転生して帰って来た俺は 異世界で得た力を使って復讐する

カイガ

 体育館にいる俺以外の全員の人間が、コイツ何言ってんだって視線を向ける。実際に何言ってんだお前と言ってくる奴もいれば、ふざけるなだの頭おかしいだのいますぐ元に戻せだのと、たくさんの非難と怒号が飛んでくる。


 「おい君、三年五組の杉山やな?いったいこれはなんや?この奇妙な現象は全部君の仕業なんか?しかも処刑って言ったんか?悪ふざけにしては度が過ぎとるぞ!今すぐ全部元に戻しなさい!」


 怒りの声を上げて俺に近づいて来るのは、生活指導担当の教師か...。虐めの件についてあいつにも相談したことあったが、あいつがしたことと言えばせいぜい口頭での厳重注意程度だ...。無能...いや俺のことを真剣に見ていないクソ教師あいつも...ぶち殺したいなァ...!
 というわけで――


 「...見せしめは、お前でええか。無能偽善教師」
 「?何を言――」

 グオォ...ッ
 中年のオッサンを浮かび上がらせる。同時に頭を徐々に膨張させてやる。

 「ぐ、ぅおおおおオオオオオ...ッ!!」

 頭を赤く変色させて奇声を上げながらどんどん頭が膨らんでいく。眼球は飛び出し、苦しいのか首を掻き毟って空中でバタバタ藻掻いている。

 「おいあれ、なんかヤバくね?」
 「え、演出...なんじゃないの...?」
 「あ、あああ...!」

 だんだん異形へと変化していく生活指導を生徒や教師どもが青い顔をして見つめている。これは演出か、ガチなのかが分からずにいる生徒どもと嫌な予感がしたのか制止の言葉を吐く教師どもとに反応が別になっている。

 『よぉく見とけ。今の俺はなァ、こうやって人の頭を―――


 パァンッッ!


 ―――って簡単に破裂させる力があります』


 パフォーマンスで生活指導の頭を風船のように破裂させる。音が響くとともに脳漿などが飛び散って壇上を汚した。
 一拍置いて、体育館内から大勢の悲鳴が上がった。あまりにもうるさいので全員の口を閉じさせて黙らせる。

 『見せしめは以上や。まぁ見せしめって言っても今のクソ教師は初めから殺すつもりやったけどな。この教師は俺が喧嘩っ早い粗暴な生徒だって決めつけて、俺が今も酷い虐めに遭っているって主張しても真剣に聞きはせず、せいぜい加害者どもに口頭注意をしただけやった。俺以上に粗暴で人として最低のクズがいっぱいおるのに俺が悪いと断定して俺のことを疎かにしやがった。
 せやから殺そうって決めた。それだけや』

 一方的に告げてから、これから主に復讐する連中を宙に浮かせてこの舞台に引っ張り出した。

 谷里優人、小西陽介、中村一輝、前原優、本山純二、中林大毅、清水博樹、青山祐輝、井村遼、板敷なな、吉原蒔帆...の以上11人を大勢の前で晒して動きを止めたままにする。


 「「「「「...!!...!!」」」」」
 「は?何て?ああ、口閉じさせたままやったな。ちょっと待ってろや。未だに事情を知らんままでいる有象無象どもに説明するから、その間はそこで大人しく待機してろや。まぁ動きたくても動けないやろーけど」

 さっき見せしめを披露したにも関わらず未だ俺を血走った目で睨む谷里や中村を鼻で嗤ってやる。この期に及んで俺を締められるとか本気で思ってるらしい。本物の馬鹿やんやろうな。実際にああいう目に遭わないと分からないタイプらしい。後で嫌という程に思い知らせてやるけど。


 『今ここに引っ張り出した連中は、二年半にわたって俺を理不尽に虐げてきたクズども...虐めの主犯連中や!昼休みに体育館裏で3~5人で俺をリンチしたり、教科書やノートを汚したり、名誉棄損罪確定の侮辱発言や不名誉極まりない呼称を呼んで辱めたり、俺に関するデタラメでありもしない悪評を広めて虐めを助長させたりなど、この11人の最低なゴミクズどもはずっと俺を虐げてきた!!』

 舞台上にいる11人に指さして声を大にして告げる。その声には怒りと悔しさをしっかり滲ませる。谷里らは尚も俺を睨みつけている。クズ呼ばわりが気に入らなかったんかねー?

