幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)

雪月 桜

夢にまで見たファンタジー

「これだよ、これ! こういうファンタジーな世界を私は待っていたのだっ! わっはっはー!」

360度、どこまでも広がる中世ヨーロッパ風の街並み。

マントにとんがり帽子の魔法使い、金属の鎧と兜を付けた騎士、馬車で行きかう商人など、見慣れない風景に溶け込む人々。

どこかで鍛冶をしているのか、遠くからはカンカンと鉄を叩くような音が聞こえ、街を流れる風は異国の匂いを運んでいる。

【ネバーランド】は、まさにゲームや漫画で見るファンタジー世界を体現していた。

「おー! あっちには、お城もある! ここは、広場かな? 見た感じ街の中心っぽいけど」

ゲームにログインした成実……アバター名みのりんは、大きな噴水とベンチが並ぶ広場で呟く。

辺りは老若男女、様々な人々が行き交っていたが、その多くはプログラムに沿って行動するキャラクターNPCだ。

このゲームは、15歳以下の少女しかプレイできず、アバターもそれに準じた性別・年齢の範囲でしか設定できない。

つまり、プレイヤーの容姿は少女に限られるものの、NPCの少女もいるため容姿だけで判断するのは難しい。

本来なら、それを見分ける術もチュートリアルで解説されるのだが、みのりんはスキップしてしまったため、何も知らない状態だった。

「どこに何があるとか誰に聞けばいいのか分かんないし……まっ、いいや。とりあえず、フィールドに行ってみよ! 遊んでるうちに何とかなるよね、きっと!」

とにかく、早く街の外も見てみたい。

そんな衝動に駆られた、みのりんは、ひとまず細かいことは置いておいて、遠くに見える門に向かった。

 広場は、門から真っ直ぐ伸びた大通りで繋がっているのだ。

ちなみに、門の逆方向は、広場からお城に繋がっている。

「いざ、外の世界へっ! まだ見ぬ出会いが私を待っている!」

 そうして門のところまでやって来た、みのりんは、目の前に広がる広大な草原に足を踏み出した。

そして、一通り草原をざっと眺めた後、目に留まった近くの森に進路を向ける。

 その先に大きな困難が待ち受けているとも知らずに……。

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