる程に覚えていた出雲は、ペンが走るように文字を書いていく出雲。問題を解いていくと楽しいと思うようになっていき、良い点数が取れそうだと確信していた。出雲以外にも美桜や蓮達も試験問題をスラスラと解いていた。しかし、椿は唸りながら問題を解き続けている。椿は頭を抱えて難しいと呟いていた。

「出雲達と勉強をしたのに! 全部解けない!」

椿は八割方は解けているが、残りの二割が解けないでいた。

「全く思い出せない……次のテストではちゃんと解けるようにしよう……」

椿はそう呟くと問題を解くのを止めて、外の景色を見始めた。良い天気だなと晴れて雲一つない快晴の空を見ていた。そして、授業が終わるチャイムが鳴ると教師が試験用紙を回収するぞと生徒達に言った。

生徒達は後ろの席から前に試験用紙を回していき、前列の生徒が教師に答案用紙を渡していた。出雲は試験が終わったと両腕を宙に上げて喜んでいた。出雲は休憩時間に美桜にありがとうや蓮達に助かったと言って回っていた。

「いやー。 皆のおかげで助かったよ! ありがとう!」

出雲の言葉に美桜や蓮達が、試験を乗り越えられたのは出雲の努力だよと返答していた。まだ魔法史のみの小テストだが、出雲はこの世界を勉強についていけるだろうと安心をしていた。

出雲達が楽しそうに話していると四時間目が終わったので昼休みに突入していることに琴音が気がついていた。琴音は出雲達に話しかけると、そうだったと全員が声をあげた。

「小テストを出雲が乗り越えたから、その喜びで昼休みに入っていたのを忘れてたよ!」

蓮がそう言うと、お昼を食べようと美桜が言った。出雲達は机をくっ付けて大きな机にすると、各々持ってきている弁当を食べることとなった。

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