レーヴハーモニー輝く星の希望

天羽睦月

第63話 エレナの力


エレナが眩い光を放って愛理に抱き続けると、愛理の右腕が生えて身体中の傷も癒えていた。エレナは眩い光が消えると、その場で倒れてしまった。

「エレナ!? 大丈夫!? ねぇ!」

愛理がエレナの方を向いて倒れるエレナを抱くと、エレナはこれで愛理ちゃんは戦えるよと疲れた声で言う。

「どういう意味? あっ……腕がある……」

愛理は自身の切り落とされた腕を見ると、そこには腕が存在していた。吹き飛ばされて地面に落ちていた自身の腕の方を見ると、そこに落ちていたはずの腕が消えている。愛理は何が起きたのかと不思議に思うが、今はエレナのおかげで傷が癒えたこの身体で目の前にいる甲冑の怪物を倒すことだけを考えようと決めた。

「私はまだ弱いけど。 お前を倒さないといけないの!」

愛理がそう叫ぶと、あのシンとの戦いの様に愛理の身体が光って剣が出現した。愛理はその身体から出た剣を右手に掴んで、目の前にいる甲冑の怪物と対峙する。楓はその必死の形相で剣を掴んで甲冑の怪物と対峙をする娘に心が痛んでいた。

「愛理……愛理! 頑張って!」

楓が叫ぶと、愛理にその声が届いたのか頑張ると愛理は振り向かずに返答していた。楓はエレナを抱いて少し離れた場所に移動した。愛理はそのことを振り向いて確認すると、剣にライトソードを意識せずに被せて切れ味をあげた。

愛理は剣を構えてライトソードを付加させたまま突撃をする。甲冑の怪物は刀で愛理の攻撃を何度も防いでいく。愛理は防がれながらも鍔迫り合いながらも諦めずにもう負けないと叫びながら攻撃を続けていく。

「私はもう負けない! 守るために戦っていくんだ!」

愛理は甲冑の怪物の刀を上に弾くと、剣で胴部分に攻撃をして甲冑の砕いた。一撃で砕けるとは思っていなかったが、ライトソードを無意識で剣に付与していたために、威力と切れ味が数段上がっているようであった。

「私にまだ剣技はないけど、それでも目の前の怪物を倒す技ならある!」

愛理は光属性の魔力を剣全体に纏わす。そして、愛理は絶剣と下から上に剣を振り上げながら絶光に似た攻撃を繰り出した。

「これで倒すんだ!」

甲冑の怪物を切り付けながら眩い光を上空に放ち続ける。その攻撃は天から悪を浄化させるような綺麗と思える光が怪物を消し去るように、徐々に甲冑の怪物の身体が消え続けていた。怪物は呻き声を上げながら愛理に向けて右手を伸ばし愛理にもその光を浴びせようとしていたが、実際に愛理がその光を受けたらどのようなことが起きるかはその場にいる誰一人分からなかった。

「ぐぅぅぅ……私は……私は……負けない!」

光に飲み込まれる瞬間に、愛理は力を込めて振り上げていた剣を振り下ろした。すると光がより輝いて甲冑の怪物の身体が崩れて消えた。愛理はその様子を見て、この剣の力にまた助けられたと呟きながらその場に倒れてしまった。愛理が倒れた光の攻撃が行われた地面には、幾何学的な文様が刻まれていた。

愛理は薄目で見たその紋様を何だろうと呟きながら気絶してしまった。愛理が次に目が覚めた場所は自室であった。既に数時間が経過しており、薄めを開けると床に座って愛理の布団に倒れるような形で寝ているエレナと奏の姿があった。愛理はなんでここに居るのかと思って身体を起こすと、部屋に楓と正人が入ってきた。二人は愛理が身体を起こしているのを見ると、愛理に駆け寄った。

「愛理! 目が覚めたのね! 良かったぁ!」

楓は涙を流しながら愛理に抱き着くと、エレナと奏は何が起きたのと目を擦りながら起きる。すると、エレナと奏は楓と共に愛理に抱き着く。

「お姉ちゃん良かったぁ! やっと気がついた……」

楓と同じく涙を流しながら抱き着くと、エレナも良かったと言いながら愛理の腹部に抱き着く。

「愛理が起きたぁ! もう心配したよぉ……」

エレナは怪物との戦闘後に倒れてしまったので、自分の力のせいかと不安になっていた。しかし、特殊魔法部隊の男性隊員がエレナのせいではなく、戦闘の疲労と言ってくれたのでエレナは安心していた。

「私のことより、エレナは大丈夫なの!? 私を回復してくれた後に倒れてたけど!」

愛理は腹部に抱き着くエレナの両頬に両手を当てて大丈夫なのと聞くと、エレナは少し寝たら元気いっぱいだよと笑顔で返した。

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