レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

第72話 温泉旅館


駅近の商店街から離れて、旅館に行く道を歩いていると、海が見えてきた。孔雀温泉は海岸沿いにある温泉であり、愛理は海辺を歩きながら静かな海水の音が聞こえる海の音色を聞きながら、目を閉じて自然を感じていると、エレナなが目を閉じて歩いていると転ぶよと話しかけてきた。

「ちょっと! 海の音を聞いていたのに話しかけないでよ」

愛理がエレナに文句を言うと、エレナが海に音色なんてあるのと目を輝かせながら聞いてくる。

「いや、あの……海の音色はね……」

愛理が戸惑っていると、奏がエレナに気分を感じてただけだから、海の音色なんてないよと言った。

「奏ぇ……それを言わないでよぉ……」

愛理が奏の名前を呼ぶと、先にある交差点にいた女子高生と思われる数人のグループの一人が早足で奏の方に来た。

「あ、あの! もしかして、黒羽奏さんですか!?」

一人の女子高生が歩いている奏に話しかけると、奏は何ですかと可愛らしい話し方をし始めた。

「何か御用ですか?」

奏がそう話すと、女子高生がファンですと肩から下げていた学生鞄から色紙を取り出した。

「こ、こ、こ、この色紙にサインをいただけないでしょうか!」

奏は渡された色紙を手に持って、追加で渡されたマジックペンを右手に自身のサインを書いた。

「はい! いつも応援ありがとうございます!」

奏はいつも撮影でしている笑顔をして、サインを書いた色紙をファンの女子高生に渡した。自身より年が上なのにも関わらず、奏は自信をもって接していた。

「あ、ありがとうございます! 嬉しい……」

サイン色紙をもらった女子高生の笑顔を見た奏は、その女子高生の手を掴んで握手をした。

「これからも応援よろしくお願いします」

奏が笑顔で言うと、女子高生も笑顔になりながらグループの元に戻っていった。

「奏は本当に芸能人なんだねー」

愛理が奏の方を見ながら、身内が芸能人なんて鼻が高いわと言っている。すると、奏が私が元気もらっているように、私も元気を届けたいからと言っていた。

「奏ちゃんからはいつも元気貰ってるよ」

エレナは奏の頭を撫でながら言う。奏はエレナにありがとうと言うと、二人して手を繋いで先を歩き始めた。

「なんか私より姉妹みたいなんですけど……」

愛理がそうボヤくと、楓が姉妹みたいになってよかったじゃないと返答した。愛理はそうかもしれないわねと言うと、三姉妹っていうのもいいものなのかもしれないわねと呟く。

「あ、あの海辺に見える大きな旅館が泊まる宿?」

右隣を歩く楓に言うと、楓がそうよと一枚のA4サイズの紙を手持ち鞄から取り出した。

「この案内用紙によると、愛理の指さしたあそこの旅館が泊まる旅館みたいよ」

楓がそう言うと、愛理が先を歩く奏とエレナに大声でそこで止まってと言った。その言葉を聞いた二人は信号の手前で止まり、愛理と楓を待つことにした。

「なにー? 突然どうしたの?」

奏は後ろから声を上げた愛理に話しかけると、愛理はそこの大きな海辺にある旅館に泊まるのよと言う。奏とエレナが海辺にある大きな十四階建ての縦長の旅館を見ると、凄い綺麗な旅館だと騒いでいた。

「あの旅館凄い! 絶対綺麗だよ!」

奏がそう言うと、エレナも綺麗なの最高だねと言う。楓は早く行きましょうと言って奏とエレナの二人を連れて先に走ってしまう。先を走る楓たちを愛理が追いかけると、目の前に大きな愛理たちが泊まる旅館が見えてきた。その旅館は近くで見るとより大きく感じ、入り口は高級ホテルを思わせる煌びやかな入り口であり、自動ドアが設置してあった。

愛理はその自動ドアを抜けると、目の前に大きな空間が現れた。両脇に上階や地下に続く階段やエスカレーターがあり、奥にはエレベーターが設置してあった。天井は吹き抜けになっており、そこには和風なアンティーク調のシーリングライトなどが吊るされていた。愛理は一歩また一歩と歩いて行くと、この空間がいい匂いが蔓延していることに気がついた。

「なんかいい匂いがする……どこからきてるんだろう……」

愛理がそんなことを思いながら歩いていると、前方から楽しそうに話しているカップルがあるいてきた。そのカップルは温泉が楽しみだや、料理が楽しみとこの旅館のことを話しているようであった。奏とエレナは楓が受付をしている間に、この一階を探索すると歩いて行った。愛理は楓の隣に立つと、着々と受付を進めていく楓を凄いと感じていた。

「晩御飯はバイキングでいいわね……あとは個人風呂があるのね! 私だけ入ろうかしら」

自分だけ入ろうとしているので、愛理が私も入ると言う。しかし楓は私が入ると頑固になり、愛理はわかったわよと拗ねた。

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