指名手配ヒーローマスクハンズマスクのむこうがわ

ビッグバン

序章

マスクそれはヒーロー達にとって命とも言える代物である。

ヒーロー達は象徴するシンボルでもあるそのマスクはヒーロー達にとって自分自身の存在そのものであり、むしろ、マスクが本体と言って良いほど重要なものである。

そんなヒーロー達の命であるマスクを一人剥ぎ取るヒーローがいた。

彼の名はマスクハンズ。世間からは怪人と言われ指名手配されながらも彼がなぜマスクを狩るのか。

今回はそんな彼の世間から被せられた怪人としてのマスクを剥がし、その素顔を迫ってみよう。

彼はいつも様子を伺っている次なるターゲットを探し闇に身を潜めてじっとその時を待っている。

そんな時、ターゲットとなるヒーローがやってきた。彼の名は剛力ヒーローマキシマム。
誰もが認める一流のヒーローで。真っ赤な炎の形の目と額に力コブの形のシンボル。ド派手な真っ赤なボロボロのマントをまとい、ムキムキの体に傷だらけの衣装がその強さを物語っている。

しかし、そんな彼ももう年であり、そろそろ引退しても良い年なのだが、彼のプライドが許さないのか。引退をしないのだ。

私がそんな事を考えているとついに奴が現れた。マスクを剥ぎ取る怪人マスクハンズ。彼のマスクは毎回違い剥ぎ取ったヒーローの物を身につけている。今回は最近失踪したベテランヒーロースカルビーの骸骨の額に蜂の紋章が入ったマスクをかぶっている。頭はスカルビーそのものだが明らかに違うものがあるそれは胴体だ。胸にはマスクの紋章にバツマークの付いたマスクハンズのマークがついている。それがオリジナルとは違う事を物語っていた。

マスクハンズはゆっくりとマキシマムに近づくと彼に向かってこう言った。

「マキシマム。お前にはもうそのマスクは似合わない。自分でもわかってるだろう。マキシマム。昔みたいに身体が動かない事に。年々弱くなって行く自分に。昔は絶対に揺らぐ事はなかった自信が最近は揺らいでいる事に。」

マスクハンズはマキシマムの目をじっと見つめなだめる様にこう言った。

「マキシマム。お前はもう十分頑張った。もういいんだ。誰かと戦わなくも良い。もう恐怖で引きつる顔や涙をマスクで隠さなくても良いんだ。お前のヒーローとしての誇りは後は私が受け継ごう。マスクを渡せ。お前には、素顔のお前を待つ家族がいるだろ。家族はマキシマムじゃなく素顔のお前を待っているんだ。マキシマムじゃなくなっても何も心配は要らん。さあマスクを渡せ。マキシマム」

マキシマムはマスクハンズを睨つけこう言った。

「誰にもの言ってやがる若造。俺は剛力ヒーローマキシマムだ。人々の希望であり、心の支えだ。俺が生きてる限り引退なんてできねぇよ。それでもこのマスクが欲しいってんなら力づくで奪ってみな。」

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