幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)
イエローゾーン
「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
気勢を上げて人型兵器に迫るカナは、迎撃として放たれた青いレーザーを尽く弾き飛ばす。
「うぉぉぉっ!」
そして、奮い立たせた勇気を胸に、人形兵器へ立ち向かうラックもまた、無数の青いレーザーを余さず逸らす。
戦意を取り戻したとはいえ、未だ劣勢にあったはずの二人が形勢を逆転しているのは、一つの偶然が切っ掛けだった。
実は先程、カナが、うっかり足を滑らせたのだ。
疲れた素振りなど、これまで全く見せなかったカナだが、長時間の戦闘で、さすがに疲労が蓄積していたらしい。
その際、ちょうど手近にあった柱の瓦礫を迫りくるレーザーに投げつけ、少しでも軌道を逸らそうとした。
しかし、その瓦礫はレーザーの軌道を逸らすどころか、完全に霧散させていたのだった。
そこから着想を得て、カナは短くなった柱の一部を武器として、ラックは欠けた柱の一部を盾として、それぞれ活用することにした。
ちなみに【武装放棄】や【ステゴロ上等】の発動条件に抵触する心配もない。
これは、あくまでもオブジェクトであり、武器や盾として設定されている訳ではないからだ。
この戦いでのみ使用可能な戦法ではあるが、その効果は非常に有効だった。
厄介だった敵の攻撃を難なく防げるようになったので、こちらも攻撃に専念できる。
カナは拳と柱で、ラックは魔法で、それぞれ着実にダメージを重ねていく。
人型兵器の動きも少しずつ鈍くなっており、各部のパーツから煙が立ち昇っていた。
「カナさん! このまま行けば!」
「ああ、見ろ! 奴の体のライン!」
人型兵器の全身には、今まで青い光のラインが浮かんでいた。
しかし、ダメージを受けた事で、その色は黄色に変化している。
やがて体力の限界が近付けば、恐らく赤に変化するのだろう。
そうなれば機能停止まで、あと一息だ。
――そう思っていた。
「ハッハァ! もう、お前のレーザーなんて、怖くも何とも……っ!?」
油断したカナの背筋に悪寒が走る。
直感に従い、慌てて身を屈めると、頭上を黄色いレーザーが通過していった。
間一髪の所で、何とか回避に成功したものの、問題はレーザーが飛んできた向きにある。
そのレーザーは何故か背後から襲ってきたのだから。
「カ、カナさん……。あれ……」
ラックが震えながら、虚空を指差す。
そこには“壁や床、天井に当たって反射する数え切れないレーザーの嵐”という、悪夢のような光景が広がっていた。
「チッ……第2形態ならぬ第2能力ってことかよ」
気勢を上げて人型兵器に迫るカナは、迎撃として放たれた青いレーザーを尽く弾き飛ばす。
「うぉぉぉっ!」
そして、奮い立たせた勇気を胸に、人形兵器へ立ち向かうラックもまた、無数の青いレーザーを余さず逸らす。
戦意を取り戻したとはいえ、未だ劣勢にあったはずの二人が形勢を逆転しているのは、一つの偶然が切っ掛けだった。
実は先程、カナが、うっかり足を滑らせたのだ。
疲れた素振りなど、これまで全く見せなかったカナだが、長時間の戦闘で、さすがに疲労が蓄積していたらしい。
その際、ちょうど手近にあった柱の瓦礫を迫りくるレーザーに投げつけ、少しでも軌道を逸らそうとした。
しかし、その瓦礫はレーザーの軌道を逸らすどころか、完全に霧散させていたのだった。
そこから着想を得て、カナは短くなった柱の一部を武器として、ラックは欠けた柱の一部を盾として、それぞれ活用することにした。
ちなみに【武装放棄】や【ステゴロ上等】の発動条件に抵触する心配もない。
これは、あくまでもオブジェクトであり、武器や盾として設定されている訳ではないからだ。
この戦いでのみ使用可能な戦法ではあるが、その効果は非常に有効だった。
厄介だった敵の攻撃を難なく防げるようになったので、こちらも攻撃に専念できる。
カナは拳と柱で、ラックは魔法で、それぞれ着実にダメージを重ねていく。
人型兵器の動きも少しずつ鈍くなっており、各部のパーツから煙が立ち昇っていた。
「カナさん! このまま行けば!」
「ああ、見ろ! 奴の体のライン!」
人型兵器の全身には、今まで青い光のラインが浮かんでいた。
しかし、ダメージを受けた事で、その色は黄色に変化している。
やがて体力の限界が近付けば、恐らく赤に変化するのだろう。
そうなれば機能停止まで、あと一息だ。
――そう思っていた。
「ハッハァ! もう、お前のレーザーなんて、怖くも何とも……っ!?」
油断したカナの背筋に悪寒が走る。
直感に従い、慌てて身を屈めると、頭上を黄色いレーザーが通過していった。
間一髪の所で、何とか回避に成功したものの、問題はレーザーが飛んできた向きにある。
そのレーザーは何故か背後から襲ってきたのだから。
「カ、カナさん……。あれ……」
ラックが震えながら、虚空を指差す。
そこには“壁や床、天井に当たって反射する数え切れないレーザーの嵐”という、悪夢のような光景が広がっていた。
「チッ……第2形態ならぬ第2能力ってことかよ」
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