幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)

雪月 桜

予期せぬ信頼

「よっ……と! おっ、ラックさん発見! って、わわっ!? なに、あのロボット! 超カッコイイ!」

「ええい! 一人で先行するんじゃない! さっきみたいな罠に引っ掛かったら、どうするんだ!」

「…………(パクパク)」

意外かつ唐突に、天井から登場した二人と、何故か絶対絶命の危機を脱してしまえた現実に、開いた口が塞がらないラック。

そんなラックを他所に、元凶の二人はマイペースに話を続けている。

「その時は、またベイドさんが助けてくれるでしょ? なんたって騎士ナイトだし!」

「確かに、その通りではあるが、進んでリスクを犯す君に頼られるのは釈然としないな!」

「……まぁ、でも、ほら! 今回は、なんか結果オーライっぽいよ? ラックさんは見るからにヘトヘトだし、カナちゃんも、あっちで倒れてるし」

「……ふむ。どうやら、そうらしいな。全く、この僕に宣戦布告しておきながら情けない」

「あー、ほらベイドさん。また嫌味な性格が出ちゃってるよ? これからは他人に歩み寄るんじゃないの?」

「そ、それとこれとは話が別だ! 自分で掲げた目標ひとつ果たせないような、情けない男を認めるつもりはない!」

「やれやれ、本心を自覚してもプライドの高さは相変わらずだなぁ。まっ、その辺は今後の課題ということでっ!」

ラックにとっては、なんの事か良く分からない話で盛り上がっていた、みのりんが、振り向きざまに発砲する。

その銃弾は、みのりん目掛けて放たれていたレーザーと相殺され、宙に消えた。

続けて、両手の二丁拳銃を駆使して射撃を連発する、みのりん。

人型兵器も、その猛攻にレーザーの嵐で対抗し、部屋のあちこちで閃光の花が咲き乱れていく。

「ベイドさん! 今のうちに、カナちゃんとラックさんを安全な所へ! 出来れば回復もしてあげて!」

「……フンッ、仕方ない。その人型兵器は少々、厄介そうだからな。せいぜい役に立ってもらうとしよう」

そう言って、ベイドは満身創痍のラックを担ぎ、カナの元へ向かう。

「えっ、ちょ、みのりんさんは一人で大丈夫なんですか!?」

「……はぁ? 君は、いったい誰の心配をしてるんだ? 彼女なら何の問題もないさ。そんな無駄な事を気にする暇があるなら、まず自分の体をなんとかしろ」

「む、無駄な事って……。ベイドさんに、ここまで言わせるとは、流石みのりんさんですね。とはいえ……」

みのりんに対して全幅の信頼が感じられるベイドの言葉。

いったい、このダンジョンで二人に何があったというのか。

その事情を知らないラックは、二人の関係に興味を惹かれて仕方がなかった。

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