音を知らない鈴

布袋アオイ

#3  偽りの王

 読者の方にも少しずつお分かりいただけているだろうか。

 私が変人であることを。

 まだ他にも私には奇妙な特徴があるが、一気に言ってしまうと、あなたの頭も追いつかないだろうから、まずはこのくらいにして…

 ここまでは隠し通すだけで良かったから何とか乗り越えてきた。

 隠すこと、つまり嘘をつくことは慣れれば簡単なことだ。

 段々感覚として人が信じる言い回しが掴めるようになる。

 それが分かればあとは嘘なんて呪文のようにつらつら言える。

 だが、それもそろそろ終わりそうだ。

 嘘が作り上げた世界に亀裂が入りかけている。

 崩れてしまうかもしれない。

 何十年もかけてようやく確固たる物になろうとしていたのに。

 国民に嘘をついた王は国民によって追放されるか、国ごと崩れるか…

 もしくは自害するか。

 いずれにせよ滅びる運命だ。

 その瞬間が今にも起きそうな予感。

 手も足も出ない状況になってきてしまった。

 終らせるしかないらしい。

 戦いが始まる。

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