魔王様は学校にいきたい!
魔王と魔人
「退屈しておったからの、憂さ晴らしに少し遊んでやるのじゃ!」
八重歯を覗かせ好戦的に笑うウルリカ様、可愛らしくも迫力に満ちた恐るべき笑顔である。
「なんという威圧感……だが!」
「「「「「数の力で押し潰しせば問題ない!」」」」」
南ディナール王国の兵士達は一斉にウルリカ様へと襲いかかる。僅かな乱れすらない全方位からの同時攻撃、ラドックスの精神侵食は完璧とも言える連携を生み出していた。
にもかかわらずウルリカ様は余裕綽々、なんなら攻撃を待っている様子。むしろ慌てているのはシャルロットやアルフレッドの方だ。
「どうなっている? なぜ南ディナール王国の兵士達はウルウルを攻撃する!?」
「我が国の兵士達は敵に操られているの、私やクリスティーナ王女も彼らに……うぅ……」
「エリッサ大丈夫?」
「ありがとうシャルロット、でも私は大丈夫よ」
兵士達から受けた暴力を思い出しているのだろう。声と体を小刻みに震わせ、しかしエリッサは戦況から目を離さない。
「彼らは命を懸けて南ディナール王国に仕えてくれた兵士達、南ディナール王国のために戦ってくれた兵士達なの。私は王族として彼らの最期を見届けなくてはならない、すでに命は尽きていようと見届けなくてはならないの……」
「うむ!」
エリッサの言葉を聞き、ポンと手を叩くウルリカ様。
「すでに命は尽きておると言ったな、つまりこの者達は死んでおるということじゃな。どうりで生の気配を感じぬはずじゃ」
「「「「「クフフッ、これぞ私の精神侵食! 死者すら操る至高の魔法です!」」」」」
「ふむふむ……なるほどなのじゃ、大方の仕組みは理解したのじゃ」
「「「「「仕組みは理解しただと? この短期間で理解など出来るはず──」」」」」
「寄生虫のような魔法じゃな」
「「「「「──き、寄生虫だと!?」」」」」
自慢満々なラドックスに対して、ウルリカ様の態度はこの上なくぞんざい。挑発的な言動でラドックスを怒らせ遊んでいるかのよう。
「しかしまあ、死してなお操られるのは辛かろうなのじゃ」
次の瞬間ウルリカ様の身体は漆黒の霧へと変化する。
「すぐ楽にしてやるのじゃ」
霧は瞬く間に広がり、洞窟の暗闇を黒く塗り潰す。狭い洞窟内に逃げる場所など存在しない、南ディナール王国の兵士達は成す術もなく飲み込まれていく。
「「「「「おぉ……お……」」」」」
僅かに聞こえた兵士達の断末魔、そして数秒間の沈黙。漆黒の霧は渦を巻きウルリカ様の身体へと収束する。
「なっ、兵士達はどこへ!?」
「これ以上お主に操られぬよう、妾の魔力で分解したのじゃ」
霧に飲まれた南ディナール王国の兵士達は、跡形もなく消え去っていた。
残されたラドックスの個体はハミルカルのみ。ここまで冷静さを保っていたラドックスも、流石に焦りの表情を見せる。
「さて、お主はエリッサじゃったな?」
「は、はいっ」
「残ったあの者も操られておるのじゃな?」
「そうよ、でもハミルカルは──」
「生きたまま操られておるのじゃろう?」
「──えっ、どうして分かるの?」
「あの者からは生の気配を感じるからの、まだ助かるのじゃ」
「本当に? 本当にハミルカルは助かるの?」
「うむ、どうとでも出来るのじゃ」
「だったらお願い、どうかハミルカルを助けてください!」
必死に縋るエリッサの声、その声はラドックスに冷静さを取り戻させる。
「クフフフッ、私への攻撃はハミルカルへの攻撃と同義! さあどうしますかね、手も足も出せないでしょう?」
「言ったはずじゃ、どうとでも出来るのじゃ」
「ハッタリは通用しませんよ!」
「ふーむ」
勝ち誇るラドックスを無視して、ウルリカ様はキョロキョロと周囲に目を配る。
「ここは少し狭いのじゃ、場所を移すのじゃ」
ウルリカ様を中心に浮かびあがる大量の魔法陣、そして──。
「時空間魔法なのじゃ!」
眩い時空間魔法の光が、洞窟の暗闇を白く塗り潰す。
