転生して帰って来た俺は 異世界で得た力を使って復讐する
アナザーエンド「あり得たかもしれなかった結末」2
サイド リリナ
《《それ》》は突然のお告げのような、とにかく私の頭の中に語りかけるものがあった。
“国王の不遇な対応を正しなさい”
“《《偽る》》のは止めなさい”
“素直に、今抱いているその気持ちをそのまま伝えなさい”
“そうすれば 彼の心は救われます きっと―――”
友聖が魔王を討伐して王国へ帰ってくるという報せを聞いて、彼への感謝と労いを込めたサプライズパーティーを開こうと思いついた時のことだった。まるで私の考えなど全てお見通しかのように、私のこの考えを諫めるかのようなお告げだった。
“彼の心は今、ギリギリの状態でいます。これ以上彼に失望させたり憎悪を抱かせたりしたら...たとえ嘘でも彼を突き放すようなことをしてしまえば、彼は完全に壊れてしまいます”
“どうか 彼の心を救ってあげて――”
私の行動次第で、彼が壊れてしまう。そういうことなのか。
確かに...彼は最初はとても放っておけないような状態で、絶望を背負っているような、ギリギリだった。でも最近は大丈夫だとそう思ってしまっていた。
それが間違いだとしたら...勘違いだったら、確かにこれはいけない...。
私はその謎のお告げに従うことにした。
まず最初にこれから行われることになってる魔王軍討伐軍を称える褒賞式のところへ行く。本来は私であっても関係無い者の立ち入りは禁止されているが、緊急事態だと言って無理矢理通してもらう。
そして案の定、お父様たちは友聖にだけまたも不遇な扱いをしようとしていた。
命を懸けて魔王を倒したと聞いて、実際今まででいちばん酷い傷を負って帰ってきたという彼に対して、あの薄情者たちはまたも...!
居ても立っても居られず、私は式典に乱入する。
「此度の活躍、大儀であった。では.........お前を軍から除隊させる。村へ帰るなり好きにすると良い。こちらからの用件は以上だ、早くこの場から去れ――」
「国王様――いえ、お父様!!それはおかしいのでは!?」
私の乱入に誰もが驚愕している。友聖もビックリした顔をしてる。サプライズは、これで成功ね...なんてね!
「な...リリナ!?何故ここへ?今は魔王討伐軍の兵士たちへの褒賞式の最中で、」
「存じ上げてるわ。それよりも今の、友聖に対しての報酬に異議を唱えます!彼は今回の討伐任務であの魔王を討伐したという大きな手柄を上げてます。なのにロクに恩賞・報酬を与えないのは明らかに不公平で不遇過ぎます!ちゃんと公正で手柄に相応しい褒美を与えなさいっ!」
やや狼狽えているお父様に私は反論させまいと早口で言いたいこと、正しいことを大声でぶつけていく。
「し、しかしだな。この男は勇者とはいえ身分が――」
この期に及んでまだふざけたことを言おうとしているお父様に、私はついにキレる――
「それが何よ!?前からずっと言い続けてきてるけど、お父様も大臣たちもみんな、友聖に対して当たりが厳しくておかし過ぎるわ!!彼のお陰でもう魔王軍の脅威に怯えることがなくなったのよ!?私たちの平和を守ってくれたのよ!?命を懸けて!!
なのにあなたたちはいつまでも友聖を見下して蔑んでばかり!自分たちは安全なところでいるばかりのくせに!恥ずかしいと思わないの!?私は恥ずかしいわ!こんな人たちが国の要人としているのだから!!
今すぐ友聖に対する報酬を正しなさい!!たとえ国王でも許さないから!!」
この時の私は多分人生でいちばん怒ったと思う。顔が怒りで熱く真っ赤になっている自覚がある。誰もが何も言えない様子でいる。みんな友聖に対して不遇な扱いをし過ぎていると自覚しているのなら良いけど。ここまで言って改心しないのならこんな人たちはもうこの国の要人を辞めさせるべきだわ...!たとえお父様でもこれ以上好きにはさせない!
友聖は私が守る...!!
