赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~
第128話 魔王
ネーレと教授は、影魔将シャドーが生み出した影と戦っていた。
「大分数は減らせてきたな……」
「ああ、そのようだね……」
影の戦闘力自体は、大したものではない。
そのため、ネーレと教授は特に問題なく、影を倒せている。
だが、教授はそこで、違和感のようなものを感じていた。
「しかし、この影達……闘気でも魔力でもなさそうだ」
「うん? どういうことだ?」
「ああ、魔族の中には、特殊な能力を持つ種族もあるというが……これは……」
「なんだよ? 教授?」
「シャドーという男には、気をつけなければならないだろう。最も、ここで言っても無駄だとは思うが……」
教授は、影達に対して、言い知れぬ恐怖を感じるのだった。
◇
アンナ達は、ツヴァイ、ネーレ、教授と別れて、魔王城の中を進んでいた。
「ガルス、この先は?」
「ああ、もうすぐ魔王と謁見する玉座の間に辿り着く」
「それじゃあ、もしかして、そこに魔王が……?」
「そうだろうな……俺達が来ていることはわかっているはずだ。待ち構えているなら、そこだろうな……」
どうやら、次の階で、魔王が待ち構えている可能性が高いようだ。
アンナ達は、気を引き締めて、足を進める。
すると、扉が見えてきた。
「あれが、玉座の間だ……」
「なるほどね……」
それが、玉座の間であるようだ。
「皆、行こう!」
「うん!」
「はい!」
「ああ」
扉の前まで来て、アンナはそれを開け放つ。
そこに、迷いや躊躇いはなかった。皆、既に覚悟は決まっているのだ。
「……あれが」
部屋の奥にカーテンに隠された大きな椅子があった。
そこに座る大きな影、その影が魔王であると、アンナは理解する。
「……来たか」
影は、静かだが力強い声を放ってきた。
影しか見えないが、そこからは強い力が感じられる。
相手が、かなりの実力者であると、アンナは改めて理解するのだった。
「……お前が、魔王か?」
アンナは、魔王らしき者に対して、ゆっくりと口を開く。
「……そうだ。私こそが魔王……」
その質問に、魔王はゆっくりと答えてきた。
やはり、この男が魔王であるようだ。
「貴様らが、ここまで来られたことは褒めてやる……だが、貴様らでは私を倒すことはできない……」
「なっ……」
魔王は、ゆっくりと立ち上がった。
どうやら、戦いが始まるようだ。
「待て……」
アンナ達がそう思い、構えた時だった。
玉座の間に、ある声が響いたのだ。
それが、影魔将シャドーの声だと、アンナ達はすぐに理解する。
「シャドー……」
「もういい……」
シャドーは、アンナ達の前に立ちながら、そう言った。
その言葉が、何を意味するのか、アンナ達は理解できない。
「もうよいのだ、シャドーよ。その演技の必要は、最早なくなった」
「しかし……」
「これは、操魔将オーデットを欺くための措置だ。奴はもういない。それに、そのままではお前も全力で戦えまい?」
「それは……」
そこで、会話の様子がおかしいことにアンナ達も気づいた。
シャドーが魔王に対して、上から物を言っているのだ。
まるで、立場が逆であるかのようである。
「……お前達を欺く必要も、ないだろう」
「なっ……!」
シャドーは、ローブを脱ぎ放った。
すると、中から若い男が現れる。その姿は人間に似ていたが、角や体の模様が、魔族であるということを表していた。
その姿は、どの魔族にも属さないものだ。強いて言うなら、オーデットに似ている。
「まさか……」
その事実に、アンナは思わず声をあげた。
シャドーの正体が、何者であるか、勘づいてしまったのだ。
それを察してか、シャドーはゆっくりと口を開く。
「そう……影魔将シャドーとは、仮の姿……我こそが、真の魔王……」
「魔王……!」
