レーヴハーモニー輝く星の希望
第57話 片付けと昼
「もうほとんど片付けちゃったばかりだけど、部屋の奥にある小机がまだだから二人で出て左にある新しい物置部屋に運んでね」
エレナは一直線に奥にある小机を持ち上げると、足早に新しい物置部屋に走っていく。 愛理は走ったら転ぶよと言うが、エレナは平気だよと元気な声で答えた。
「ここが新しい物置部屋だ! 凄いものがたくさん置いてある! あ、これ服だ! 服も置いてある!」
エレナは置いてある服に興味が出たようで、愛理はそのエレナが見ている服を見ると、その服は愛理が中学生時代に着ていた制服であった。
「これ私が注学生時代に着ていた制服だよ。 今も奏が着てるはずよ」
その言葉を聞いたエレナは私も着てみたいと愛理に抱き着いて言う。 愛理はエレナには大きすぎるかもねと言いながら、制服をハンガーから取ってエレナに着させ始めた。
「ここに頭を通して……両腕をここから出して……着れた! 後はスカートを履いて完成よ!」
愛理が自身の制服を着せると、エレナはその場で何回も回転をして制服を着心地を確かめ、自身の身体を何回も服の上から触っていた。
「急にどうしたの? 服をそんなに触って?」
エレナの突然の行動に愛理が困惑していると、エレナがこの服を着て学校ていうところに行きたいと眩しい笑顔で愛理に詰め寄った。
「が、学校!? それは私の一存じゃ決めれないわね……ママに相談して!」
愛理が楓に聞いてと言うと、すぐさま制服を着たまま楓がいる部屋に駆けて行った。 愛理は待ってと言うが、その声はエレナに届くことはなかった。エレナが楓のいる部屋に戻り、楓に学校に通いたいと懇願している姿が愛理の目に入った。 愛理はエレナを楓から引き剥がすと、エレナに落ち着いてと言った。
「学校通いたい! 学校通いたい! 学校通いたい!」
エレナは両腕を振りながら楓に再度詰め寄ると、楓がエレナちゃんが学校に通えるように今してる最中よと笑顔で言った。 エレナはその言葉を聞くと、目を見開いて唖然とした表情になった。
「本当!? 私学校に通えるの!? 嘘じゃないよね!?」
楓の服を掴んで前後に揺さぶるエレナに、楓が屈んで視線を合わせて本当よと言った。 その言葉を聞いたエレナは、本当に行けるのと楓の目を見て再度聞き返す。
「本当よ。 今色々な手続きをしているところで、もう少しかかっちゃうけど、もう少し待ってね」
楓がそう言いながら抱きしめると、エレナがやったーと喜んでいた。 愛理はその姿を見ていると、エレナが本当の家族になったんだなと改めて感じていた。 エレナが通うとすれば、自身も通っており現在は奏が通っている中学校になるだろうなと思い、使っていた教科書やノートを上げようかなと考えていた。
「通うときになったら、私の制服やノートに教科書あげるね!」
愛理のノートを上げるなどの言葉を聞いたエレナは、ありがとうと言って愛理に抱き着いた。 愛理はそんなに抱き着かなくてもいいわよと言ってエレナの頭部を撫でる。 その光景を見た楓は、もう本当の姉妹みたいねと小さく笑っていた。楓はその二人を見て、そろそろ休憩にしましょうかと言う。 エレナはまだ片づけをしたいと言うが、愛理がなんやかんやお昼になってるよと言う。
「今はお昼食べてゆっくりしようね」
愛理のその言葉にエレナがお昼食べると笑顔で言う。 楓はすぐ作るからリビングで待っていてねと二人に言う。
「お昼なんだろうね! 楽しみだなぁ!」
食卓の椅子に座って足を振っているエレナは、何かのもうと冷蔵庫の扉を開けて、大好きなジャスミン茶をコップに入れて飲み始めた。 愛理は自分も飲むと言ってエレナの隣に歩いてジャスミン茶をコップに注いだ。
「やっぱりこのジャスミン茶美味しい! 今一番好き!」
エレナは何杯もジャスミン茶を飲むと、頭が痛いと言い出した。 愛理は飲みすぎだよと言ってエレナの額に手を当てる。
「なにしてるの? 頭が痛いの?」
楓が愛理がエレナの額に手を当てているのを見て、驚いていた。 しかし、愛理がエレナがジャスミン茶飲みすぎて頭が痛くなっただけよと言うと、気を付けてねと言って料理をし始める。
「何作ってくれるのー? 美味しいやつがいい!」
エレナが楓の背後に立って料理を作っている姿を背伸びして覗いていると、何それ初めて見るとはしゃぎながら何度の角度を変えて覗き続けていた。
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