しばらくの沈黙の後、私が呼んでおいた兵士たちがやってくる。そしてお父様の前で4人とも頭を下げて友聖の扱いを正すよう嘆願した。
友聖の次に活躍した人たちだった分、発言力がある彼らにそこまで言われると断る余地が無いと悟ったお父様は、この場で友聖の公正な褒賞・報酬を発表し直して直ちに贈呈した。
その後も私は兵士たちとともに国中を回って友聖が皆の為に命を懸けて魔王を倒したこと、私たちの平和を守ったこと、だから彼を不当に扱うのは止めてほしいと声高に叫んで、世の中の友聖に対する評価を覆すことに成功した。
今までがおかしかった。皆も何故彼を忌み嫌ってたのか分からなかったらしい。雰囲気に流されてたからか、私の一声で簡単に変わってくれた。これで友聖が皆から不当に嫌われることはもうなくなるだろう。
これで、彼も少しは救われただろうか。友聖によるお父様たちへの“ケジメ”が終わった後、彼を城の庭園に呼び出して話をする。
「やっと、落ち着いて話せるね...」
パーティーのことを言う前に何か別の話題から入ろうと考えていると、友聖から喋りかけてきた。
「初めてだったんです。
身内を含む誰かが俺の為に怒ってくれたことも。
俺のことであんなにも必死に頼み込む人たちがいたことも。
本当に、初めてだった...。
だからその、何て礼を言ったら良いか...」
その発言内容は、聞くも不憫に思えるものだった。こんな彼にどうして今まであんな仕打ちを。そんな仕打ちを今までさせてしまっていた私なんかに、礼を言われる資格は無い...。
「礼なんて要らないわ。むしろ、今まで友聖に不快な思いをさせ続けてしまってごめんなさい。もっと早くこういうことをさせていれば...」
だから彼のお礼に私は謝罪で返した。それきり無言が続く。
(伝えるなら、今しかない...!)
心の中でよし!と叫んでから、友聖の顔をしっかり見つめながら、私はあのことを言う――
「...それでね友聖。ここからが大事なんだけど......三日後にあなたの為のパーティーを開こうと思ってるの!あなたが育った村で皆で盛大に!
今までの辛かった日々をが忘れるくらいに最高のパーティーにしてみせるから、楽しみにしててね!」
「パーティー...俺の、為に......」
言えた!包み隠さず全部言った!そして友聖は...何だか嬉しそう...!
「パーティー......凄く楽しみに待ってますね、リリナ様」
「うんっ!絶対に、満足させてあげるんだからっ」
庭園で私たちは互いに嬉しそうに笑い合った。
こうなることが正解だったのだと、そんな声が聞こえた気がした。
(この行動は間違ってはいなかった。だって友聖すごく喜んでるから。これで良かったんだ...!友聖楽しみにしてるって言った。その期待に絶対応えなきゃ!)
それから二日間、私は友聖が育った村へ行って、一緒に来た兵士たちと村の人たちでパーティーの準備を取り組んだ。贅を尽くした。ここでこそ尽くすべきと思い、国の予算など度外視でパーティーに心血とお金を注いだ。今まで友聖にロクに報酬を与えなかった分、これくらいは当たり前だ。
「皆も、ありがとうね。友聖の味方になってくれて」
式の時にも一緒にいた兵士たちに改めて礼を言う。
「彼には何度も助けられました。彼がいたからこそ私たちはこうして平和な世界で暮らすことが出来ている。これくらいはして当然のこと」
隊長が穏やかに笑って答える。
「リリナ様が羨ましいです。友聖君のこと狙ってたけど、私が入る隙は無いみたい」
女の兵士が少し、ふくれ面しながら呟く。この人友聖のこと好いてたんだ...。
そんな会話をしつつ、着々と準備を進めて、そして三日後に友聖を村に呼んでパーティーを催した。
皆が友聖に感謝と労いの言葉をかけて楽しく過ごしている。友聖もまんざらでもない様子だ。
友聖が一人になったタイミングを狙って、ジュースを片手に彼の隣に座る。思い切って彼の肩に頭を乗せてみた。少しビックリしたみたいだけど嫌じゃないみたいだからこのままでいよう。
それにまだ、友聖に言いたいことがあるし、これで少し緊張をほぐして......よし、言おう...!