 『俺は一年生の頃からこの最低なゴミクズどもにずっと苦しめられ続けてきた!
 止めろといくら叫んで抵抗しても虐めの手は止むことなく俺を理不尽に痛めつけて辱めるばかり!常に集団で俺に暴行するという卑劣極まりないクソッタレどもや!!お前らも、知ってるはずやで?何人かは見たはずや。俺が如何に酷い虐めに遭っていたかを』

 再度11人の悪事を声高に明かした次は有象無象どもに話を振る。何人かが俯く様子が見られた。三年五組の連中は誰もが苦い顔をしていた。

 『まぁお前ら有象無象には期待してへんかったし?まだションベン臭いクソガキどもに助け求めたって無駄やゆーことは分かり切ってたし。ましてや俺と親しくもない奴らなんか尚更やろうし。
 けど...大人は別やんなァ?ええ、教師の皆々様よォ?』

 生徒どもを見回してから急に話題を教師どもに変える。先程の見せしめがショックだったのか、未だ震えている教師らもいる。三年の各クラスの担任どもと校長あたりは俺に目を合わせようともしない。完全に自分らは確信犯ですと認めてると同義や。

 『お前ら学校での教師ってさァ?ただ勉強教えるだけの存在なん?悪いことは悪いと言って止めさせる。人生の正しい道を説く存在であること、人として正しい姿を見せること、生徒をなるべく正しい道へ導くこと、そして...助けを求めている生徒に手を差し伸べる存在であること!ベタやけど教師ってそういうモンやないんですか、ねェ!?』

 苦い顔で俯く教師ども。

 『俺は何度も虐めを止めて欲しい、助けて欲しい、あいつらをどうにかして欲しいと、何度も担任とか生活指導とか保健医とかに訴えてきたよな?
 で、お前らはどう対処したんやっけ?なァ校長先生?
 虐めを世間に明るみに出すことを良しとせず隠蔽しやがったんだっけなァ!?』
 「...っ!!」

 俺の殺気を当てられた校長は腰を抜かしてその場で崩れ落ちる。顔は真っ青だ。

 『学校に瑕がつくのを良く思わなかったお前は、生徒の保護者ども、特にPTA連中に虐めという事実を隠蔽した......そう俺の担任の先生から聞いたで?そうやんな、江藤先生ェ?』
 
 ここで江藤に目を向ける。同時に口を解放して喋らせるようにもしてやった。荒く息を吐いている江藤に俺は命令を飛ばす。

 「“ここで全て正直に話せ。嘘は許さない。この学校は俺の虐めに対してどう処分することにしたのかを全て暴露しろ”」

 江藤を無理矢理歩かせて全員が見える位置に立たせる。やがて江藤が喋り始める。


 「......今杉山が言った通り、校長先生が杉山が訴えていた虐めの件を公表しないことを決めて、私を含む三年のクラスの担任の先生たちに虐めの解決を命じてきました。我が校の名誉を汚すのを防ぐ為だとも言ってました...。担任を持つ私らも、杉山は谷里や本山、中村らと同様喧嘩をするという理由で、彼自身の虐め相談を無碍にしてしまいました。全て事実、です...!」


 最後は涙ながらに告白する江藤。

 「...っ!!」

 さっきまで怯えていた校長が今度は江藤に非難の目を向ける。完全に自分の体裁のことしか考えていないクズを晒してやがる。

 青い顔をして嘘偽りない事実を全て暴露した江藤を下がらせて、再び全員に話しかける。


 『...という理由があったから、俺はさっき学校を処刑するって宣言したんや!比喩表現でもない、そのままや。俺を理不尽に虐げた連中も。俺を侮辱したり私物を汚したりして辱めた連中も、それらの光景を笑って見物してた連中も、同様のものを見ておきながら無関心を装っていた有象無象どもも、助けに応じなかった教師どもも、俺の虐め事情を公表せず隠すことを命じた校長も!
 全員ここでぶち殺しまーすっ!!」





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