魔王様は学校にいきたい!
喜びの大乱舞
ここは魔王城。
魔界の中心に聳え立つ魔の巣窟である。
かつては大勢の魔物で賑わっていた謁見の間、しかし今はガラリと寂しい空間が広がっているのみ。
そんな謁見の間にただ一人、ポツリと佇む魔界の宰相ゼーファード。
「あぁ……ウルリカ様……」
どうやらウルリカ様恋しさに謁見の間を彷徨っている様子。グッタリ俯きトボトボと歩く姿は、なんとも悲哀に満ちている。
「ウルリカ様とお会い出来ない日々、これほどまでに辛いものだとは……。ウルリカ様の愛らしさ不足で私は死んでしまいそうです……。一目だけでも……一瞬だけでもウルリカ様にお会いしたい……」
虚空に向かってブツブツと呟きながら、フラフラ玉座へ近づいていく。いつもウルリカ様が座っていた玉座にベッタリと張りつき頬をスリスリ、ウルリカ様の名残を感じているのだろうか。それにしても薄暗い中で玉座に頬ずりする姿は、傍から見れば完全な奇行である。
「ウルリカ様……ああウルリカ様……っ」
誰もいない謁見の間で、ゼーファードは一人寂しく奇行に没頭する。いよいよウルリカ様不足で死ぬのではないかと思われたその時、謁見の間に大量の魔法陣が浮かびあがる。幾重にも連なった魔法陣は光の柱を作りだし、そして──。
── ズズンッ! ──
天地を揺るがす激しい衝撃、謁見の間を包む光の靄。
「今のはウルリカ様の時空間魔法、もしやウルリカ様のお帰り!? いやいや……ぬか喜びはやめましょう、クソ小悪魔の時と同じように虚しくなるだけです……」
思わず歓喜するゼーファードであったが、すぐに冷静さを取り戻す。アルベンス伯爵が魔界へ送られてきた時のことを思い出しているのだ。
そんなゼーファードの耳に届く、元気いっぱいの可愛らしい声。
「うむ、魔界へ到着なのじゃ!」
「い、今の声はまさか!?」
「妾の魔王城なのじゃ!」
「うっぷ……気持ち悪いですわ……」
「ダメです、何度経験しても慣れません……」
「はうぅ……目が回ります……」
光の靄を潜り抜け姿を現したウルリカ様。
続いてオリヴィア、シャルロット、ナターシャの三人もフラフラと現れる、どうやら時空間魔法に酔ってしまったらしい。
「ぐっ……」
ゼノン王にいたってはバタリとその場に倒れてしまう、徹夜明けのゼノン王は時空間魔法の衝撃に耐えられなかったようだ。
「久しぶりの魔王城じゃな、懐かしいのじゃ……ふむ、ゼファなのじゃ?」
「ウふ……っ!?」
ウルリカ様と目があった瞬間、ゼーファードは全身から悪魔的な魔力を迸らせる。よく見るとドバドバ泣いている様子、なんとも異様な大号泣である。
「ゼファ? どうしたのじゃ?」
「うおおぉーっ! ウルリカ様だぁーっ!!」
次の瞬間ゼーファードは、ビョンと飛びあがり縦横無尽に謁見の間を乱舞する。炸裂する魔力は第七階梯魔法に匹敵するほど、喜びの大乱舞により魔王城はグラグラと揺れる始末。
「これこれゼファよ、落ちつくのじゃ」
「ふお! ふお! ふぬおぉぉーっ!!」
ウルリカ様に宥められるも、ゼーファードの興奮は一向に収まらない。魔王城に、いや魔界全土に響き渡るゼーファードの大絶叫。
「ふーむ、まったく困ったゼファなのじゃ」
何はともあれウルリカ様達は、無事魔界へと到着したのであった。
魔界の中心に聳え立つ魔の巣窟である。
かつては大勢の魔物で賑わっていた謁見の間、しかし今はガラリと寂しい空間が広がっているのみ。
そんな謁見の間にただ一人、ポツリと佇む魔界の宰相ゼーファード。
「あぁ……ウルリカ様……」
どうやらウルリカ様恋しさに謁見の間を彷徨っている様子。グッタリ俯きトボトボと歩く姿は、なんとも悲哀に満ちている。
「ウルリカ様とお会い出来ない日々、これほどまでに辛いものだとは……。ウルリカ様の愛らしさ不足で私は死んでしまいそうです……。一目だけでも……一瞬だけでもウルリカ様にお会いしたい……」
虚空に向かってブツブツと呟きながら、フラフラ玉座へ近づいていく。いつもウルリカ様が座っていた玉座にベッタリと張りつき頬をスリスリ、ウルリカ様の名残を感じているのだろうか。それにしても薄暗い中で玉座に頬ずりする姿は、傍から見れば完全な奇行である。
「ウルリカ様……ああウルリカ様……っ」
誰もいない謁見の間で、ゼーファードは一人寂しく奇行に没頭する。いよいよウルリカ様不足で死ぬのではないかと思われたその時、謁見の間に大量の魔法陣が浮かびあがる。幾重にも連なった魔法陣は光の柱を作りだし、そして──。
── ズズンッ! ──
天地を揺るがす激しい衝撃、謁見の間を包む光の靄。
「今のはウルリカ様の時空間魔法、もしやウルリカ様のお帰り!? いやいや……ぬか喜びはやめましょう、クソ小悪魔の時と同じように虚しくなるだけです……」
思わず歓喜するゼーファードであったが、すぐに冷静さを取り戻す。アルベンス伯爵が魔界へ送られてきた時のことを思い出しているのだ。
そんなゼーファードの耳に届く、元気いっぱいの可愛らしい声。
「うむ、魔界へ到着なのじゃ!」
「い、今の声はまさか!?」
「妾の魔王城なのじゃ!」
「うっぷ……気持ち悪いですわ……」
「ダメです、何度経験しても慣れません……」
「はうぅ……目が回ります……」
光の靄を潜り抜け姿を現したウルリカ様。
続いてオリヴィア、シャルロット、ナターシャの三人もフラフラと現れる、どうやら時空間魔法に酔ってしまったらしい。
「ぐっ……」
ゼノン王にいたってはバタリとその場に倒れてしまう、徹夜明けのゼノン王は時空間魔法の衝撃に耐えられなかったようだ。
「久しぶりの魔王城じゃな、懐かしいのじゃ……ふむ、ゼファなのじゃ?」
「ウふ……っ!?」
ウルリカ様と目があった瞬間、ゼーファードは全身から悪魔的な魔力を迸らせる。よく見るとドバドバ泣いている様子、なんとも異様な大号泣である。
「ゼファ? どうしたのじゃ?」
「うおおぉーっ! ウルリカ様だぁーっ!!」
次の瞬間ゼーファードは、ビョンと飛びあがり縦横無尽に謁見の間を乱舞する。炸裂する魔力は第七階梯魔法に匹敵するほど、喜びの大乱舞により魔王城はグラグラと揺れる始末。
「これこれゼファよ、落ちつくのじゃ」
「ふお! ふお! ふぬおぉぉーっ!!」
ウルリカ様に宥められるも、ゼーファードの興奮は一向に収まらない。魔王城に、いや魔界全土に響き渡るゼーファードの大絶叫。
「ふーむ、まったく困ったゼファなのじゃ」
何はともあれウルリカ様達は、無事魔界へと到着したのであった。
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