八重歯を覗かせ好戦的に笑うウルリカ様、可愛らしくも迫力に満ちた恐るべき笑顔である。
「なんという威圧感……だが!」
「「「「「数の力で押し潰しせば問題ない!」」」」」
南ディナール王国の兵士達は一斉にウルリカ様へと襲いかかる。僅かな乱れすらない全方位からの同時攻撃、ラドックスの精神侵食は完璧とも言える連携を生み出していた。
にもかかわらずウルリカ様は余裕綽々、なんなら攻撃を待っている様子。むしろ慌てているのはシャルロットやアルフレッドの方だ。
「どうなっている? なぜ南ディナール王国の兵士達はウルウルを攻撃する!?」
「我が国の兵士達は敵に操られているの、私やクリスティーナ王女も彼らに……うぅ……」
「エリッサ大丈夫?」
「ありがとうシャルロット、でも私は大丈夫よ」
兵士達から受けた暴力を思い出しているのだろう。声と体を小刻みに震わせ、しかしエリッサは戦況から目を離さない。
「彼らは命を懸けて南ディナール王国に仕えてくれた兵士達、南ディナール王国のために戦ってくれた兵士達なの。私は王族として彼らの最期を見届けなくてはならない、すでに命は尽きていようと見届けなくてはならないの……」
「うむ!」
エリッサの言葉を聞き、ポンと手を叩くウルリカ様。
「すでに命は尽きておると言ったな、つまりこの者達は死んでおるということじゃな。どうりで生の気配を感じぬはずじゃ」
「「「「「クフフッ、これぞ私の精神侵食! 死者すら操る至高の魔法です!」」」」」
「ふむふむ……なるほどなのじゃ、大方の仕組みは理解したのじゃ」
「「「「「仕組みは理解しただと? この短期間で理解など出来るはず──」」」」」
「寄生虫のような魔法じゃな」
「「「「「──き、寄生虫だと!?」」」」」
自慢満々なラドックスに対して、ウルリカ様の態度はこの上なくぞんざい。挑発的な言動でラドックスを怒らせ遊んでいるかのよう。
「しかしまあ、死してなお操られるのは辛かろうなのじゃ」
次の瞬間ウルリカ様の身体は漆黒の霧へと変化する。
「すぐ楽にしてやるのじゃ」
霧は瞬く間に広がり、洞窟の暗闇を黒く塗り潰す。狭い洞窟内に逃げる場所など存在しない、南ディナール王国の兵士達は成す術もなく飲み込まれていく。
「「「「「おぉ……お……」」」」」
僅かに聞こえた兵士達の断末魔、そして数秒間の沈黙。漆黒の霧は渦を巻きウルリカ様の身体へと収束する。
「なっ、兵士達はどこへ!?」
「これ以上お主に操られぬよう、妾の魔力で分解したのじゃ」
霧に飲まれた南ディナール王国の兵士達は、跡形もなく消え去っていた。
残されたラドックスの個体はハミルカルのみ。ここまで冷静さを保っていたラドックスも、流石に焦りの表情を見せる。
「さて、お主はエリッサじゃったな?」
「は、はいっ」
「残ったあの者も操られておるのじゃな?」
「そうよ、でもハミルカルは──」
「生きたまま操られておるのじゃろう?」
「──えっ、どうして分かるの?」
「あの者からは生の気配を感じるからの、まだ助かるのじゃ」
「本当に? 本当にハミルカルは助かるの?」
「うむ、どうとでも出来るのじゃ」
「だったらお願い、どうかハミルカルを助けてください!」
必死に縋るエリッサの声、その声はラドックスに冷静さを取り戻させる。
「クフフフッ、私への攻撃はハミルカルへの攻撃と同義! さあどうしますかね、手も足も出せないでしょう?」
「言ったはずじゃ、どうとでも出来るのじゃ」
「ハッタリは通用しませんよ!」
「ふーむ」
勝ち誇るラドックスを無視して、ウルリカ様はキョロキョロと周囲に目を配る。
「ここは少し狭いのじゃ、場所を移すのじゃ」
ウルリカ様を中心に浮かびあがる大量の魔法陣、そして──。
「時空間魔法なのじゃ!」
眩い時空間魔法の光が、洞窟の暗闇を白く塗り潰す。
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