「まだ、ちゃんと言ってなかったからここで言うね...。友聖、
魔王軍を倒して、私たちの平和を守ってくれて ありがとう 」
お礼を、想いを込めたお礼をしっかり伝える。正直に、思ったままに全部伝えた。
そして友聖は嬉しそうに、
「あなたが元気で楽しそうでいるその顔が見れて、良かったです。
あなたがそう言ってくれたお陰で俺は......生まれて初めて報われたと実感できました。
こちらこそ、ありがとうございます リリナ様...!」
私に感謝の気持ちを伝えてくれた。私はそんな友聖の頭をただ撫でてあげる。そうしたいとただ思っていた。そして気付けば―――
「 あなたが好きよ 友聖 」
この熱い気持ちを抑えきれないまま、私は友聖に愛の告白をしていた。顔が真っ赤だ。俯きたいけどぐっとこらえて友聖の顔をしっかりみつめる。
友聖は少し驚いた様子だったけど、やがて落ち着いて返事をする――
「俺も...リリナ様が好きです 」
一瞬時が止まった。そう錯覚する程に、その一言が聞けて凄く嬉しかった!
好きって言ってくれた!相思相愛。初恋が叶うなんて、こんな幸せがあるだろうか!
嬉しい、嬉し過ぎる。こんな時が来るなんて、夢みたい...!
「友聖、これからは私と楽しく幸せな日々をすごしましょう。辛く嫌なことがあっても私が癒してあげるから。何があっても私は友聖の味方になるから。
だからこれからずっと、私の傍にいて下さい」
想いを全て伝える。友聖は「もちろん喜んで」と返事してくれてさらには私の手を握ってくれた。離さないと言わんばかりに、強く優しく――
「良かった...!」
想いを伝えて、相思相愛が叶ったから...だけではないのかもしれない、この感情は...。
誰かの、心からの安堵が伝わってくるような...でもまるで自分のことのように想えて、私も何だか感動してきて...いつの間にか涙を流していた。そんな私の頭を、友聖が撫でてくれた。さっきのお返しと言わんばかりに。それが心地好くて、しばらくされるがままだった。
(これからは友聖との時間、大切にしていこう。
二人で一緒に、幸せになろう!)
私たちの幸せな時間はこれからも続く―――
アナザーエンド 完
《《それ》》は突然のお告げのような、とにかく私の頭の中に語りかけるものがあった。
“国王の不遇な対応を正しなさい”
“《《偽る》》のは止めなさい”
“素直に、今抱いているその気持ちをそのまま伝えなさい”
“そうすれば 彼の心は救われます きっと―――”
友聖が魔王を討伐して王国へ帰ってくるという報せを聞いて、彼への感謝と労いを込めたサプライズパーティーを開こうと思いついた時のことだった。まるで私の考えなど全てお見通しかのように、私のこの考えを諫めるかのようなお告げだった。
“彼の心は今、ギリギリの状態でいます。これ以上彼に失望させたり憎悪を抱かせたりしたら...たとえ嘘でも彼を突き放すようなことをしてしまえば、彼は完全に壊れてしまいます”
“どうか 彼の心を救ってあげて――”
私の行動次第で、彼が壊れてしまう。そういうことなのか。
確かに...彼は最初はとても放っておけないような状態で、絶望を背負っているような、ギリギリだった。でも最近は大丈夫だとそう思ってしまっていた。
それが間違いだとしたら...勘違いだったら、確かにこれはいけない...。
私はその謎のお告げに従うことにした。
まず最初にこれから行われることになってる魔王軍討伐軍を称える褒賞式のところへ行く。本来は私であっても関係無い者の立ち入りは禁止されているが、緊急事態だと言って無理矢理通してもらう。
そして案の定、お父様たちは友聖にだけまたも不遇な扱いをしようとしていた。
命を懸けて魔王を倒したと聞いて、実際今まででいちばん酷い傷を負って帰ってきたという彼に対して、あの薄情者たちはまたも...!
居ても立っても居られず、私は式典に乱入する。
「此度の活躍、大儀であった。では.........お前を軍から除隊させる。村へ帰るなり好きにすると良い。こちらからの用件は以上だ、早くこの場から去れ――」
「国王様――いえ、お父様!!それはおかしいのでは!?」
私の乱入に誰もが驚愕している。友聖もビックリした顔をしてる。サプライズは、これで成功ね...なんてね!
