女の子を助けたら いつの間にかハーレムが出来上がっていたんだが ~2nd season~

ko-suke

293話 学生服と1悶着(引)




奈緒お母さんの来訪から十数分がたったであろうか。少し喉が渇いたため1階に降りると、何やらリビングのほうが賑やかだった。

気になったため覗いてみると、そこには。

睦月「・・・いえい、ぴーす」

奈々「睦月、似合ってるの!特にこのアングルとか・・・ほら、素敵なの!」

愛菜「いつも思ってたけど、私たちが通ってた頃より可愛くなってるよね、制服。」

奈緒「数年前に一新されたみたいなのです。」

学校の制服を着て、真顔でピースをしている睦月と、カメラ片手にその周りをぐるぐるしている奈々、それを見守る奈緒お母さんと愛菜お母さんの姿が。

さっきも言ったけど、睦月は今年、高校生デビュー。僕らと同じ学校へ通うことになったのだった。

今日は日曜日で、明後日が入学式なのだけど、大方、愛菜お母さんあたりに着てみるよう勧められたのだろう。

前に何度か見た事のある、中学生の頃の学生服から、いわゆるブレザーに変わったことで、印象は結構変わっていた。当たり前っていえばそれまでだけど。

奈々の言う通り、結構似合っていた。

愛菜「・・・あ、そうだそうだ。睦月、そのままちょっと待ってて。渡すものがあるから・・・」

睦月「合点。」

そういって、愛菜お母さんはどこかへ行ってしまった。というか、合点て。今どきあんまり使わないだろうに・・・。

数分後、愛菜お母さんは、ガラス玉のようなものを持ってきた。手のひらサイズで、落としたら凄いことになりそうなやつ。

愛菜「私が使ってた水晶玉。まぁ、これもお母さんから貰ったやつだけど・・・あげるね。」

睦月「・・・あ、ありがとう。」

睦月は若干引きつったような顔をして、すぐに元に戻って受け取った。

愛菜「毎日学校に持っていくんだよ」

睦月「うん、わかった。毎日ね・・・毎日!?なんで!?てかなんで学校に持っていくの!?」

大正論だった。あんなすぐ割れちゃいそうなやつを、毎日学校に持っていくって・・・しかも微妙に大きいから、目立ちそうだし。下手すりゃ、いじめの原因にもなりかねんぞ!?

愛菜「なんでって・・・んー、占いの練習のため?」

睦月「私、これじゃなくても出来るんだけど・・・それに占いって、最近あんまりやってないし。ブームすぎてるよ?」

愛菜「・・・なら、何に使うの?」

睦月「こっちのセリフ!!」

睦月は絶対持っていきたくないのか、割とすごい剣幕でそう言っていた。

と、ふと睦月のほうを見ていると、隙間越しに睦月と目が合った。・・・え、何あの目。なんでそんな泣きそうな目でこっち見てるの?

早めに離れようと思った瞬間、猛ダッシュで睦月が近づいてきて、僕を引っ張り出した。

日向「な、なんだよ!?」

睦月「なんで逃げようとしてるの、助けてよ。さっきからずっと見てたでしょ。」

日向「嫌だよ、なんで自ら進んで巻き込まれなきゃいけないんだよ!」

睦月「主人公って、そういうもの。」

日向「お前は何を言ってるんだ?」

突然そんな状態にされたもんだから、本当に意味がわからなかった。とりあえず立ち去ろうとすると、

愛菜「ほう、私を納得させるつもり?」

愛菜お母さんの威圧感は、それはもう凄いものだった。

結局、説得に1時間以上かかったのだった。


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