魔王様は学校にいきたい!
世にも恐ろしいお茶会
ここは魔王城。
魔界の中心に建つ巨大な城である。
ウルリカ様のいない魔王城は寂し気な雰囲気に包まれていた。かつては多くの魔物で溢れていた謁見の間も、今やガラリと静まり返っている。
そんな謁見の間に浮かびあがる大量の魔法陣。幾重にも重なった魔法陣は、謁見の間を明るく照らし──。
──ズズンッ!!──。
迸る衝撃、溢れ出る魔力。
舞い踊る光の靄を潜り抜け、姿を現す絶世の美女。
「無事に到着ねぇ」
魔界へと帰ってきたヴァーミリアは、休む間もなく周囲へ視線を光らせる。
「分かっているのよぉ、出てきなさいよぉ」
「……お帰りなさいヴァーミリア」
暗闇を割いて現れたのは、宰相ゼーファードを筆頭とする大公達である。
今までも人間界に召喚された大公は、他の大公達からボコボコにされてきた。強すぎるウルリカ様愛は、大公達を嫉妬に狂わせてきたのである。
「なぜ……なぜウルリカ様は私を呼んでくださらない……」
ゼーファードは嫉妬の炎を揺らめかせ、じわじわとヴァーミリアに迫っていく。
「さてヴァーミリア……極刑のお時間ですよ……」
「あらぁ、極刑なんてお断りよぉ」
「残念ながら極刑は確定です……これは宰相命令です……」
「どうして極刑に処されなければならないのぉ」
「我々を差し置き、ウルリカ様と楽しい時間を過ごしてきたのでしょう? くっ……くク……、クソ羨ましいなぁ!!」
ドロドロと殺気を撒き散らし、どす黒い嫉妬の涙を流すゼーファード。とても正気とは思えない形相だ。
「ふぅん」
尋常ならざる殺気を浴びながら、しかしヴァーミリアは余裕な態度を崩さない。ニッコリと笑顔を浮かべ、贈り物の箱をパカッと開ける。
「これを御覧なさいよぉ」
「……それは?」
「人間界で貰った贈り物よぉ、お紅茶と珍味とお菓子の詰めあわせねぇ」
「ホホウ? 人間界ヲ楽シンダ自慢デモシタイノカ?」
「許せませんね、百万回の極刑ですね」
「話は最後まで聞きなさいよぉ、このお菓子は手作りなのよぉ」
「手作りだからどうした……おい待てまさか!?」
「このお菓子、ウルリカ様も作るのを手伝ってくれたらしいわぁ。つまりウルリカ様の手作りお菓子ってことねぇ」
「「「「「ざわ……っ」」」」」
“ウルリカ様の手作りお菓子”と聞き、大公達に電流走る。
「ウルリカ様の手作りお菓子! アタイ食べたい!」
「控えろミーア、あのお菓子は俺のものだ!」
「グルルッ、我ノモノニ決マッテイルダロウ!」
「ウルリカ様の手作りお菓子はボクのものです、邪魔する者は銀星術式で消し飛ばしますよ」
色めき立つ大公達、もはやヴァーミリアへの嫉妬など二の次である。
「う……うおぉ……、ウルリカ様の手作りお菓子……だと……っ!?」
ゼーファードはダラダラと涎を垂らし、グネグネと上半身を捻じり回している。その様子はやはり正気と思えない。
そんな中ヴァーミリアは、いたって冷静に一つの提案する。
「みんなで仲よく食べようと思っていたのよぉ、お紅茶と珍味とお菓子でお茶会よぉ」
「ナニ? 仲ヨクダト?」
「その方がウルリカ様も喜んでくれると思わないかしらぁ?」
「「「「「ざわ……っ」」」」」
“ウルリカ様も喜んでくれる”と聞き、再び大公達に電流走る。
「確かにウルリカ様は喜んでくださるでしょう……くっ、ならば仕方ありません。ヴァーミリアの極刑は中止です、そんなことよりお茶会の準備です! これは宰相命令ですよ!」
「ヨシ任セロ! 一瞬デ準備ヲ整エテヤロウ!」
「ちょっとドラルグ、そんなデカい図体で準備なんて出来ないでしょ! ここはアタイに任せときなって!」
「止せミーア、お前もドラルグと変わらないくらいデカいだろう!」
「そんなことを言っている間に準備完了です!」
「「「でかしたエミリオ!」」」
大公達の迅速すぎる行動によって、一瞬の間にお茶会の準備完了だ。
「ふぅ、なんとか極刑は免れたわねぇ……ありがとうウルリカ様……」
「おやヴァーミリア、なにか言いましたか?」
「なんでもないわぁ、それよりお茶会を楽しみましょ」
こうして開かれた大公達の楽しいお茶会。
