幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)
救世主
「勝っ……た?」
「クーッ! クーッ!」
突風と落雷による激しい音が止み、辺りが静けさを取り戻した頃、ネネは周囲を見渡した。
そして、黄金虎の姿がないことに気付き、声を漏らす。
その言葉に同意するように、アオバが頭上を楽しげに飛び回っている。
「おめでとうございます……ネネさん」
ここで、通路の方からトーシローが、よろよろと歩いてきた。
「トーシローさん! 大丈夫ですか!?」
このゲームでは、HPが1割を切ると意識が朦朧とし、動きが鈍くなる。
実際、今のトーシローには、いつもの覇気がなく、足取りもフラフラだ。
ネネは慌ててトーシローの元に駆け寄り、その体を支えた。
「……ありがとうございます。少しふらつくだけで、大したことありません。それより、最後の最後で倒れちゃって、すみません」
「そんな! 私の方こそ、トーシローさんを助けられなくて。それに、置いて来ちゃいましたし」
他に方法が無かったとはいえ、結果的に薄情な対応になってしまった事を、ネネは後ろめたく感じていた。
それに、黄金虎がネネを追わず、トーシローを優先して仕留める可能性もあったのだ。
そんな訳で、トーシローに謝られると、とても居たたまれない気分になってしまう。
「あははっ。じゃあ、お互い様ということで」
そんなネネの心理を察したのか、トーシローは、あっさりと笑って見せる。
自分は気にしない、だからネネも気にする必要はない。
トーシローの、そんな気遣いを悟って、ネネも、この件はもう掘り下げないことに決めた。
「……はい! それじゃあ、無事にクエストも終わりましたし、帰りましょうか」
「ですね。けど、ネネさん。油断は禁物ですよ。家に帰るまでがクエストですから」
遠足と同じノリで言われると、思わず笑いそうになるが、確かに、その通りではある。
せっかく、黄金虎を討伐したのに、ここで倒されてクエスト失敗なんて事になったら目も当てられない。
「気を付けます。それにトーシローさんも、私も、全然、戦える状態じゃないですからね」
「そうですよー。いま襲われたりしたら、絶体絶命です」
そんな事を話しながら、洞窟を出てると、もう、すっかり日が沈んで夜になっていた。
そんな事を話していたせいか、洞窟の外には別の黄金虎が徘徊していた。
なるほど、なるほど。
これが言霊、あるいはフラグというやつか。
……。
…………。
………………。
「わぁあああ!?」
「きゃあああ!?」
あまりにも、あんまりな現実 (ゲームだが……)を受け入れられず、たっぶり数秒間、固まってしまう。
そして、その反動で、迂闊にも盛大なリアクションを取ってしまった二人。
ここで、大人しく身を潜めていれば、見つからずに済んだかもしれないのに。
「グルァァァ!」
とはいえ、まさかの黄金虎、2連戦。
こんな不運、こんな悪夢、こんな理不尽、いったい誰が予想できるだろうか。
驚愕と絶望で悲鳴を上げた二人を責める者は、おそらく、いない。
そう、例えば——、
「うっさいなぁ、私のネネちゃんに近づくな!」
二条の閃光と共に空から現れ、倒した黄金虎を踏み台にして、二丁の魔導銃を手にポーズを決める。
ネネのピンチに駆け付けた親友の救世主みのりんもまた、二人を責めないに違いない。
……ちなみに、救世主様は、その数秒後、黄金虎が光の粒子になって消えたことで足場を失い、バランスを崩して顔面から大地へダイブ。
盛大に恥ずかしい場面を見られて、大いに赤面する事になるのだが、それはまた、別のお話。
「クーッ! クーッ!」
突風と落雷による激しい音が止み、辺りが静けさを取り戻した頃、ネネは周囲を見渡した。
そして、黄金虎の姿がないことに気付き、声を漏らす。
その言葉に同意するように、アオバが頭上を楽しげに飛び回っている。
「おめでとうございます……ネネさん」
ここで、通路の方からトーシローが、よろよろと歩いてきた。
「トーシローさん! 大丈夫ですか!?」
このゲームでは、HPが1割を切ると意識が朦朧とし、動きが鈍くなる。
実際、今のトーシローには、いつもの覇気がなく、足取りもフラフラだ。
ネネは慌ててトーシローの元に駆け寄り、その体を支えた。
「……ありがとうございます。少しふらつくだけで、大したことありません。それより、最後の最後で倒れちゃって、すみません」
「そんな! 私の方こそ、トーシローさんを助けられなくて。それに、置いて来ちゃいましたし」
他に方法が無かったとはいえ、結果的に薄情な対応になってしまった事を、ネネは後ろめたく感じていた。
それに、黄金虎がネネを追わず、トーシローを優先して仕留める可能性もあったのだ。
そんな訳で、トーシローに謝られると、とても居たたまれない気分になってしまう。
「あははっ。じゃあ、お互い様ということで」
そんなネネの心理を察したのか、トーシローは、あっさりと笑って見せる。
自分は気にしない、だからネネも気にする必要はない。
トーシローの、そんな気遣いを悟って、ネネも、この件はもう掘り下げないことに決めた。
「……はい! それじゃあ、無事にクエストも終わりましたし、帰りましょうか」
「ですね。けど、ネネさん。油断は禁物ですよ。家に帰るまでがクエストですから」
遠足と同じノリで言われると、思わず笑いそうになるが、確かに、その通りではある。
せっかく、黄金虎を討伐したのに、ここで倒されてクエスト失敗なんて事になったら目も当てられない。
「気を付けます。それにトーシローさんも、私も、全然、戦える状態じゃないですからね」
「そうですよー。いま襲われたりしたら、絶体絶命です」
そんな事を話しながら、洞窟を出てると、もう、すっかり日が沈んで夜になっていた。
そんな事を話していたせいか、洞窟の外には別の黄金虎が徘徊していた。
なるほど、なるほど。
これが言霊、あるいはフラグというやつか。
……。
…………。
………………。
「わぁあああ!?」
「きゃあああ!?」
あまりにも、あんまりな現実 (ゲームだが……)を受け入れられず、たっぶり数秒間、固まってしまう。
そして、その反動で、迂闊にも盛大なリアクションを取ってしまった二人。
ここで、大人しく身を潜めていれば、見つからずに済んだかもしれないのに。
「グルァァァ!」
とはいえ、まさかの黄金虎、2連戦。
こんな不運、こんな悪夢、こんな理不尽、いったい誰が予想できるだろうか。
驚愕と絶望で悲鳴を上げた二人を責める者は、おそらく、いない。
そう、例えば——、
「うっさいなぁ、私のネネちゃんに近づくな!」
二条の閃光と共に空から現れ、倒した黄金虎を踏み台にして、二丁の魔導銃を手にポーズを決める。
ネネのピンチに駆け付けた親友の救世主みのりんもまた、二人を責めないに違いない。
……ちなみに、救世主様は、その数秒後、黄金虎が光の粒子になって消えたことで足場を失い、バランスを崩して顔面から大地へダイブ。
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