第27話 怪物と死の接近

教師たちは一体のトナカイの怪物に対して十人がかりで攻撃をし、 足止めや錯乱、攻撃魔法によって倒すことに必死であった。 戦っている以外の教師たちは、警察や特殊魔法部隊に連絡を取ったり、避難する生徒たちの護衛などをしている。

外も地獄のような戦闘や悲鳴が轟くなか、愛理と葵は人型の怪物と戦う星空校長を支援しようと動くと、星空校長が短剣を持って、人型の怪物と鍔ぜり合っていると、愛理がライトシールドを発動して星空校長と人型の怪物の間に入った。

星空校長が驚いていると、葵が、人型の怪物の影を操って、動きを止める。 葵は愛理がいつの間にそんな魔法を使えるようになっているのか知らなかったために、星空校長と愛理がその調子と声を上げていた。

「二人はそのまま耐えてくれよ！ 光の粒子よ、この敵を貫け！ 絶光！」

絶光と魔法名を発した星空校長は、右手の掌を人型の怪物に向けると、その掌から光線思わしき光が放たれた。 人型の怪物は、両手の刀で光線を防ぐも。右腕が耐えられずに吹き飛んでしまっていた。 しかし、腕が吹き飛んだからといってその動きは止まらなかった。 人型の怪物は、口がないのにも関わらず、何か叫んでいるようであった。 そして、その叫んでいる動作が数秒間続いていると、皮膚が裂けて口に該当する部分が現れる。

「お、ま、え、た、ち、を、こ、ろ、す……」

不気味な現れ方をした口から、低音で殺すと三人に言った。

「あの人型の怪物に口が！？」

愛理が驚いていると星空校長が、目を見開いて逃げろと愛理と葵に向かって叫んだ。 星空校長が叫ぶと同時に、愛理と葵に衝撃波が襲い掛かってきた。

「ぐぅ！ この衝撃は！？」

愛理はその場で飛ばされずに堪えるも、葵は後方に吹き飛ばされていた。 愛理はすぐさま葵に向かって走って助けに行くも、愛理の走る後ろで金属同士がぶつかる音が聞こえた。 愛理が振り返ると先ほどまで愛理がいた場所にて、星空校長の短剣と人型の怪物の左腕の刀が鍔ぜり合っていた。

「早く葵君を助けてあげてくれ！」

愛理にそう叫んだ星空校長は、人型の怪物の腹部に蹴りを入れて距離を取ることにした。 しかし、すぐに間合いを詰められてしまった星空校長は、左斜めに切り裂かれてしまってその場に倒れてしまう。

「校長先生！」

愛理が後ろを振り向いて星空校長の名前を呼ぶと、逃げろと小さく呟いていた。 愛理は葵を抱き起すと、葵は額が痛いと言いながら手を当てていた。

「あ……血が出てる……」

葵はスカートのポケットに入れていたハンカチで、血を拭いていく。 愛理は星空校長に言われた通り、葵を連れてこの場から離れようと考えた。 星空校長を置いて愛理は葵を連れてこの場から離れようとした瞬間、人型の怪物が愛理たちに目をつけて、襲ってきた。

愛理はとっさにライトシールドを発動し、人型の怪物の攻撃をギリギリ防ぐ。 愛理はその人型の怪物の攻撃の速度に恐怖を感じるが、葵に先に走ってと言い、自身はライトシールドで攻撃を防ぎながら後退をしようと決めた。

「走って葵！ 先に逃げて！」

愛理のその言葉に、葵は先に待ってるからと叫んで走っていく。 愛理はちゃんと行くよと小声で言うと、目の前にいる人型の怪物と対峙した。

「今の私じゃとても敵わないけど、足止めくらいなら！」

ライトシールドで、人型の怪物の攻撃を防いでいく。 しかし、その攻撃の速さや重さに、次第に防ぐことが困難になっていた。

「ぐぅ……盾の形を保てなくなってきた……」

愛理は冷や汗をかきながら、人型の怪物の攻撃を防いでいた。 だが、攻撃を防いで数分が経過すると、ライトシールドの形が崩れていき、愛理の魔力が減ってきていた。

「やばい！ もう魔力が！」

そう言った瞬間、人型の怪物の蹴りが愛理の腹部に衝突して吹き飛ばされてしまう。