どうやら、影魔将シャドーの正体が魔王であったようだ。
そうすると、アンナ達の前にいた影の正体もわかる。
「そして、私こそが真の影魔将シャドー……」
カーテンの奥から、真っ黒な男が現れた。
その男が、影魔将シャドーであるようだ。
つまり、二人は入れ替わっていたらしい。
「何故、こんなことを……?」
「全ては、操魔将オーデットを欺くためだ。故に、俺とシャドーは入れ替わって行動していた……」
「私が魔王様として振る舞うことで、いざという時、対応できるようにしておいたのだ……」
アンナの質問に、二人はそう答えてきた。
アンナ達とは、あまり関係がないところで、そうするべき理由があったらしい。
「だが、もう問題はない……」
「うっ!」
「お姉ちゃん!?」
そこで、アンナの体に変化が起こった。
魔王の元に、引き寄せられたのだ。
「勇者、お前の相手は俺だ。最上階で、決着をつけてやる……」
「くっ!」
「お姉ちゃん!」
引き寄せられるアンナにカルーナが抱き着く。
しかし、カルーナの力では対抗できず、二人とも引き寄せられてしまう。
「勇者の妹か……よかろう! お前達二人とも、俺が倒してやる! シャドー!」
「はっ!」
魔王に引き寄せられ、アンナ達は連れされていく。
それを邪魔しようとしていたガルスの元へ、シャドーがやってくる。
「邪魔はさせんぞ!」
「むっ!?」
ガルスがシャドーに怯んでいる内に、アンナ達は連れさられてしまった。
その場に残ったのは、ガルス、ティリア、シャドーの三人だ。
「貴様達二人の相手は、私だ」
「お前がシャドーか……」
「その通り……!」
ガルスとシャドーは、お互いに構えた。
そこで、ガルスはティリアの方を少し見る。
「ティリア、下がっていろ。いざという時は、サポートを頼む」
「あ、はい……」
ガルスの言葉に従い、ティリアは少し下がり待機した。
魔法でのサポートができるように、ティリアも構えておく。
二人と影魔将シャドーとの戦いが始まろうとしていた。
「大分数は減らせてきたな……」
「ああ、そのようだね……」
影の戦闘力自体は、大したものではない。
そのため、ネーレと教授は特に問題なく、影を倒せている。
だが、教授はそこで、違和感のようなものを感じていた。
「しかし、この影達……闘気でも魔力でもなさそうだ」
「うん? どういうことだ?」
「ああ、魔族の中には、特殊な能力を持つ種族もあるというが……これは……」
「なんだよ? 教授?」
「シャドーという男には、気をつけなければならないだろう。最も、ここで言っても無駄だとは思うが……」
教授は、影達に対して、言い知れぬ恐怖を感じるのだった。
◇
アンナ達は、ツヴァイ、ネーレ、教授と別れて、魔王城の中を進んでいた。
「ガルス、この先は?」
「ああ、もうすぐ魔王と謁見する玉座の間に辿り着く」
「それじゃあ、もしかして、そこに魔王が……?」
「そうだろうな……俺達が来ていることはわかっているはずだ。待ち構えているなら、そこだろうな……」
どうやら、次の階で、魔王が待ち構えている可能性が高いようだ。
アンナ達は、気を引き締めて、足を進める。
すると、扉が見えてきた。
「あれが、玉座の間だ……」
「なるほどね……」
それが、玉座の間であるようだ。
「皆、行こう!」
「うん!」
「はい!」
「ああ」
扉の前まで来て、アンナはそれを開け放つ。
そこに、迷いや躊躇いはなかった。皆、既に覚悟は決まっているのだ。
「……あれが」
部屋の奥にカーテンに隠された大きな椅子があった。
そこに座る大きな影、その影が魔王であると、アンナは理解する。
「……来たか」
影は、静かだが力強い声を放ってきた。
影しか見えないが、そこからは強い力が感じられる。
相手が、かなりの実力者であると、アンナは改めて理解するのだった。
「……お前が、魔王か?」
アンナは、魔王らしき者に対して、ゆっくりと口を開く。
