魔王様は学校にいきたい!
また一緒に
楽しかった課外授業は今日でお終い。下級クラスの生徒達は、帰路へと就くべくデナリウス宮殿正面に集まっていた。
「見てください、こんがり日焼けして強くなりましたよ!」
「なぜ日焼けで強くなるのでしょう……それはそうと、サーシャはヒリヒリしないのですか?」
「まったくヒリヒリしません、なぜなら強くなったからです!」
「日焼けしてるのにヒリヒリしないなんて、ナターシャちゃんはズルいっす……」
なんとも見事な小麦色、ナターシャは制服を捲りあげ日焼けした肌を自慢している。捲りあげすぎてチラチラと際どいが、本人はまったく気にしていない様子。
「ギラッ、ギラッ! 漆黒に輝く肉体、これぞ芸術!」
「おいシャルル、眩しいから服を着てくれ」
「ムンッ! 称賛の言葉に感謝する、肉体も喜んでいるぞ!」
「誰も褒めていませんよ……」
まるで墨を塗ったかのよう、シャルルは日焼けし黒光りする肉体を自慢している。体格のよさも相まって、放つ威圧感は尋常ではない。
最後の最後まで下級クラスは賑やかだ、一方で大人達はゲッソリと疲れ果てていた。
「合同軍事演習の段取り、細かい点まで調整いただき助かりました。昨夜までの調整事項、必ずや父に伝えます」
「頼んだよアルフレッド王子、感謝の意も忘れずに伝えてくれ。そしてクリスティーナ王女、我が国との技術交流に応じてくれて感謝する」
「多くを……学ばせてもらいました……、こちらこそ……感謝いたします……」
「毎日遅くまで頑張っていたね、偉いよクリスティーナ」
「お兄様の方が……遅くまで……頑張っていたわ……」
フラム王とアルフレッド、そしてクリスティーナはそれぞれ夜遅くまで忙しく働いていた模様。三人揃って目の下はクマで真っ黒、寝不足でフラフラしている。
だがやり遂げた大人達の顔は、どこか晴れやかでもある。
「むううぅ、離れるのじゃ!」
「ほらエリッサ、離れてくださいですの!」
「絶対に嫌よ、ウルウルもティアお姉様もいかないで!」
大騒ぎしているのはウルリカ様、シャルロット、エリッサの三人だ。エリッサはお別れを拒むあまり、ウルリカ様から離れようとしないのである。両手両足をガッシリと絡ませ、ギュッと抱きついて動かない。
そんな様子を見かねたのか、フラム王はエリッサの元へ。
「こらエリッサ、いい加減にしておきなさい」
「でもでもだって!」
「恩人を困らせてはいけない、また会えるのだから我慢しなさい」
「ぐすんっ、分かりました……」
やんわりと叱られてしまい、エリッサは渋々ウルリカ様から離れる。途端にウルリカ様は地面へとベチャリ、抱き締められすぎてクタクタだ。
「ふへぇ……助かったのじゃ、ありがとうなのじゃ」
「いやいや、礼には及ばないよ」
「フラムだったかの、お主は善良で親切な人間じゃな。気に入ったのじゃ、助けてくれたお礼をするのじゃ!」
ウルリカ様はビュンと飛びあがり、補修中のデナリウス宮殿上空で制止。フワリと両手を天に掲げ、噴水のように魔力を吹きあげる。
「第七階梯! 創造魔法、デモニカ・クラフト!」
降り注ぐ魔力はデナリウス宮殿を包み、破壊の痕跡を悉く修復する。陽光に輝く白亜の外壁、汚れ一つないガラス窓、芸術的な噴水や水路。僅か数秒という短い間に、デナリウス宮殿は元の姿を取り戻したのだ。
「これで元通りなのじゃ!」
「うおおおっ、宮殿が! 自慢の宮殿が蘇った!」
フラム王の喜びようときたら、贈り物にはしゃぐ子供のよう。地上へと戻ったウルリカ様に駆け寄り、何度も頭を下げ大号泣である。
「ありがとう! 本当にありがとう!」
「うむ、気にしなくていいのじゃ!」
