転生して帰って来た俺は 異世界で得た力を使って復讐する

カイガ

間章 間話「悪魔の潜伏先」

  あの世にあると言われ、清い心を持った女性しか住めないと言われている世界...「女神界」。そこに住む者たちを“女神族”と呼ばれている。


 「ようやく......見つけました...!けどまさか......こんなことになっていたなんて......!」

 女神族の長を務めている女性...大女神《おおめがみ》は、やや憔悴した様子で彼女の手にある水晶玉を見つめている。その玉には、一人の少年が映し出されていた。

 
 「戦闘可能な女神たち全員を私のところへ集合させて下さい。“あの者”の潜伏先がついに特定できましたと伝えることも忘れずに」

 
 十分後、戦える女神戦士数十人が大女神のもとに集った。

 「伝令係が言ったこと、本当なのですか...!?」
 「間違いありません。この水晶玉に偽りを示すことはありませんから...。この私の捜索スキルを持ってしても“あの者”を見つけ出すのにここまで時間を要したのは想定外でした...。そのせいであなた方には大変負担をかけてしまい、申し訳ないです...。既に犠牲になった女神戦士もいると、聞いてます...」

 大女神の悲痛に満ちた言葉に誰もが痛みを堪えるような表情をする。

 「そんなことは...大女神様こそがいちばん無理をしている身ではありませんか。自身を責めないで下さい...。それよりも、“奴”はいったいどこへ...?」
 「ええ、それは.........《《人間界》》です」

 大女神の答えに女神全員が驚愕する。標的がまさか次元を破ってあの世界...人間界へ潜伏するなど考えもしていなかったからだ。

 「人間側にとってはここは“あの世”と呼ばれている次元。そして人間界は“この世”という次元。本来どちらにも別の次元へ渡ることは不可能であり、たとえ出来たとしてもそれは禁忌とされていることです。
 しかし彼......《《悪魔族》》の長は私たちの予想をはるかに上回る進化を遂げて、次元にまで手を出すまでの存在になってしまったそうです...。もし、彼が率いる戦士までもが人間界に侵略したとしたら――」

 ―――人間界は確実に滅ぼされる

 大女神の言葉に誰もが戦慄した。
 
 女神族と対立している族...「悪魔族」とは、数百年前から戦争を続けている関係である。悪魔族の長があの世を支配すべく女神族の領域に侵略をし始めたのが事の発端だ。
 争いは女神族が押していたと思われていたが、五十年程前に悪魔族の長が突然自身の数を増やして戦力を強化させたことで、戦争はさらに混乱を招いた。
 しかし戦いの最中で悪魔本人の口から、「自分は残り一人をどこかに避難させている。そいつを倒さない限りは自分は殺せない、死なない」という言質を取って以降、大女神は最後の長の行方を捜し続けていたのだ。その間彼女も体力を削って分身体を使って戦いに参加しながらだ。
 そしてようやく最後の一体を発見した...という流れである。


 「悪魔族の長...“サタン”は、人間界にいるある少年の中に潜伏していることが分かりました。その少年も、普通の人間ではありません...。サタンが潜伏しているという理由もありますが、その少年は......一度死んで別の世界へ転生した者で、その後空間をわたって元の世界へ帰ってきた人間なのです」
 「―――」

 大女神の言葉に誰かが大きく狼狽した気配がしたが、誰もそれを指摘することはしなかった。他の彼女らもそれなりに驚愕しているからだ。
 男が死んだ場合、心が清い者ならば「天界」と呼ばれるところへ送られるのが普通だったからだ。因みに天界の反対は「涅槃《ねはん》」という場所である。
 何故そのようなイレギュラーがあったのか......その原因は、大女神の次の言葉で分かることになり、さらに驚愕することになる。


 「その少年を別の人間界へ転生させたのは...私なのです。事情があってそうさせてしまいました。結果、彼は天界でも涅槃でもなく、再び人の生を受けてしまっているのです...。
 そしていつどういう経緯でそうなったのか分かりませんが、今彼の中には、あのサタンが潜伏しているのです...」


 大女神の衝撃的な告白に、一人を除く女神全員が騒然とする。


 「その少年の名は―――杉山友聖《すぎやまゆうせい》。彼を討伐すれば、悪魔族との戦争に終止符をつけることができます―――」
 

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