魔王様は学校にいきたい!
勝利の咆哮
町を襲った吸血鬼はシャルロット達の活躍によって討伐された、しかしロアーナの町は依然として危機的状況に陥っている。
「「「「「ギイィーッ!」」」」」
インプの群れは数を増やしながら、住人を襲い続けているのである。にもかかわらず今のところ住人に被害は及んでいない。
シャルル、ヘンリー、ベッポの三人が、見事な立ち回りで住人を守り抜いているのである。
「ベッポ! 西側を煙で塞いでください!」
「よし、任せろ!」
「シャルル! そちらを片づけたら正面に突撃です!」
「承知した! うおぉぉーっ!!」
ベッポは赤色の煙を撒いてインプをかく乱し、シャルルは筋力増強魔法による突撃を繰り返す。ヘンリーはシャルルとベッポに指示を出しながら、光魔法でインプの群れを牽制する。
絶望的な数の差にもかかわらず、インプの群れを住人に近づけさせない。それぞれの強みを最大限に活かした見事な戦い方である。しかし──。
「くそっ、キリがないぜ!」
「倒しても倒しても! 次から次へと湧いてくるぞ!」
「どうするヘンリー! これ以上は抑えられないぞ!」
あまりにもインプの数が多いのである。
一体倒せば二体現れ、二体倒せば四体現れる。数を増していくインプの群れを相手に、流石のヘンリーも困り果ててしまう。
「このままではジリ貧ですね、ここは撤退も視野に入れるべきでしょうね」
「なっ、撤退だと!? 魔物の群れを前に逃げ出すというのか!」
「しかしボク達の体力がもちません。住人の避難が完了したら、撤退を開始しましょう」
「くっ……致し方ない!」
戦況を考慮してヘンリーは撤退を判断する。住人の避難を最優先目標とした適格な判断だろう、シャルルも渋々ながらヘンリーの判断に納得する。
「ちっ、間に合わないか……それとも煙に気づかなかったのか……」
そんな中、なにやら意味深なことを呟くベッポ。悔しそうな表情で空を見あげた、その時──。
「クオォ──……」
空に響く甲高い鳴き声。
赤い煙を切り裂いて、巨大な影が姿を現す。
「グオォォッ!」
真紅のうろこに覆われた巨体、ギラリと光る鋭い爪と牙。空を舞う真紅の影に向かい、ベッポは高々と拳を振りあげる。
「待ってたぜアグニス!」
「グルオォォッ!」
ベッポの相棒であるレッサードラゴン、アグニスが飛来したのである。
「ようやく来てくれましたか!」
「うおぉっ! 待っていたぞアグニスよ!」
「よく目印に気づいてくれた、流石アグニスだぜ!」
実は先ほどからベッポが撒いていた赤色の煙は、インプをかく乱するためのものではなく、アグニスを呼び寄せるための目印だったのである。
アグニスの参戦によってついに戦力は整った。これを好機と見たヘンリーは、一気に反転し攻勢をかける。
「今こそ攻め時ですね! 畳みかけてください!」
「群れているインプ共は俺とアグニスに任せろ!」
「よし、群れからはぐれたインプは自分が対処しよう!」
「いくぜアグニス! インプ共を焼き尽くせ!」
「グルオォッ……グルオォォーッ!!」
そして放たれる炎のブレス。渦巻く灼熱の炎は、ウゾウゾと湧き続けるインプの群れを一飲みにしてしまう。
「「「「「ギイ……ィ……」」」」」
炎に飲まれたインプは骨すら残らない。あれだけ数の多かったインプの群れは、あっという間に灰となって散ってしまった。
群れからはぐれていたインプもシャルルによって討伐され、町を襲ったインプは完全に消滅した。
「よっしゃ! やったぜアグニス!」
「グオォッ! グオォォーッ!!」
「素晴らしい威力でした、おかげで助かりましたね!」
「凄かった! 本当に凄かったぞアグニス!」
シャルル、ヘンリー、ベッポの三人は、アグニスへと労いの言葉をかける。三人に囲まれたアグニスは嬉しそうに鎌首をもたげ、そして──。
「クゥオォォーッ!!」
勝利の咆哮が空高く響き渡る。こうしてロアーナの町は、危機を退けることに成功したのである。
そしてその様子を、一匹のコウモリがじっと観察していた。
「「「「「ギイィーッ!」」」」」
インプの群れは数を増やしながら、住人を襲い続けているのである。にもかかわらず今のところ住人に被害は及んでいない。
シャルル、ヘンリー、ベッポの三人が、見事な立ち回りで住人を守り抜いているのである。
「ベッポ! 西側を煙で塞いでください!」
「よし、任せろ!」
「シャルル! そちらを片づけたら正面に突撃です!」
「承知した! うおぉぉーっ!!」
ベッポは赤色の煙を撒いてインプをかく乱し、シャルルは筋力増強魔法による突撃を繰り返す。ヘンリーはシャルルとベッポに指示を出しながら、光魔法でインプの群れを牽制する。
絶望的な数の差にもかかわらず、インプの群れを住人に近づけさせない。それぞれの強みを最大限に活かした見事な戦い方である。しかし──。
「くそっ、キリがないぜ!」
「倒しても倒しても! 次から次へと湧いてくるぞ!」
「どうするヘンリー! これ以上は抑えられないぞ!」
あまりにもインプの数が多いのである。
一体倒せば二体現れ、二体倒せば四体現れる。数を増していくインプの群れを相手に、流石のヘンリーも困り果ててしまう。
「このままではジリ貧ですね、ここは撤退も視野に入れるべきでしょうね」
「なっ、撤退だと!? 魔物の群れを前に逃げ出すというのか!」
「しかしボク達の体力がもちません。住人の避難が完了したら、撤退を開始しましょう」
「くっ……致し方ない!」
戦況を考慮してヘンリーは撤退を判断する。住人の避難を最優先目標とした適格な判断だろう、シャルルも渋々ながらヘンリーの判断に納得する。
「ちっ、間に合わないか……それとも煙に気づかなかったのか……」
