レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

第73話 旅館の中


「ありがとうね愛理。 たまには一人でゆっくり寛ぎたくてね」

愛理はそう言う楓にの方向を見て、最近迷惑ばかりかけて心配させてばかりだからと落ち込んでしまう。そんなことを考えて落ち込んでいる愛理を見た楓は愛理の頭を撫でて、そんなに落ち込まなくていいのよと言う。

「ありがとう……ママには迷惑ばかりかけてるからこの旅行中はゆっくり過ごしてね!」

愛理のその言葉を聞いた楓は、泣いちゃうと言って泣きまねをする。

「泣きまねなんてしなくていいから! 奏たちの方にいこうよ」

そう言い受付を済ませた二人は、一階で椅子に座っている奏とエレナに歩いていく。奏とエレナは椅子に座って何やら談笑しているようであり、奏に気がつく人は誰もいないようであった。

「あ、お姉ちゃん! 遅いよー」

奏は愛理と楓を見ると、愛理に遅いと文句を言った。奏はエレナと共にどこかでもらったであろう抹茶を湯飲みで飲んでいた。また、エレナは売店で買ったと言って抹茶ポテポトルという抹茶味の長芋を食べていた。

「何それ!? 抹茶ポテポトル!? それ知らないわ!」

愛理は目を輝かせながらエレナの食べるお菓子を超至近距離で見ていると、エレナが一緒に食べようと言ってくれた。

「いいの!? やった!」

愛理はそう言いながら、細長い五センチ程の抹茶ポテポトルを食べると、美味しいとその場で声を上げた。

「この抹茶味最高ね! どこで売ってたの!?」

愛理が美味しい美味しいと何個も食べていると、エレナがあそこの売店で買えるからもう食べないでと涙目になっていた。

「あ、ごめんね! 凄い美味しかったから食べすぎちゃった……」

愛理がそう言うと、エレナは愛理が喜んでくれてよかったと涙目で言う。

「か、買ってくるからちょっと待ってて!」

愛理はそう言いながら、小走りで売店でエレナが食べていたのと同じ抹茶ポテポトルを二個買って急いでエレナのもとに走っていく。

「ごめんね! エレナ!」

愛理は謝りながらエレナのもとに戻ると、ビニール袋から抹茶ポテポトルを二個取り出して、エレナに渡した。

「二個もいいの!? ありがとう!」

エレナは愛理に抱き着いてありがとうと言うと、どこからか仲の良い姉妹ねという声が聞こえた。愛理は恥ずかしくなりエレナを剥がすと、ママが待ってるから早く行くわよと入り口近くにあるウェルカムドリンク飲み場でグァバジュースを飲んでいた。

「あ、やっときたー待ちくたびれて三杯も飲んじゃったわ」

楓は愛理たちも飲みなよと言って三人にグァバジュースを手渡した。愛理はグァバジュースを飲むと、初めて飲んだけど美味しいと言っていた。

「こんなに美味しいなんて……もっと飲んじゃおう!」

愛理はエレナと共にグァバジュースを四杯飲むと、奏が飲みすぎだよと静止した。

「だって美味しいんだもん!」

愛理とエレナがハモりながら言うと、旅館の従業員の年老いた女性が楓たちのもとに歩いてきた。

「楽しそうな娘さんたちでいいことですね」

白髪混じりの年老いた女性は、楓たちの荷物を持つという。しかし、楓たちは自分で持つと言ってその提案を断った。

「そうですか。 では、お部屋の方へご案内いたします」

そう言い、従業員の女性が先を歩いて行く。その従業員の女性は奥にあるエレベーターの方に行く。そして、中に入ると十三階のボタンを押した。

「十三階!? そんな上層階に泊まるの!?」

愛理が驚いていると、奏が楓にいい部屋なのと聞く。

「そうみたい! 校長先生いい部屋を予約してくれたみたいね!」

楓はウキウキとしながら部屋を楽しみにしていた。エレナは奏にどんな部屋何だろうねと話していると、奏が綺麗な部屋だと嬉しいなと笑顔になっていた。その二人の話を聞いていた従業員の女性は、小さく笑っていた。十三階に到着すると、そのエリアはとても広く感じた。エレベーター前にはヒノキで出来た長方形の愛理の腰まである箱があり、その箱の上には生花の花が花瓶に入れて置いてあった。

また、十三階には部屋が三部屋しかなくそのうちの一部屋を愛理たちが使用することになっている。従業員の女性はそのうちの一部屋である1301番の部屋の前に行き、カードキーを取り出した。ドアにあるカードリーダーにカードを通すと、部屋の鍵が開いてドアを開いた。

「さ、ここがお客様の泊まる部屋です」

そう言い、楓たちを部屋の中に入れる。愛理はその部屋を見ると、凄いと小さな声で驚いていた。

「こ、こ、こ、こんな部屋に泊まれるの!?」

愛理が驚くのも無理がなかった。その部屋は和と洋を見事に合わせた豪華な3LDKのバストイレ別の部屋となっており、この部屋にいるだけで別荘として使用できるほどの豪華な作りとなっている。そして、この部屋には四十型の大きなテレビや個人部屋風呂が二種類使用できるようであった。この旅館の温泉以外にも個人部屋風呂があるので、この旅館の温泉を倍楽しめると奏とエレナは喜んでいた。

「さて、お部屋の説明ですが……もう楽しまれているようですので大丈夫ですな用ですね」

従業員の女性は苦笑しながら楓に言うと、楓に二枚の紙を渡した。その紙には夕食券と朝食券と書かれていた。

「お夕食は今晩の十八時から、ご朝食は朝の七時からとなっております」

そう聞いた楓はありがとうございますと返した。

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