最強の魔物六体によるお茶会は、他の魔物達から見ると、世にも恐ろしいお茶会にしか見えなかったという。
魔界の中心に建つ巨大な城である。
ウルリカ様のいない魔王城は寂し気な雰囲気に包まれていた。かつては多くの魔物で溢れていた謁見の間も、今やガラリと静まり返っている。
そんな謁見の間に浮かびあがる大量の魔法陣。幾重にも重なった魔法陣は、謁見の間を明るく照らし──。
──ズズンッ!!──。
迸る衝撃、溢れ出る魔力。
舞い踊る光の靄を潜り抜け、姿を現す絶世の美女。
「無事に到着ねぇ」
魔界へと帰ってきたヴァーミリアは、休む間もなく周囲へ視線を光らせる。
「分かっているのよぉ、出てきなさいよぉ」
「……お帰りなさいヴァーミリア」
暗闇を割いて現れたのは、宰相ゼーファードを筆頭とする大公達である。
今までも人間界に召喚された大公は、他の大公達からボコボコにされてきた。強すぎるウルリカ様愛は、大公達を嫉妬に狂わせてきたのである。
「なぜ……なぜウルリカ様は私を呼んでくださらない……」
ゼーファードは嫉妬の炎を揺らめかせ、じわじわとヴァーミリアに迫っていく。
「さてヴァーミリア……極刑のお時間ですよ……」
「あらぁ、極刑なんてお断りよぉ」
「残念ながら極刑は確定です……これは宰相命令です……」
「どうして極刑に処されなければならないのぉ」
「我々を差し置き、ウルリカ様と楽しい時間を過ごしてきたのでしょう? くっ……くク……、クソ羨ましいなぁ!!」
ドロドロと殺気を撒き散らし、どす黒い嫉妬の涙を流すゼーファード。とても正気とは思えない形相だ。
「ふぅん」
尋常ならざる殺気を浴びながら、しかしヴァーミリアは余裕な態度を崩さない。ニッコリと笑顔を浮かべ、贈り物の箱をパカッと開ける。
「これを御覧なさいよぉ」
「……それは?」
「人間界で貰った贈り物よぉ、お紅茶と珍味とお菓子の詰めあわせねぇ」
「ホホウ? 人間界ヲ楽シンダ自慢デモシタイノカ?」
「許せませんね、百万回の極刑ですね」
「話は最後まで聞きなさいよぉ、このお菓子は手作りなのよぉ」
「手作りだからどうした……おい待てまさか!?」
「このお菓子、ウルリカ様も作るのを手伝ってくれたらしいわぁ。つまりウルリカ様の手作りお菓子ってことねぇ」
「「「「「ざわ……っ」」」」」
“ウルリカ様の手作りお菓子”と聞き、大公達に電流走る。
「ウルリカ様の手作りお菓子! アタイ食べたい!」
「控えろミーア、あのお菓子は俺のものだ!」
「グルルッ、我ノモノニ決マッテイルダロウ!」
「ウルリカ様の手作りお菓子はボクのものです、邪魔する者は銀星術式で消し飛ばしますよ」
色めき立つ大公達、もはやヴァーミリアへの嫉妬など二の次である。
「う……うおぉ……、ウルリカ様の手作りお菓子……だと……っ!?」
ゼーファードはダラダラと涎を垂らし、グネグネと上半身を捻じり回している。その様子はやはり正気と思えない。
そんな中ヴァーミリアは、いたって冷静に一つの提案する。
「みんなで仲よく食べようと思っていたのよぉ、お紅茶と珍味とお菓子でお茶会よぉ」
「ナニ? 仲ヨクダト?」
「その方がウルリカ様も喜んでくれると思わないかしらぁ?」
「「「「「ざわ……っ」」」」」
“ウルリカ様も喜んでくれる”と聞き、再び大公達に電流走る。
「確かにウルリカ様は喜んでくださるでしょう……くっ、ならば仕方ありません。ヴァーミリアの極刑は中止です、そんなことよりお茶会の準備です! これは宰相命令ですよ!」
「ヨシ任セロ! 一瞬デ準備ヲ整エテヤロウ!」
「ちょっとドラルグ、そんなデカい図体で準備なんて出来ないでしょ! ここはアタイに任せときなって!」
「止せミーア、お前もドラルグと変わらないくらいデカいだろう!」
「そんなことを言っている間に準備完了です!」
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大公達の迅速すぎる行動によって、一瞬の間にお茶会の準備完了だ。
「ふぅ、なんとか極刑は免れたわねぇ……ありがとうウルリカ様……」
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