魔王様は学校にいきたい!

ゆにこーん / UnicornNovel

遭遇

 一方こちらは、パラテノ森林の中腹。
 ロームルス学園での開戦と同じ頃、森の中でも激しい戦いが繰り広げられていた。

 三体のオークを相手に、大剣を構えるエリザベス。

「はあぁぁっ!」

 気迫のこもった一刀両断で、巨大なオークを真っ二つにする。

「次だ! てやあぁぁっ!」

 さらに、背後に向かって横一線。
 後ろから迫っていたオークの胴体を真っ二つだ。

 数と大きさの不利をものともせず、二体のオークを切り捨てるエリザベス。
 しかし、連続の大振りによって、わずかな隙が生まれる。

「ヴォオオォッ!」

 その隙を狙い突進してくる三体目のオーク。

「させないわよ!」

 とっさに飛び込んできたスカーレットは、体を回転させながらオークに飛びかかっていく。

「奥義! 烈火千刃れっかせんじん!! やあぁぁっ!」

 竜巻のような回転から繰り出される、凄まじい斬撃の嵐。
 激しい摩擦音をあげながら、オークの体を切り刻んでいく。

「ヴオ!? ヴォヴォオォッ……」

 全身から血を吹き出し、その場に倒れるオーク。
 切り口からは肉の焦げる臭いが立ちのぼる。

「ふぅっ、楽勝!」

「見事だスカーレット!」

 エリザベスとスカーレットは、背中あわせに剣を構える。
 そこへ上空から、鋭い鳴き声が降ってくる。

「クオオォォッ!」

「グオアァァッ!!」

 グリフォンとレッサードラゴンが、上空から襲いかかってきたのだ。

「甘いですよ!」

 剣を構えるエリザベスの前に、カイウスが割り込んでくる。
 レイピアを抜き放ち、上空に向かって一気に突き出す。

「奥義! 天空衝てんくうしょう!! っしゃあぁぁっ!」

 大気を巻き込み、天高く伸びる突き技。
 渦巻く大気の槍は、グリフォンの胴体に大きな風穴を空ける。

「クオォッ!? クオオォ……」

「よくやったカイウス! あとは任せろ!」

 落下してくるグリフォンを目がけて、高く飛びあがるエリザベス。
 鎧を着こんでいるとは思えない、驚くべき跳躍力だ。

「恰好の足場だな!」

 グリフォンの胴体に脚をかけ、さらに空高く飛びあがる。
 一瞬にして、レッサードラゴンの目の前まで迫る。

「終わりだ!」

 空中で弧を描く大剣。
 勢いの乗った斬撃は、あっさりとレッサードラゴンの首を斬り飛ばす。

 音を立て地面に落下するグリフォン、そしてレッサードラゴン。
 土ぼこりの舞う中、エリザベスは軽やかに地面へと着地する。

「フンッ、この程度か」

「エリザベス様、ご無事ですか?」

「カイウスよ、誰に向かって聞いているんだ?」

「アハハッ、エリザベス様なら楽勝ですよね!」

 エリザベスは倒れた魔物へと視線を送る。

「確かに普通の魔物に比べると強力だったな……しかし、私達の敵ではない!」

「そうですね! この調子で魔物なんか全滅させちゃいましょう!」

「ああ! 先へ進むぞ!」

 鞘に剣を納めたエリザベスは、一歩を踏み出し──。

「待て! ……なにか来るぞ……」

 ピタリと足を止め、再び鞘から剣を引き抜く。

 ガシャン……ガシャン……と不気味に鳴り響く音。
 暗がりから溢れ出る、強烈な殺気。

「なんだ……こいつは……」

 エリザベスの前に、赤い鎧の魔物が姿を現す。

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