赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~
第137話 手を取り合うには
アンナ達は、魔王と対峙している。
魔王の攻撃を、カルーナが防いだ後、ティリアがやってきてアンナを回復させた。
「はあっ!」
「ふん!」
アンナと魔王は、同時に駆け出す。
聖剣と邪剣、二つの力がぶつかり合い、大きな衝撃が起こる。
「くっ……!」
「ぐっ……!」
ここに来て、二人の力は互角程度になっていた。
通常ならば、アンナの方が劣勢であったが、疲労により魔王の力が弱まっているのだ。最も、アンナの方も疲労しているため、完全に有利ではないようである。
「この俺と互角に戦うとは……」
「互角か……」
「ぐぬっ!?」
だが、アンナは自身に残る闘気を解放していく。
それにより、魔王の体が後退する。
「聖なる十字斬り!」
「ぬっ!」
十字の斬撃が、アンナから放たれた。
魔王は、その斬撃を受け止める。だが、完全に受け止めきることはできない。
「くっ……魔王技・邪なる衝撃!」
「くっ!」
しかし、魔王は後退しながらも攻撃を放ってくる。
それにより、アンナの体も後退していく。
「聖なる十字斬り!」
「魔王技・邪なる衝撃!」
聖なる光と邪なる闇、二つの力がぶつかり合い、衝撃が起こる。
やはり、二つの力はほとんど互角であるようだ。
アンナは、ゆっくりと相手を見据える。
「魔王……もうやめよう」
「何……」
「私とお前が、これ以上戦う意味などない……」
アンナの言葉に、魔王は目を丸くした。
それ程に、その言葉は魔王にとって衝撃的なものなのだ。
「何を言う!」
「私達のどちらかが倒れれば、また新しい勇者か魔王が生まれる……それでは、なんの意味もない」
「……何?」
「人間にも魔族にも、真の意味での平和は訪れない……」
アンナは、ずっと考えていたことを、言い放った。
それは、勇者と魔王の運命に関わることである。
仮に、今ここで魔王を倒しても、新たなる魔王が出てくるだけだ。それでは、戦いは終わらない。アンナの望む平和は、手に入らないのである。
「……だから、なんだと言うんだ?」
「魔王……」
「今更、引き返すことなどできるはずがない。人間も魔族も、お互いへの憎しみを晴らすことなどできない!」
アンナの言葉に、魔王は飛び掛かってきた。
その表情は、様々な感情があるように思える。
「ふん!」
「くっ!」
アンナは、そんな魔王の攻撃を受け止めながら、言葉を放つ。
ここで、諦める訳にはいかないのだ。
「だが、どこかでその憎しみを断ち切らなければ、戦いは終わらない。それは、今でいいはずなんだ!」
「黙れ! お前達人間を滅ぼせば、戦いは終わる!」
魔王はアンナに、連撃を仕掛けてくる。
アンナはそれを後退しながら、それを捌いていく。
魔王の攻撃は勢いこそあるが、簡単に受け止められるものだ。恐らく、彼にも動揺があるのだろう。
「それは無理だ! お前は、人間を滅ぼす気なんてない!」
「何を言う!?」
「お前が魔将に選んだ者達のほとんどが、そんなことを望むような者ではなかった! それは、お前自身の心に迷いがあったからじゃないのか!?」
「ぬうっ……!」
アンナの言葉に、魔王は顔を歪めた。
それを見て、アンナは自身の言葉が概ね間違っていなかったのだと理解する。
「手を取り合って、新しい未来を掴もう、魔王!」
「新しい未来……」
魔王の力が、弱まっていることをアンナは感じた。
恐らく、魔王の心に迷いが生じているのだろう。アンナは、自身の呼びかけが、ある程度の効果があると確信する。
「魔王、私達が手を取り合えば、人間も魔族もついて来てくれるはずだ。だから、私の手をとってくれ……」
そのため、アンナは、さらに言葉を続けた。その言葉が、魔王に届くと信じて。
「くっ……」
「魔王……」
魔王は、ゆっくりとアンナから離れていく。
その表情には、未だ迷いが見える。ただ、アンナから離れたのは、それが片方に傾き始めたからだろう。
「本当に、人間と魔族が手を取ることができるのか……?」
「できる……少なくとも、私は魔族達とわかり合ってきたはずだ」
「……そうか」
アンナの言葉に、魔王の表情が変わった。
それは、安堵のような表情である。何か、付きものが落ちたようなそんな表情なのだ。
「真の平和が得られるのなら、お前の手を取るのも、悪くはないだろう……」
「魔王!」
「……俺もどこか、疲れていた。この終わりのない運命に、どうすることもできなかった……」
魔王の口から放たれたのは、そのような言葉だった。
それは、アンナの言葉を肯定している言葉だ。
アンナは、ゆっくりと魔王に歩み寄る。魔王の手を取れると信じられたのだ。
「――ならん!」
しかし、そこで、アンナにそんな言葉が聞こえてきた。
ただ、それは魔王の口から放たれたものではない。
それが聞こえた方向、上方向にアンナは視線を向ける。
「これは!」
「馬鹿な!」
アンナは、ともに顔をあげた魔王と声をあげた。
二人の視線の先には、ある男がいたのだ。
「お前は、操魔将オーデット!?」
「何故生きている!? お前は、俺の手で葬ったはずだ!」