「な...リリナ!?何故ここへ?今は魔王討伐軍の兵士たちへの褒賞式の最中で、」
「存じ上げてるわ。それよりも今の、友聖に対しての報酬に異議を唱えます!彼は今回の討伐任務であの魔王を討伐したという大きな手柄を上げてます。なのにロクに恩賞・報酬を与えないのは明らかに不公平で不遇過ぎます!ちゃんと公正で手柄に相応しい褒美を与えなさいっ!」
やや狼狽えているお父様に私は反論させまいと早口で言いたいこと、正しいことを大声でぶつけていく。
「し、しかしだな。この男は勇者とはいえ身分が――」
この期に及んでまだふざけたことを言おうとしているお父様に、私はついにキレる――
「それが何よ!?前からずっと言い続けてきてるけど、お父様も大臣たちもみんな、友聖に対して当たりが厳しくておかし過ぎるわ!!彼のお陰でもう魔王軍の脅威に怯えることがなくなったのよ!?私たちの平和を守ってくれたのよ!?命を懸けて!!
なのにあなたたちはいつまでも友聖を見下して蔑んでばかり!自分たちは安全なところでいるばかりのくせに!恥ずかしいと思わないの!?私は恥ずかしいわ!こんな人たちが国の要人としているのだから!!
今すぐ友聖に対する報酬を正しなさい!!たとえ国王でも許さないから!!」
この時の私は多分人生でいちばん怒ったと思う。顔が怒りで熱く真っ赤になっている自覚がある。誰もが何も言えない様子でいる。みんな友聖に対して不遇な扱いをし過ぎていると自覚しているのなら良いけど。ここまで言って改心しないのならこんな人たちはもうこの国の要人を辞めさせるべきだわ...!たとえお父様でもこれ以上好きにはさせない!
友聖は私が守る...!!
しばらくの沈黙の後、私が呼んでおいた兵士たちがやってくる。そしてお父様の前で4人とも頭を下げて友聖の扱いを正すよう嘆願した。
友聖の次に活躍した人たちだった分、発言力がある彼らにそこまで言われると断る余地が無いと悟ったお父様は、この場で友聖の公正な褒賞・報酬を発表し直して直ちに贈呈した。
その後も私は兵士たちとともに国中を回って友聖が皆の為に命を懸けて魔王を倒したこと、私たちの平和を守ったこと、だから彼を不当に扱うのは止めてほしいと声高に叫んで、世の中の友聖に対する評価を覆すことに成功した。
今までがおかしかった。皆も何故彼を忌み嫌ってたのか分からなかったらしい。雰囲気に流されてたからか、私の一声で簡単に変わってくれた。これで友聖が皆から不当に嫌われることはもうなくなるだろう。
これで、彼も少しは救われただろうか。友聖によるお父様たちへの“ケジメ”が終わった後、彼を城の庭園に呼び出して話をする。
「やっと、落ち着いて話せるね...」
パーティーのことを言う前に何か別の話題から入ろうと考えていると、友聖から喋りかけてきた。
「初めてだったんです。
身内を含む誰かが俺の為に怒ってくれたことも。
俺のことであんなにも必死に頼み込む人たちがいたことも。
本当に、初めてだった...。
だからその、何て礼を言ったら良いか...」
その発言内容は、聞くも不憫に思えるものだった。こんな彼にどうして今まであんな仕打ちを。そんな仕打ちを今までさせてしまっていた私なんかに、礼を言われる資格は無い...。
「礼なんて要らないわ。むしろ、今まで友聖に不快な思いをさせ続けてしまってごめんなさい。もっと早くこういうことをさせていれば...」
だから彼のお礼に私は謝罪で返した。それきり無言が続く。
(伝えるなら、今しかない...!)
心の中でよし!と叫んでから、友聖の顔をしっかり見つめながら、私はあのことを言う――
「...それでね友聖。ここからが大事なんだけど......三日後にあなたの為のパーティーを開こうと思ってるの!あなたが育った村で皆で盛大に!
今までの辛かった日々をが忘れるくらいに最高のパーティーにしてみせるから、楽しみにしててね!」
「パーティー...俺の、為に......」
言えた!包み隠さず全部言った!そして友聖は...何だか嬉しそう...!
