魔王様は学校にいきたい!
出発
同盟の持ち越しから三日。
この日、南ディナール王国の元老院はロームルス城を出発しようとしていた。ゼノン王の提案通り、南ディナール王国へ帰国する運びとなったのである。
ロームルス城前に並ぶ、南ディナール王国の国旗を掲げた馬車の集団。出発を目前に控え、ロムルス王国の王族一家と南ディナール王国の元老院は別れの挨拶を交わしている。
「それでは元老院の皆様、道中お気をつけて」
「アルフレッド王子、この度は色々と申し訳ございませんでした。ご丁寧にお招きいただいたにもかかわらず……」
元老院の面々は揃ってペコペコと頭を下げ続けている。一方ロムルス王国側の人間は嫌な顔一つ見せない、いたって穏やかなものである。
「気にする必要はない、こういうこともある」
「エリッサ様の態度や放言についても、なんとお詫び申しあげればよいことか……」
「エリッサ王女はまだ子供よ、我儘なくらいで丁度いいわ」
「そうね……元気な証拠……」
「そう言っていただけると非常に助かります」
ゼノン王、ヴィクトリア女王、アルフレッド、そしてクリスティーナの寛容な態度に、元老院の面々はホッと胸を撫でおろす。
「とはいえ同盟締結を諦めたわけではない、近いうちに必ず同盟を結びたいと考えている」
「それはもちろん、私共も同じ考えでございます。ディナール王も同意してくださるに違いありません」
「今度は我々の方から南ディナール王国を訪問するつもりだ」
「ありがとうございます、その際は大いに歓迎させていただきます」
ゼノン王と元老院の代表は、再会を誓い固く握手を交わす。同盟こそ結べなかったものの、両国の関係は変わらず良好だ。
「ところで……エリッサ王女は……?」
「すでに馬車へ乗車しております、引き籠ったまま顔を見せようともせず……」
「あらそう、出発前にご挨拶をしておきたかったわね」
「そういえば……私……この三日間で一度も……エリッサ王女の顔……見てない……」
「いやはや本当に申し訳ございません、はぁ……」
「大丈夫よ、謝らなくていいわ。南ディナール王国での再会を楽しみにしてると、そう伝えてもらえるかしら」
「かしこまりました」
一通り挨拶を済ませたところで、見計らったかのように出発の準備が整う。ズラリと整列する南ディナール王国の馬車、その周囲をロムルス王国の騎兵隊が囲む。
「そろそろ出発だな、国境まではロムルス王国から護衛をつけよう」
「私も同行する……よろしく……」
「クリスティーナ王女までご同行いただけるとは、ご丁寧にありがとうございます」
「なにかあっては国家間題だからな、ハハハッ」
「おやおや、そのような大ごとにはなりませんよ」
冗談交じりの挨拶を最後に、元老院の面々は馬車へと乗り込んでいく。
「ではクリスティーナよ、国境までの同行を頼んだぞ」
「よろしくねクリスティーナ」
「うん……任せて……」
「居眠りしちゃダメだよ? しっかりと南ディナール王国の皆様を見送るんだよ?」
「もう……お兄様……、子供扱い……しないで……」
微笑ましい兄妹のやり取りを交わし、クリスティーナも馬車へと乗り込む。
こうして南ディナール王国の元老院とクリスティーナは、ロームルス城を出発したのであった。
この日、南ディナール王国の元老院はロームルス城を出発しようとしていた。ゼノン王の提案通り、南ディナール王国へ帰国する運びとなったのである。
ロームルス城前に並ぶ、南ディナール王国の国旗を掲げた馬車の集団。出発を目前に控え、ロムルス王国の王族一家と南ディナール王国の元老院は別れの挨拶を交わしている。
「それでは元老院の皆様、道中お気をつけて」
「アルフレッド王子、この度は色々と申し訳ございませんでした。ご丁寧にお招きいただいたにもかかわらず……」
元老院の面々は揃ってペコペコと頭を下げ続けている。一方ロムルス王国側の人間は嫌な顔一つ見せない、いたって穏やかなものである。
「気にする必要はない、こういうこともある」
「エリッサ様の態度や放言についても、なんとお詫び申しあげればよいことか……」
「エリッサ王女はまだ子供よ、我儘なくらいで丁度いいわ」
「そうね……元気な証拠……」
「そう言っていただけると非常に助かります」
ゼノン王、ヴィクトリア女王、アルフレッド、そしてクリスティーナの寛容な態度に、元老院の面々はホッと胸を撫でおろす。
「とはいえ同盟締結を諦めたわけではない、近いうちに必ず同盟を結びたいと考えている」
「それはもちろん、私共も同じ考えでございます。ディナール王も同意してくださるに違いありません」
「今度は我々の方から南ディナール王国を訪問するつもりだ」
「ありがとうございます、その際は大いに歓迎させていただきます」
ゼノン王と元老院の代表は、再会を誓い固く握手を交わす。同盟こそ結べなかったものの、両国の関係は変わらず良好だ。
「ところで……エリッサ王女は……?」
「すでに馬車へ乗車しております、引き籠ったまま顔を見せようともせず……」
「あらそう、出発前にご挨拶をしておきたかったわね」
「そういえば……私……この三日間で一度も……エリッサ王女の顔……見てない……」
「いやはや本当に申し訳ございません、はぁ……」
「大丈夫よ、謝らなくていいわ。南ディナール王国での再会を楽しみにしてると、そう伝えてもらえるかしら」
「かしこまりました」
一通り挨拶を済ませたところで、見計らったかのように出発の準備が整う。ズラリと整列する南ディナール王国の馬車、その周囲をロムルス王国の騎兵隊が囲む。
「そろそろ出発だな、国境まではロムルス王国から護衛をつけよう」
「私も同行する……よろしく……」
「クリスティーナ王女までご同行いただけるとは、ご丁寧にありがとうございます」
「なにかあっては国家間題だからな、ハハハッ」
「おやおや、そのような大ごとにはなりませんよ」
冗談交じりの挨拶を最後に、元老院の面々は馬車へと乗り込んでいく。
「ではクリスティーナよ、国境までの同行を頼んだぞ」
「よろしくねクリスティーナ」
「うん……任せて……」
「居眠りしちゃダメだよ? しっかりと南ディナール王国の皆様を見送るんだよ?」
「もう……お兄様……、子供扱い……しないで……」
微笑ましい兄妹のやり取りを交わし、クリスティーナも馬車へと乗り込む。
こうして南ディナール王国の元老院とクリスティーナは、ロームルス城を出発したのであった。
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