女の子を助けたら いつの間にかハーレムが出来上がっていたんだが ~2nd season~
203話 女の子らしく、男の子らしく(勘)
デパ地下を後にした僕達は、公園に来ていた。夕日が遊具を照らし、写真映えしそうな景色。
カラスが鳴き、遊び終えた子供たちの声が、少しずつ遠ざかっていく。そんな、平穏な景色の中で。
叶恵「日向ぁ!どっちなのかさっさとハッキリしやがれぇぇぇ!」ブンブン
奈々「にー!奈々がすきなんだよね?ねっ!!」ブンブン
日向「やーめーてー!」
僕は2人に掴まれて、グラグラと揺らされていた。場違いにも程がある。
こうなってしまったのは、ほんの数分前。公園のブランコをこぎながら、談笑していた時だった。
奈々が自販機へ飲み物を買いに行き、ブランコには僕と叶恵のみ。すると、叶恵は僕の隣のブランコに座ってきた。
叶恵「・・・今日、楽しかったぜ。久々に思いっきり体動かせたし。」
日向「あはは、ならよかったよ。最近、あんまり運動できてないもんね。」
叶恵「そうなんだよなー・・・毎朝のランニングくらいしかなくてよぉ。」
日向「少しでも気分転換になったみたいで、僕も嬉しいよ。」
叶恵「はは、そっか。」
そんな他愛もない話をしていたはずが、途中で空気が重くなった。叶恵が、こんな話をしたからだ。
叶恵「なぁ、日向。」
日向「ん、なに?」
叶恵「あたしって・・・そんな男っぽいかな。」
日向「・・・ぅえっ?」キョトン
叶恵「運動場でさ・・・あいつらに言われたこと。自分で考えてみてもさ、あたしって由良みたいに可愛くないし、江美みたいに女の子っぽい遊びもしない。」
日向「叶恵・・・?」
叶恵「ほんと、男みたいなやつだなって、思ったんだ。あたしらしくねぇかもしれないけど・・・。」
日向「・・・叶恵」
叶恵「日向は・・・もっと女の子っぽい子が好きなんだろ?アフィアのやつを見てりゃわかる。あたしの出る幕は・・・ない、よな。」
日向「叶恵・・・あのな」
叶恵「嫌だ、よ。あたしだって・・・日向のそばに、一緒にいたい!日向ぁ・・・嫌だよぉ・・・」グスッ
日向「叶恵っ!」ガチャッ
僕は咄嗟に、叶恵を抱きしめた。
日向「叶恵・・・そんなに自分を卑下するなよ。叶恵は十分女の子だし、可愛いよ。」
叶恵「日向・・・」
日向「周りがなんと言おうが、叶恵は女の子だ。僕なんかを愛してくれる、純粋で可愛い女の子だよ。」
叶恵「日向・・・日向ぁ!」ギュウゥ
日向「いっ!?痛い痛い!」
叶恵「日向ぁ・・・ありがとう・・・」
日向「・・・う、うん。」
そんな時だった。
奈々「・・・なに、してるの?」ゴゴゴゴゴ
日向「はっ!?」
奈々が戻ってきたのだ。今の状態は、涙目の叶恵を抱きしめる僕。・・・誰がどう見ても、勘違い必須だった。
奈々「くぉら叶恵姉ぇ!さっさと離れろなの!」
叶恵「はん?こいつから抱きついてきたんだ、離れろも何も無いだろ。」
日向「いや僕は既に離しておわっ!?」
叶恵「日向はあたしのだよっ!誰にも渡すもんかぁ!」
・・・長時間にわたる、言い争いの始まりである。
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