そんな中、なにやら意味深なことを呟くベッポ。悔しそうな表情で空を見あげた、その時──。
「クオォ──……」
空に響く甲高い鳴き声。
赤い煙を切り裂いて、巨大な影が姿を現す。
「グオォォッ!」
真紅のうろこに覆われた巨体、ギラリと光る鋭い爪と牙。空を舞う真紅の影に向かい、ベッポは高々と拳を振りあげる。
「待ってたぜアグニス!」
「グルオォォッ!」
ベッポの相棒であるレッサードラゴン、アグニスが飛来したのである。
「ようやく来てくれましたか!」
「うおぉっ! 待っていたぞアグニスよ!」
「よく目印に気づいてくれた、流石アグニスだぜ!」
実は先ほどからベッポが撒いていた赤色の煙は、インプをかく乱するためのものではなく、アグニスを呼び寄せるための目印だったのである。
アグニスの参戦によってついに戦力は整った。これを好機と見たヘンリーは、一気に反転し攻勢をかける。
「今こそ攻め時ですね! 畳みかけてください!」
「群れているインプ共は俺とアグニスに任せろ!」
「よし、群れからはぐれたインプは自分が対処しよう!」
「いくぜアグニス! インプ共を焼き尽くせ!」
「グルオォッ……グルオォォーッ!!」
そして放たれる炎のブレス。渦巻く灼熱の炎は、ウゾウゾと湧き続けるインプの群れを一飲みにしてしまう。
「「「「「ギイ……ィ……」」」」」
炎に飲まれたインプは骨すら残らない。あれだけ数の多かったインプの群れは、あっという間に灰となって散ってしまった。
群れからはぐれていたインプもシャルルによって討伐され、町を襲ったインプは完全に消滅した。
「よっしゃ! やったぜアグニス!」
「グオォッ! グオォォーッ!!」
「素晴らしい威力でした、おかげで助かりましたね!」
「凄かった! 本当に凄かったぞアグニス!」
シャルル、ヘンリー、ベッポの三人は、アグニスへと労いの言葉をかける。三人に囲まれたアグニスは嬉しそうに鎌首をもたげ、そして──。
「クゥオォォーッ!!」
勝利の咆哮が空高く響き渡る。こうしてロアーナの町は、危機を退けることに成功したのである。
そしてその様子を、一匹のコウモリがじっと観察していた。
「魔王様は学校にいきたい!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
134
-
420
-
-
232
-
2,015
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
1,391
-
1,159
-
-
395
-
2,079
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
450
-
727
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
2,534
-
6,825
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
3,548
-
5,228
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
2,860
-
4,949
-
-
265
-
1,847
-
-
83
-
2,915
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
344
-
843
-
-
1,000
-
1,512
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
65
-
390
-
-
3
-
2
-
-
62
-
89
-
-
10
-
46
-
-
3,653
-
9,436
-
-
187
-
610
-
-
14
-
8
-
-
398
-
3,087
-
-
33
-
48
-
-
83
-
250
-
-
86
-
893
-
-
89
-
139
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
477
-
3,004
-
-
104
-
158
-
-
10
-
72
-
-
218
-
165
-
-
23
-
3
-
-
86
-
288
-
-
2,629
-
7,284
-
-
71
-
63
-
-
2,799
-
1万
-
-
47
-
515
-
-
27
-
2
-
-
4
-
4
-
-
4
-
1
-
-
34
-
83
-
-
6
-
45
-
-
614
-
221
-
-
7
-
10
-
-
17
-
14
-
-
9
-
23
-
-
18
-
60
-
-
9,173
-
2.3万
-
-
614
-
1,144
-
-
2,431
-
9,370
-
-
29
-
52
-
-
408
-
439
-
-
215
-
969
-
-
220
-
516
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
213
-
937
-
-
5,039
-
1万
-
-
42
-
52
-
-
1,658
-
2,771
-
-
42
-
14
-
-
88
-
150
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
51
-
163
-
-
164
-
253
-
-
116
-
17
-
-
62
-
89
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント