私、幽霊です!
P.28
その言葉に誰も応じるものがいないのを見て、優弥はコンセントを投げ捨てて続ける。
「でも元々こういう体験をしに行くんだったな。もう一回差しこんでやろうか? ん?」
「いや充分ご馳走様でしたッ!!」
差し込み口とコンセントが再び触れあいそうになるのを見て、瞬が慌ててとめた。
終わった。
本当に舞もまひろも予期しなかったビデオの呪いとやらなら、電源を抜いたくらいで解決できたのか一抹の不安が残るが、とにかく終わった。
どうにかできた、といってもいい。
いつのまにか入りっぱなしだった肩の力が抜けていくのを感じて、和輝は初めて安堵の息を大きく吐いた。
「まぁこれで問題ないだろ。なぁ、本条」
特に取り乱した様子のない優弥を見ると安心できる。
先の解決策を提示したまひろではなく舞を呼んだのは少し疑問だったが、コクコクと頷く彼女を見るになにか知っているのかもしれない。
「うん……多分……」
すっかり身体が丸まってしまった舞は、自身なさげにそう答えた。
そんな彼女を励ますつもりだったのか、瞬は舞とまひろを交互に見て考えながら口を開いた。
「……ほんとはビデオの中、ちゃんと観てなかったんじゃ」
「それはないわ」
おずおずと発言した瞬を、まひろは一蹴する。
「ビデオの時間は約四分。正確に言えば三分五十二秒ね」
やはり、前もってちゃんと観ていたようだ。
まひろは続ける。
「最初は砂嵐……一分くらいでさっきの井戸に切り替わるの。そのあとはなにも進展なしで、最後の二十秒くらいがまた砂嵐に切り替わるだけよ」
和輝は部屋にある置時計に目がいった。
正確に計っていたわけではないが、ビデオを強制終了させたあとの時間を考えても、見始めてから十分近くは経過しているように思う。
あの時、舞がしきりに携帯を見ていたのは、体感的に終了予定を過ぎているだろうことに疑問をもったからなのだろう。
「じゃあ、ビデオが編集されてた……とかは」
今度は和輝が質問してみた。
特になにか意図があっての質問ではなかったが、考えられる平和な可能性を信じてみたかった。
それもまひろの首が横に動いた瞬間に潰されてしまったのだが。
「再生する度に映像が変わるってこと? それこそないわ。現代のネット動画じゃないんだし、カセットテープにそこまでの仕掛けを作るなんて……断言はしないけど、無理だと思うわ」
「えーと、つまり……」
右手で自身の首筋を擦りながら、瞬は言いにくそうに声を出した。
「これはいわゆる『マジモン』ってやつですかね」
テレビのそばではローテーブルの角に腰を下ろした優弥が、裏側に手を回してコンセントを再び拾おうとしているのが見えた。
なんならもう一度確認してみるか。と聞こえてきそうなその動きには、今度は瞬と和輝の二人掛かりでやめさせた。
少しつまらなさそうにしている優弥をよそに、舞がまひろへ問う。
「ねぇ、まひろ……どうなってんの?」
「でも元々こういう体験をしに行くんだったな。もう一回差しこんでやろうか? ん?」
「いや充分ご馳走様でしたッ!!」
差し込み口とコンセントが再び触れあいそうになるのを見て、瞬が慌ててとめた。
終わった。
本当に舞もまひろも予期しなかったビデオの呪いとやらなら、電源を抜いたくらいで解決できたのか一抹の不安が残るが、とにかく終わった。
どうにかできた、といってもいい。
いつのまにか入りっぱなしだった肩の力が抜けていくのを感じて、和輝は初めて安堵の息を大きく吐いた。
「まぁこれで問題ないだろ。なぁ、本条」
特に取り乱した様子のない優弥を見ると安心できる。
先の解決策を提示したまひろではなく舞を呼んだのは少し疑問だったが、コクコクと頷く彼女を見るになにか知っているのかもしれない。
「うん……多分……」
すっかり身体が丸まってしまった舞は、自身なさげにそう答えた。
そんな彼女を励ますつもりだったのか、瞬は舞とまひろを交互に見て考えながら口を開いた。
「……ほんとはビデオの中、ちゃんと観てなかったんじゃ」
「それはないわ」
おずおずと発言した瞬を、まひろは一蹴する。
「ビデオの時間は約四分。正確に言えば三分五十二秒ね」
やはり、前もってちゃんと観ていたようだ。
まひろは続ける。
「最初は砂嵐……一分くらいでさっきの井戸に切り替わるの。そのあとはなにも進展なしで、最後の二十秒くらいがまた砂嵐に切り替わるだけよ」
和輝は部屋にある置時計に目がいった。
正確に計っていたわけではないが、ビデオを強制終了させたあとの時間を考えても、見始めてから十分近くは経過しているように思う。
あの時、舞がしきりに携帯を見ていたのは、体感的に終了予定を過ぎているだろうことに疑問をもったからなのだろう。
「じゃあ、ビデオが編集されてた……とかは」
今度は和輝が質問してみた。
特になにか意図があっての質問ではなかったが、考えられる平和な可能性を信じてみたかった。
それもまひろの首が横に動いた瞬間に潰されてしまったのだが。
「再生する度に映像が変わるってこと? それこそないわ。現代のネット動画じゃないんだし、カセットテープにそこまでの仕掛けを作るなんて……断言はしないけど、無理だと思うわ」
「えーと、つまり……」
右手で自身の首筋を擦りながら、瞬は言いにくそうに声を出した。
「これはいわゆる『マジモン』ってやつですかね」
テレビのそばではローテーブルの角に腰を下ろした優弥が、裏側に手を回してコンセントを再び拾おうとしているのが見えた。
なんならもう一度確認してみるか。と聞こえてきそうなその動きには、今度は瞬と和輝の二人掛かりでやめさせた。
少しつまらなさそうにしている優弥をよそに、舞がまひろへ問う。
「ねぇ、まひろ……どうなってんの?」
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