「パーティー......凄く楽しみに待ってますね、リリナ様」
「うんっ!絶対に、満足させてあげるんだからっ」
庭園で私たちは互いに嬉しそうに笑い合った。
こうなることが正解だったのだと、そんな声が聞こえた気がした。
(この行動は間違ってはいなかった。だって友聖すごく喜んでるから。これで良かったんだ...!友聖楽しみにしてるって言った。その期待に絶対応えなきゃ!)
それから二日間、私は友聖が育った村へ行って、一緒に来た兵士たちと村の人たちでパーティーの準備を取り組んだ。贅を尽くした。ここでこそ尽くすべきと思い、国の予算など度外視でパーティーに心血とお金を注いだ。今まで友聖にロクに報酬を与えなかった分、これくらいは当たり前だ。
「皆も、ありがとうね。友聖の味方になってくれて」
式の時にも一緒にいた兵士たちに改めて礼を言う。
「彼には何度も助けられました。彼がいたからこそ私たちはこうして平和な世界で暮らすことが出来ている。これくらいはして当然のこと」
隊長が穏やかに笑って答える。
「リリナ様が羨ましいです。友聖君のこと狙ってたけど、私が入る隙は無いみたい」
女の兵士が少し、ふくれ面しながら呟く。この人友聖のこと好いてたんだ...。
そんな会話をしつつ、着々と準備を進めて、そして三日後に友聖を村に呼んでパーティーを催した。
皆が友聖に感謝と労いの言葉をかけて楽しく過ごしている。友聖もまんざらでもない様子だ。
友聖が一人になったタイミングを狙って、ジュースを片手に彼の隣に座る。思い切って彼の肩に頭を乗せてみた。少しビックリしたみたいだけど嫌じゃないみたいだからこのままでいよう。
それにまだ、友聖に言いたいことがあるし、これで少し緊張をほぐして......よし、言おう...!
「まだ、ちゃんと言ってなかったからここで言うね...。友聖、
魔王軍を倒して、私たちの平和を守ってくれて ありがとう 」
お礼を、想いを込めたお礼をしっかり伝える。正直に、思ったままに全部伝えた。
そして友聖は嬉しそうに、
「あなたが元気で楽しそうでいるその顔が見れて、良かったです。
あなたがそう言ってくれたお陰で俺は......生まれて初めて報われたと実感できました。
こちらこそ、ありがとうございます リリナ様...!」
私に感謝の気持ちを伝えてくれた。私はそんな友聖の頭をただ撫でてあげる。そうしたいとただ思っていた。そして気付けば―――
「 あなたが好きよ 友聖 」
この熱い気持ちを抑えきれないまま、私は友聖に愛の告白をしていた。顔が真っ赤だ。俯きたいけどぐっとこらえて友聖の顔をしっかりみつめる。
友聖は少し驚いた様子だったけど、やがて落ち着いて返事をする――
「俺も...リリナ様が好きです 」
一瞬時が止まった。そう錯覚する程に、その一言が聞けて凄く嬉しかった!
好きって言ってくれた!相思相愛。初恋が叶うなんて、こんな幸せがあるだろうか!
嬉しい、嬉し過ぎる。こんな時が来るなんて、夢みたい...!
「友聖、これからは私と楽しく幸せな日々をすごしましょう。辛く嫌なことがあっても私が癒してあげるから。何があっても私は友聖の味方になるから。
だからこれからずっと、私の傍にいて下さい」
想いを全て伝える。友聖は「もちろん喜んで」と返事してくれてさらには私の手を握ってくれた。離さないと言わんばかりに、強く優しく――
「良かった...!」
想いを伝えて、相思相愛が叶ったから...だけではないのかもしれない、この感情は...。
誰かの、心からの安堵が伝わってくるような...でもまるで自分のことのように想えて、私も何だか感動してきて...いつの間にか涙を流していた。そんな私の頭を、友聖が撫でてくれた。さっきのお返しと言わんばかりに。それが心地好くて、しばらくされるがままだった。
(これからは友聖との時間、大切にしていこう。
二人で一緒に、幸せになろう!)
私たちの幸せな時間はこれからも続く―――
アナザーエンド 完
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