「……そうだ。私こそが魔王……」
その質問に、魔王はゆっくりと答えてきた。
やはり、この男が魔王であるようだ。
「貴様らが、ここまで来られたことは褒めてやる……だが、貴様らでは私を倒すことはできない……」
「なっ……」
魔王は、ゆっくりと立ち上がった。
どうやら、戦いが始まるようだ。
「待て……」
アンナ達がそう思い、構えた時だった。
玉座の間に、ある声が響いたのだ。
それが、影魔将シャドーの声だと、アンナ達はすぐに理解する。
「シャドー……」
「もういい……」
シャドーは、アンナ達の前に立ちながら、そう言った。
その言葉が、何を意味するのか、アンナ達は理解できない。
「もうよいのだ、シャドーよ。その演技の必要は、最早なくなった」
「しかし……」
「これは、操魔将オーデットを欺くための措置だ。奴はもういない。それに、そのままではお前も全力で戦えまい?」
「それは……」
そこで、会話の様子がおかしいことにアンナ達も気づいた。
シャドーが魔王に対して、上から物を言っているのだ。
まるで、立場が逆であるかのようである。
「……お前達を欺く必要も、ないだろう」
「なっ……!」
シャドーは、ローブを脱ぎ放った。
すると、中から若い男が現れる。その姿は人間に似ていたが、角や体の模様が、魔族であるということを表していた。
その姿は、どの魔族にも属さないものだ。強いて言うなら、オーデットに似ている。
「まさか……」
その事実に、アンナは思わず声をあげた。
シャドーの正体が、何者であるか、勘づいてしまったのだ。
それを察してか、シャドーはゆっくりと口を開く。
「そう……影魔将シャドーとは、仮の姿……我こそが、真の魔王……」
「魔王……!」
どうやら、影魔将シャドーの正体が魔王であったようだ。
そうすると、アンナ達の前にいた影の正体もわかる。
「そして、私こそが真の影魔将シャドー……」
カーテンの奥から、真っ黒な男が現れた。
その男が、影魔将シャドーであるようだ。
つまり、二人は入れ替わっていたらしい。
「何故、こんなことを……?」
「全ては、操魔将オーデットを欺くためだ。故に、俺とシャドーは入れ替わって行動していた……」
「私が魔王様として振る舞うことで、いざという時、対応できるようにしておいたのだ……」
アンナの質問に、二人はそう答えてきた。
アンナ達とは、あまり関係がないところで、そうするべき理由があったらしい。
「だが、もう問題はない……」
「うっ!」
「お姉ちゃん!?」
そこで、アンナの体に変化が起こった。
魔王の元に、引き寄せられたのだ。
「勇者、お前の相手は俺だ。最上階で、決着をつけてやる……」
「くっ!」
「お姉ちゃん!」
引き寄せられるアンナにカルーナが抱き着く。
しかし、カルーナの力では対抗できず、二人とも引き寄せられてしまう。
「勇者の妹か……よかろう! お前達二人とも、俺が倒してやる! シャドー!」
「はっ!」
魔王に引き寄せられ、アンナ達は連れされていく。
それを邪魔しようとしていたガルスの元へ、シャドーがやってくる。
「邪魔はさせんぞ!」
「むっ!?」
ガルスがシャドーに怯んでいる内に、アンナ達は連れさられてしまった。
その場に残ったのは、ガルス、ティリア、シャドーの三人だ。
「貴様達二人の相手は、私だ」
「お前がシャドーか……」
「その通り……!」
ガルスとシャドーは、お互いに構えた。
そこで、ガルスはティリアの方を少し見る。
「ティリア、下がっていろ。いざという時は、サポートを頼む」
「あ、はい……」
ガルスの言葉に従い、ティリアは少し下がり待機した。
魔法でのサポートができるように、ティリアも構えておく。
二人と影魔将シャドーとの戦いが始まろうとしていた。
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