その男とは、操魔将オーデット。
影魔将シャドーに扮した魔王が、止めを刺したはずの先代魔王である。
魔王の攻撃を、カルーナが防いだ後、ティリアがやってきてアンナを回復させた。
「はあっ!」
「ふん!」
アンナと魔王は、同時に駆け出す。
聖剣と邪剣、二つの力がぶつかり合い、大きな衝撃が起こる。
「くっ……!」
「ぐっ……!」
ここに来て、二人の力は互角程度になっていた。
通常ならば、アンナの方が劣勢であったが、疲労により魔王の力が弱まっているのだ。最も、アンナの方も疲労しているため、完全に有利ではないようである。
「この俺と互角に戦うとは……」
「互角か……」
「ぐぬっ!?」
だが、アンナは自身に残る闘気を解放していく。
それにより、魔王の体が後退する。
「聖なる十字斬り!」
「ぬっ!」
十字の斬撃が、アンナから放たれた。
魔王は、その斬撃を受け止める。だが、完全に受け止めきることはできない。
「くっ……魔王技・邪なる衝撃!」
「くっ!」
しかし、魔王は後退しながらも攻撃を放ってくる。
それにより、アンナの体も後退していく。
「聖なる十字斬り!」
「魔王技・邪なる衝撃!」
聖なる光と邪なる闇、二つの力がぶつかり合い、衝撃が起こる。
やはり、二つの力はほとんど互角であるようだ。
アンナは、ゆっくりと相手を見据える。
「魔王……もうやめよう」
「何……」
「私とお前が、これ以上戦う意味などない……」
アンナの言葉に、魔王は目を丸くした。
それ程に、その言葉は魔王にとって衝撃的なものなのだ。
「何を言う!」
「私達のどちらかが倒れれば、また新しい勇者か魔王が生まれる……それでは、なんの意味もない」
「……何?」
「人間にも魔族にも、真の意味での平和は訪れない……」
アンナは、ずっと考えていたことを、言い放った。
それは、勇者と魔王の運命に関わることである。
仮に、今ここで魔王を倒しても、新たなる魔王が出てくるだけだ。それでは、戦いは終わらない。アンナの望む平和は、手に入らないのである。
「……だから、なんだと言うんだ?」
「魔王……」
「今更、引き返すことなどできるはずがない。人間も魔族も、お互いへの憎しみを晴らすことなどできない!」
アンナの言葉に、魔王は飛び掛かってきた。
その表情は、様々な感情があるように思える。
「ふん!」
「くっ!」
アンナは、そんな魔王の攻撃を受け止めながら、言葉を放つ。
ここで、諦める訳にはいかないのだ。
「だが、どこかでその憎しみを断ち切らなければ、戦いは終わらない。それは、今でいいはずなんだ!」
「黙れ! お前達人間を滅ぼせば、戦いは終わる!」
魔王はアンナに、連撃を仕掛けてくる。
アンナはそれを後退しながら、それを捌いていく。
魔王の攻撃は勢いこそあるが、簡単に受け止められるものだ。恐らく、彼にも動揺があるのだろう。
「それは無理だ! お前は、人間を滅ぼす気なんてない!」
「何を言う!?」
「お前が魔将に選んだ者達のほとんどが、そんなことを望むような者ではなかった! それは、お前自身の心に迷いがあったからじゃないのか!?」
「ぬうっ……!」
アンナの言葉に、魔王は顔を歪めた。
それを見て、アンナは自身の言葉が概ね間違っていなかったのだと理解する。
「手を取り合って、新しい未来を掴もう、魔王!」
「新しい未来……」
魔王の力が、弱まっていることをアンナは感じた。
恐らく、魔王の心に迷いが生じているのだろう。アンナは、自身の呼びかけが、ある程度の効果があると確信する。
「魔王、私達が手を取り合えば、人間も魔族もついて来てくれるはずだ。だから、私の手をとってくれ……」
そのため、アンナは、さらに言葉を続けた。その言葉が、魔王に届くと信じて。
「くっ……」
「魔王……」
魔王は、ゆっくりとアンナから離れていく。
その表情には、未だ迷いが見える。ただ、アンナから離れたのは、それが片方に傾き始めたからだろう。
「本当に、人間と魔族が手を取ることができるのか……?」
「できる……少なくとも、私は魔族達とわかり合ってきたはずだ」
「……そうか」
アンナの言葉に、魔王の表情が変わった。
それは、安堵のような表情である。何か、付きものが落ちたようなそんな表情なのだ。
「真の平和が得られるのなら、お前の手を取るのも、悪くはないだろう……」
「魔王!」
「……俺もどこか、疲れていた。この終わりのない運命に、どうすることもできなかった……」
魔王の口から放たれたのは、そのような言葉だった。
それは、アンナの言葉を肯定している言葉だ。
アンナは、ゆっくりと魔王に歩み寄る。魔王の手を取れると信じられたのだ。
「――ならん!」
しかし、そこで、アンナにそんな言葉が聞こえてきた。
ただ、それは魔王の口から放たれたものではない。
それが聞こえた方向、上方向にアンナは視線を向ける。
「これは!」
「馬鹿な!」
アンナは、ともに顔をあげた魔王と声をあげた。
二人の視線の先には、ある男がいたのだ。
「お前は、操魔将オーデット!?」
「何故生きている!? お前は、俺の手で葬ったはずだ!」
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