女の子を助けたら いつの間にかハーレムが出来上がっていたんだが ~2nd season~

ko-suke

172話 あの時の記憶は鮮明に(助)




忍「ごめんなさいね?直接伝えた方がいいと思って・・・」

日向「いえ、その方が僕としてもありがたいです。・・・それで、アフィアちゃんのことですが・・・アフィアちゃんのお母さんも、思い出したくないことかもしれませんが・・・」

忍「いえ、いいのよ。・・・数年前の話なんだけどね。」

アフィアちゃんが転校してきて初の土曜日、僕はお父さんにお願いして、アフィアちゃんのお母さんと話をすることになった。

忍「中学2年生の夏頃だったかしら。いつも通り、部活動のために学校に行ったのだけど、学校から『アフィアが来てない』って連絡が来て・・・」

それで、どうしようかと悩んでいた矢先、病院から電話がかかってきた、とのこと。

原因は、車に轢かれそうになっていた小学生を庇ったこと・・・らしい。優しいアフィアちゃんらしいけど・・・。

忍「病院に着いて、無事だってことは分かったの。目を覚ましてからも、特段変わったことは無かったのだけど・・・数日後に担当のお医者さんに呼び出されてね。」

日向「そこで、アフィアちゃんが記憶喪失だとわかったのですね?」

忍「えぇ・・・しかも、何故か小学生の頃の記憶だけが無くなってて・・・」

日向「小学生の時の記憶、だけ・・・」

アフィアちゃんとは、小学校で初めて出会った。だから、アフィアちゃんは・・・僕のことを知らなかったのだ。

日向「・・・治ります、よね?」

忍「えぇ、もちろん・・・と言いたいのだけど、こればかりは本人次第でしょうね。あの子が思い出すのを待つしか・・・」

日向「そう・・・ですか。」

スッと、目を伏せる。アフィアちゃんに会えたという嬉しさと、やっと会えたのにという絶望感。相反するふたつの気持ちが、僕の心の中にあった。

すると、奥の部屋のドアが開いた。その方向を見ると、中から・・・

アフィア「お母さん、洗濯物干し終わったよ。」

忍「あら、ありがとうアフィア。」

アフィアちゃん、だった。

アフィア「あれ・・・そこにいる子って・・・」

その言葉に、複雑な感情が過敏に反応する。

感情を何とか押さえ込み、少し震える声で応答する。

日向「や・・・やぁ、アフィアちゃん。稲木日向だよ。隣の席の・・・」

アフィア「隣・・・あぁ、昔ガーナにいたとか言う・・・」

日向「うん。ちょっとお邪魔してます。」

アフィア「そう。・・・お母さん、私自分の部屋に行ってるから。」スッ

忍「え・・・えぇ。」

アフィアちゃんは、素っ気ない態度で部屋を出ていった。

それは、初めて会ったあの時と、同じような態度。

忍「ごめんね?日向・・・君?」

日向「あはは、アフィアちゃんらしいや・・・」

気づいたら涙を浮かべながら笑う、僕がそこにいた。


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