魔法討伐機

ノベルバユーザー417719

第2話「心配」

「シルバーナイト、見参ッ!」
銀色に輝く機装を身に付けた男はそう言うと紗奈の方を向き、扉に向かって槍を投げる。
「これで逃げられるはず。さぁ、急いで!」
「は、はい!ありがとうございます!」
男に礼を言うとその場から急いで離れ、校庭へと向かう。
「よっし…いくぜ!!」
投げた槍を掴みそう言うと、背中のブースターを吹かしながら魔獣へ突っ込んでいく。
「ゲゲギャアッ!!」
魔獣は突っ込んでくる男に向かって光線を小刻みに放つも、全て避け男は魔獣の真上へと向かう。
「このタイプなら…やっぱりあそこか。」
男の目線の先は魔獣背中に埋まった宝石のようなものへと向けられていた。
「そこぉっ!!」
持っていた槍から弾丸を放ち、魔獣の背中にある宝石のようなものを撃つ。すると魔獣はより大きな声で叫び、悶絶する。
「ゲギャアァァァァァッ?!」
「これで終わらせる!」
男はブースターのスピードを上げさらに魔獣へと突っ込んでいく。
「《大凸》ッ!ギガランスインパクト!!!」
そう叫ぶと、持っていた槍が一時的に巨大化、魔獣の背中の宝石のようなものへ突き刺す。
「ゲ、ゲ、ゲギャァァァァッ!!?」
魔獣は叫び、やがて砂へと変化し消滅する。
「討伐完了、区域から退避する。」
そう言うと、男はどこかへと飛び去っていく。



───数分後
「大和…本当にどこへ行ったんだ…」
泣きじゃくる紗奈の横で曲染が心配そうに呟くと、奥から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「おーい!みんな!」
「大和!!」
声にのした方に振り向くと大和がこちらに向かってきていた。
「生きてたんだね…本当に良かった…。」
曲染が安堵の声を漏らすと、大和は事情を説明し始める。
「実は、逃げる途中で転んで魔獣の攻撃で吹っ飛んじゃって…。その時に機装の人に助けてもらって反対側に下ろしてもらったんですけど、そこからこっちに来るまで道に迷っちゃって…」
心配させちゃいましたかね?と申し訳なさそうな顔をすると、曲染の横にいた紗奈が立ち上がり口を開く。
「本当に…心配したんだからね…。」
まだ泣いているような口調で大和にそう言う紗奈を見て、大和は紗奈の手を握る。
「大丈夫、俺が結構タフなのは知ってるでしょ?幼馴染なんだから。」
にひっ、と笑うと紗奈も一緒に笑う。
「ほら二人とも、安堵するのはいいけど早く帰りなさい。またいつ魔獣が現れるかわからないからね。」
曲染がそう言うと2人は校門まで曲染に着いてきてもらい、家に帰ることにした。
「それじゃあね。」
曲染が笑顔で手を振り、2人を見送る。
2人は曲染に手を振り返し、歩き始める。
「でも本っ当に心配したんだからね…」
「そんなにだったんだ…ごめん。」
大和は少し申し訳なさそうに紗奈にそう言う。
「大丈夫よ。確かに、アンタは意外とタフだものね。」
「まぁね~…あっ、そうだ。母さんが『今日はこっちまで帰ってくるのが難しいかもしれないから紗奈ちゃんの家にいなさい、紗奈ちゃんのご両親には連絡しておくから』だってさ。」
「ん、了解。」
慣れたように紗奈はそう返す。
道中で紗奈が口を開く。
「ねぇ、大和。今後また何回もこういう事があると思う。そしたら私の名前を呼んで。私が助けに行くから。」
紗奈の発言に少し驚いたのか、目を丸くするがすぐに戻り、今度は大和が口を開く。
「うん、今後はそうするよ。」
少し笑いながら紗奈へそう返す。
「…それじゃ、もうちょっとで家だから。私の家のゲストルームは分かるでしょ?」
「分かってるって。さすがに忘れないよ。」
そう談笑しながら、2人は家へ入っていく。

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