男装アイドルになってしまいました

薔薇

男性アイドルオーディション(2)

だけどいつまで経っても手が振り下ろされてこない。不思議に思った私は手の間から相手の方を見ると、誰かが相手の腕を掴んでいる。
「え、、、」
声を上げると同時に相手の腕を掴んでいる男性の声が上がる。
「ここでは、暴力は禁止です。それでもというのなら、即時帰ってください」
すると暴力を振ろうとしていた男が、掴んでいる相手の手を強引に振り払った。そして、
「チッ!うっせぇなぁ。わかってるよ!くそッ!」
と言って去っていった。守ってくれた男性が私の顔をのぞいて
「大丈夫ですか?」
と、聞いてきた。その人の顔はとてもイケメンで、頬を少し赤らめてしまった。
「あ、ありがとう、、、ございます。大丈夫です。すみません」
「いえいえ。無事でよかった。俺は王西裕樹だ!よろしく」
(王西裕樹?なんか聞いたことのある名前だなぁ。あと、ちょっとチャラい???)
そんなことを考えながら答える。
「え、え〜と。わた、じゃなくて、僕の名前は、、、」
私は止まってしまった。なぜなら名前が女の子だからだ。母との会話を思い出す。



「美和って名前は女の子っぽいからと思って名前を変えておいたよー。えーっと、確かひ、ひ〜」
「ひ?」
「姫城光樹!!」

そんな会話を思い出して、とっさに言う。
「姫城光樹です。よろしくお願いします」
「うん!よろしくぅ!そういえばお前これからオーディションだろ?行かなくていいのか?」
「あ!そうでした。すみません、また会えたら嬉しいです!」
そう言って別れを告げ小走りで受付まで行く。

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