なんとも優しいウルリカ様、しかしよくよく思い出してみよう。宮殿を壊した犯人はミーアである、つまりウルリカ様は配下の後始末をしただけ。だがそんなことには誰も気づかず、その間にウルリカ様はパタパタとエリッサの元へ。
「エリエリと一緒で楽しい課外授業だったのじゃ、また一緒に遊ぼうなのじゃ!」
「きゃあっ、また一緒に遊びましょうね!」
ニパッと笑うウルリカ様は、その笑顔は輝く太陽よりも眩しい。こうしてウルリカ様は、最高の笑顔で南の国を後にしたのであった。
「見てください、こんがり日焼けして強くなりましたよ!」
「なぜ日焼けで強くなるのでしょう……それはそうと、サーシャはヒリヒリしないのですか?」
「まったくヒリヒリしません、なぜなら強くなったからです!」
「日焼けしてるのにヒリヒリしないなんて、ナターシャちゃんはズルいっす……」
なんとも見事な小麦色、ナターシャは制服を捲りあげ日焼けした肌を自慢している。捲りあげすぎてチラチラと際どいが、本人はまったく気にしていない様子。
「ギラッ、ギラッ! 漆黒に輝く肉体、これぞ芸術!」
「おいシャルル、眩しいから服を着てくれ」
「ムンッ! 称賛の言葉に感謝する、肉体も喜んでいるぞ!」
「誰も褒めていませんよ……」
まるで墨を塗ったかのよう、シャルルは日焼けし黒光りする肉体を自慢している。体格のよさも相まって、放つ威圧感は尋常ではない。
最後の最後まで下級クラスは賑やかだ、一方で大人達はゲッソリと疲れ果てていた。
「合同軍事演習の段取り、細かい点まで調整いただき助かりました。昨夜までの調整事項、必ずや父に伝えます」
「頼んだよアルフレッド王子、感謝の意も忘れずに伝えてくれ。そしてクリスティーナ王女、我が国との技術交流に応じてくれて感謝する」
「多くを……学ばせてもらいました……、こちらこそ……感謝いたします……」
「毎日遅くまで頑張っていたね、偉いよクリスティーナ」
「お兄様の方が……遅くまで……頑張っていたわ……」
フラム王とアルフレッド、そしてクリスティーナはそれぞれ夜遅くまで忙しく働いていた模様。三人揃って目の下はクマで真っ黒、寝不足でフラフラしている。
だがやり遂げた大人達の顔は、どこか晴れやかでもある。
「むううぅ、離れるのじゃ!」
「ほらエリッサ、離れてくださいですの!」
「絶対に嫌よ、ウルウルもティアお姉様もいかないで!」
大騒ぎしているのはウルリカ様、シャルロット、エリッサの三人だ。エリッサはお別れを拒むあまり、ウルリカ様から離れようとしないのである。両手両足をガッシリと絡ませ、ギュッと抱きついて動かない。
そんな様子を見かねたのか、フラム王はエリッサの元へ。
「こらエリッサ、いい加減にしておきなさい」
「でもでもだって!」
「恩人を困らせてはいけない、また会えるのだから我慢しなさい」
「ぐすんっ、分かりました……」
やんわりと叱られてしまい、エリッサは渋々ウルリカ様から離れる。途端にウルリカ様は地面へとベチャリ、抱き締められすぎてクタクタだ。
「ふへぇ……助かったのじゃ、ありがとうなのじゃ」
「いやいや、礼には及ばないよ」
「フラムだったかの、お主は善良で親切な人間じゃな。気に入ったのじゃ、助けてくれたお礼をするのじゃ!」
ウルリカ様はビュンと飛びあがり、補修中のデナリウス宮殿上空で制止。フワリと両手を天に掲げ、噴水のように魔力を吹きあげる。
「第七階梯! 創造魔法、デモニカ・クラフト!」
降り注ぐ魔力はデナリウス宮殿を包み、破壊の痕跡を悉く修復する。陽光に輝く白亜の外壁、汚れ一つないガラス窓、芸術的な噴水や水路。僅か数秒という短い間に、デナリウス宮殿は元の姿を取り戻したのだ。
「これで元通りなのじゃ!」
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