幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)
調子に乗りました
「私は今っ、風になるっ!」
陽気な木漏れ日が、辺りを照らす森の中。
そこら中を縦横無尽に駆け回りながら、みのりんは上機嫌で叫んでいた。
かと思いきや、次の瞬間、突然【空中ジャンプ】で空に向かって跳び上がり、あっという間に背の高い木々を見下ろせる位置まで到達する。
視界いっぱいに広がるのは、どこまでも続く草原。
そして、その一部を覆う森の景色。
それらを満喫しながら、重力に身を任せてフリーフォールも敢行したり……。
「あははははっ! たっのしーいぃぃぃ!」
そんな感じで、みのりんは今日も全力で異世界を謳歌していた。
昨晩、手に入れた【空中ジャンプ】と【韋駄天】の効果を確かめてからは特にテンションが高い。
その二つの称号は、みのりんが今まで経験したことのない疾走感を抱かせてくれたからだ。
【空中ジャンプ】は縦の移動を可能にし、【韋駄天】は機動力そのものを底上げしてくれる。
まさに縦横無尽という表現に相応しい立ち回りが出来るようになった、みのりんは有頂天の気分だった。
「うんうん、深夜の森を駆け回った苦労が報われるね! ……いや、あれも楽しかったから苦労とは言わないかな? あはははっ——へぷしっ!?」
調子に乗って仰向けになり、大の字の体勢で落下した結果、地面との距離を失念して叩きつけられてしまう、みのりん。
ギャグ漫画でよく見るように、人型の穴を形成しつつ、大地にめり込んでしまっていた。
「うぅ、いたたたた。……いや、まぁ、ホントは、そんなに痛くないけどさ。ぼーっと歩いて、うっかり電柱にぶつかったくらいの痛みだけどさ。でも、ほら、こういう時って考えるより先に口が動いちゃうじゃん?」
いったい誰に対する説明なのか、見ている人が居る訳でもないのに、必死に言葉を紡ぐ、みのりん。
こういう所が、人とはズレた、みのりんがみのりんたる所以だろう。
「……いったい、誰に説明してるんだろう、私」
ようやく気付いたようだ、なによりである。
「ところで、体が動かないのは地面にめり込んでるせいなのか、それとも……」
ステータス、と呟いてウインドウを呼び出し、みのりんは自身の状態を確認する。
「あー、また、やっちゃったのね。なっとく」
半ば投げやりな気分になっているせいか、言葉に覇気がない。
それもそのはずで、みのりんが今の状況——MP枯渇による硬直状態に陥ったのは、既に両手で数えられない回数だからだ。
このゲームでは、MPがゼロを下回るような行動も可能になっている。
例えば、MPが1しかない状態で消費MP100の魔法を使うなどだ。
ただし、その場合、MPの値はマイナス99となり、99秒間の硬直状態に陥る。
今の、みのりんも似たような状況で、【空中ジャンプ】の連発によって多大なMPが消費され、硬直状態となった訳だ。
「こうなると、大抵……。ほら、きたぁ……」
みのりんは今、顔もろくに動かせない状態だが、聞きなれた足音から、予想した敵の来訪を悟った。
地面にめり込み、二重の意味で身動きが取れない、みのりんの元へやって来たのは、幾度となく鬼ごっこした相手の白狼だ。
「もー! 人が動けなくなると、すぐ寄って来るんだから!」
みのりんは身動きが取れないため、視界の端に映る白狼に、せめてもの抵抗として厳しい視線を向けるが、当然のごとく意に介した様子はない。
白狼は、そのまま動けない、みのりんに襲いかかり、あっさりと一撃で街へ送り返したのだった。
陽気な木漏れ日が、辺りを照らす森の中。
そこら中を縦横無尽に駆け回りながら、みのりんは上機嫌で叫んでいた。
かと思いきや、次の瞬間、突然【空中ジャンプ】で空に向かって跳び上がり、あっという間に背の高い木々を見下ろせる位置まで到達する。
視界いっぱいに広がるのは、どこまでも続く草原。
そして、その一部を覆う森の景色。
それらを満喫しながら、重力に身を任せてフリーフォールも敢行したり……。
「あははははっ! たっのしーいぃぃぃ!」
そんな感じで、みのりんは今日も全力で異世界を謳歌していた。
昨晩、手に入れた【空中ジャンプ】と【韋駄天】の効果を確かめてからは特にテンションが高い。
その二つの称号は、みのりんが今まで経験したことのない疾走感を抱かせてくれたからだ。
【空中ジャンプ】は縦の移動を可能にし、【韋駄天】は機動力そのものを底上げしてくれる。
まさに縦横無尽という表現に相応しい立ち回りが出来るようになった、みのりんは有頂天の気分だった。
「うんうん、深夜の森を駆け回った苦労が報われるね! ……いや、あれも楽しかったから苦労とは言わないかな? あはははっ——へぷしっ!?」
調子に乗って仰向けになり、大の字の体勢で落下した結果、地面との距離を失念して叩きつけられてしまう、みのりん。
ギャグ漫画でよく見るように、人型の穴を形成しつつ、大地にめり込んでしまっていた。
「うぅ、いたたたた。……いや、まぁ、ホントは、そんなに痛くないけどさ。ぼーっと歩いて、うっかり電柱にぶつかったくらいの痛みだけどさ。でも、ほら、こういう時って考えるより先に口が動いちゃうじゃん?」
いったい誰に対する説明なのか、見ている人が居る訳でもないのに、必死に言葉を紡ぐ、みのりん。
こういう所が、人とはズレた、みのりんがみのりんたる所以だろう。
「……いったい、誰に説明してるんだろう、私」
ようやく気付いたようだ、なによりである。
「ところで、体が動かないのは地面にめり込んでるせいなのか、それとも……」
ステータス、と呟いてウインドウを呼び出し、みのりんは自身の状態を確認する。
「あー、また、やっちゃったのね。なっとく」
半ば投げやりな気分になっているせいか、言葉に覇気がない。
それもそのはずで、みのりんが今の状況——MP枯渇による硬直状態に陥ったのは、既に両手で数えられない回数だからだ。
このゲームでは、MPがゼロを下回るような行動も可能になっている。
例えば、MPが1しかない状態で消費MP100の魔法を使うなどだ。
ただし、その場合、MPの値はマイナス99となり、99秒間の硬直状態に陥る。
今の、みのりんも似たような状況で、【空中ジャンプ】の連発によって多大なMPが消費され、硬直状態となった訳だ。
「こうなると、大抵……。ほら、きたぁ……」
みのりんは今、顔もろくに動かせない状態だが、聞きなれた足音から、予想した敵の来訪を悟った。
地面にめり込み、二重の意味で身動きが取れない、みのりんの元へやって来たのは、幾度となく鬼ごっこした相手の白狼だ。
「もー! 人が動けなくなると、すぐ寄って来るんだから!」
みのりんは身動きが取れないため、視界の端に映る白狼に、せめてもの抵抗として厳しい視線を向けるが、当然のごとく意に介した様子はない。
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