魔王様は学校にいきたい!
約束
ここは魔王城。
魔界の中心に聳え立つ魔の巣窟である。
数日前まで大勢の魔物で賑わっていた謁見の間、しかし今はガラリと寂しい空間が広がっているのみ。
集まっていた魔物達は魔界全土へと解散していた、未だ魔王城に残っている魔物は僅か五体である。
「あぁ、ボクもウルリカ様と遊びたかったです……」
どんよりと肩を落とし、思い出具現化装置をイジイジするエミリオ。
「アタイも城下町でお買い物したかったな……」
ぐでっと大の字に寝そべり、ぼんやり天井を眺め続けるミーア。
「オリヴィアカラ貰ッタクッキー、ナクナッテシマッタ……」
ションボリと巨体を丸め、尻尾をペタペタ上下させるドラルグ。
「ナターシャ……悪い男に絡まれていないだろうか……」
柱の陰で膝を抱え、保護者のようなことを呟くジュウベエ。
「抱っこ……抱っこ不足で死んじゃいそうだわぁ……」
どうやら抱っこの禁断症状に襲われているらしいヴァーミリア。
残っている五体とは、エミリオ、ミーア、ドラルグ、ジュウベエ、ヴァーミリアの大公達だ。楽しすぎる時間を過ごした余韻で、強烈な寂しさに苛まれているのである。
「何をしているのです、シャキッとしなさい!」
そこへ現れたのは六体目の大公ゼーファード。誰よりも寂しがっているかと思いきや、意外にも平静を保っていた。
「うるさいわねぇ、放っといてよぉ……」
「そうはいきません、我々には使命があるでしょう!」
「グルル、使命トハナンダ?」
注目の集まる中、ゼーファードはグッと拳を握ってみせる。
「私はゼノンと約束を交わしました、窮地には必ず馳せ参じると! 皆も友好を深めた人間と、何かしらの約束を交わしたのではないですか?」
「ああ……そうだ、確かに約束した! ナターシャに剣術の稽古をつけると、そして人間界の珍味を食べにいくと!」
「アタイだって約束した! 人間界の温泉に入って、それからシャルロットのお部屋で女子会するの!」
「その約束、今の我々に守れますか?」
「残念ながら守れないでしょうね、ボク達は自力で人間界へ渡れませんから」
エミリオの一言で空気はどんより沈んでしまう、一方でゼーファードの熱量は増すばかり。
「交わした約束を守らない、それは大公としてあるまじきです!」
「シカシ自力デ人間界ヘ渡レルノハウルリカ様ダケデアロウ」
「ならばウルリカ様に頼らず、我々の力のみで人間界へ渡る方法を探すべきなのです!」
「確かに……確かにそうですね、それでこそボク達のあるべき姿!」
「ゼーファードにしては珍しい、まともなこと言ってるよ!」
「グルルルッ、我モ弟子ノ成長ヲ確認シナケレバナラン!」
「ならば俺達のやることは一つ!」
「私達の力で人間界へ渡る方法を探すのよぉ!」
こうして交わした約束を力に変え、六体の大公爵は一致団結するのであった。
魔界の中心に聳え立つ魔の巣窟である。
数日前まで大勢の魔物で賑わっていた謁見の間、しかし今はガラリと寂しい空間が広がっているのみ。
集まっていた魔物達は魔界全土へと解散していた、未だ魔王城に残っている魔物は僅か五体である。
「あぁ、ボクもウルリカ様と遊びたかったです……」
どんよりと肩を落とし、思い出具現化装置をイジイジするエミリオ。
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ぐでっと大の字に寝そべり、ぼんやり天井を眺め続けるミーア。
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どうやら抱っこの禁断症状に襲われているらしいヴァーミリア。
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そこへ現れたのは六体目の大公ゼーファード。誰よりも寂しがっているかと思いきや、意外にも平静を保っていた。
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「グルル、使命トハナンダ?」
注目の集まる中、ゼーファードはグッと拳を握ってみせる。
「私はゼノンと約束を交わしました、窮地には必ず馳せ参じると! 皆も友好を深めた人間と、何かしらの約束を交わしたのではないですか?」
「ああ……そうだ、確かに約束した! ナターシャに剣術の稽古をつけると、そして人間界の珍味を食べにいくと!」
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