夜の詩

小鳥 薊

第3話 罪滅ぼし

あなたの瞳に光った星が
ちりちりと燃えている

その星から世界を見る

濡れたあなたの睫毛のしじまに
射すレンブラントの光線を
目線で追いかけていたら
冷たい闇に堕ちまして
ここはツミホロボシという小さな星だ、と
夕顔が教えてくれた

あなたの悲しみの星に
もうすぐ夜がやって来る
わたしたちはいつだって
生きる毎に罪を生み出しているのだ
息をするようにね
それは浸透し蓄積する
ブラックコーヒーの毒である
あるいは透明な棘である

わたしの些細な過ちであった
あなたが許せない過ちであった

悲しみに打ち拉がれて
そこからどうやって立ち上がったのか
あなたのその瞬間を知らずに
わたしは今日まで過ごしてきた
そのことが最大の罪

どうかどうか
わたしという名の罪を滅ぼし
あなたという名の罪を滅ぼし
一緒に消失しましょう

呪文のような懺悔は永い時間をかけ
ほろほろと剥がれ落ちる
罪は風に削られ屑になる
散り積もり大地になる
あるいは夜空に舞い上がり那由他の星になる

ここは風がいつも吹いているので風化が早いのだ、と
ヒソップが教えてくれた

誰かが世界のどこかで大きな罪を生んだら
降り拡散する罪屑で 大気汚染の深刻化が嘆かれるか
あるいは
昇った罪屑の流星群が賑やか過ぎて 不眠症になるか
あるいは
そんなものの一切を強い風が吹き攫ってくれるのか

ここはまほろば
天国が近い

罪に囚われたのは誰であったか
罪に堕ちたのは誰であったか

罪は贖えた、と
神の声をこの星で待つ

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