赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~
第105話 次なる戦いのために
アンナ達は、獣王との戦いを終え、アストリオン王ヴィクティスの元に来ていた。
「皆さん、お疲れさまでした。皆さんのおかげで、この国の危機は去りました。ありがとうございます」
「い、いえ……」
ヴィクティスのお礼に、アンナは困惑してしまう。
前のアストリオン王に比べ、ヴィクティスはかなり丁寧で穏やかな王である。兄弟でありながら、ここまで違うことに、アンナは驚いてしまったのだ。
「教授も、急な要請に答えて頂き、本当にありがとうございます」
「構わないよ。国の危機だからね」
ヴィクティスはさらに、教授に礼を重ねる。
「教授、一体どういう関係なんですか?」
そこで、アンナはそんなことを聞いてみた。
教授が、アストリオン王達とどのような関係があったのか、気になったのだ。
「ああ、僕は元々、王国軍に所属していたんだ」
「あ、そうなんですか」
「そこで、色々やりすぎてしまって、王都を追放されてしまったんだ」
「ええ……」
アンナの質問に、教授はそう答えてくれた。
どうやら、色々と無理をしていたようである。
しかし、それだけでは王族とここまで対等に話せる理由はわからない。
「でも、どうして、ここまで親しく?」
「さて、それも色々あるのさ」
それをアンナが質問したが、教授は答えてくれなかった。
恐らく、言いたくないことなのだろうと、アンナは推測する。
そのため、これ以上の追及はしなかった。
「さて、皆さん、これで我ら人間側に侵攻してきた魔王軍は、全て退けたことになります」
そこで、ヴィクティスがそう言って仕切り直す。
狼魔団を退けたことで、人間側に侵攻している魔王軍は、全て退けたことになったのだ。
しかし、それでも戦いは終わらない。なぜなら、それで魔王軍が滅びた訳ではないからだ。
「これで、人間側の安全は確保できました。そのため、次はこちらから行きます」
「こちらから……」
「はい。人間が、魔族の領域に侵攻するのです」
ヴィクティスから放たれた言葉に、アンナは顔を歪める。
魔王軍を退けても、戦いが終わらないことなど、アンナもわかっていた。結局、魔王を討ちとらなければ、人間の勝利とは言えないのである。
「目的は、魔王の討伐です。その要は、もちろんアンナさんになるでしょう」
「はい……」
だが、アンナは思っていた。
魔王を倒して、それで本当に戦いが終わるのかと。
長い歴史の中で、勇者と魔王は何度もぶつかってきた。
魔王が倒されれば、新たな魔王が生まれる。その逆も同じだ。
つまり、今の魔王を倒しても、また新たなる魔王が生まれるだけのかもしれない。
そのことが、アンナの胸に引っかかってしまうのだ。
「それで、一体どのように魔族の領域に?」
しかし、アンナはすぐに思考を切り替える。
次の魔王が現れるとしても、今の魔王をどうにかしなければ、戦いは終わらないのだ。そのため、今はそちらをなんとかすることにしたのである。
「魔族の領域に侵攻するには、まず海を支配している海魔団を片付けなければいけません」
「海魔団を……」
「はい。彼らがいる限り、魔族の領域への侵攻は難しいですから……」
魔族の領域に侵攻するには、まず海魔団を倒さなければならないようだ。
海魔団は、現在北の海を占拠している。つまり、次の戦いは海であるということだ。
「海魔団は、水棲魔族を中心として構成されています。それに対して、私達は船で戦うしかありません。故に、とても不利であるといえます」
ヴィクティスは、淡々と戦況を話す。
海での戦いになる以上、人間よりも海で活動できる魔族の方が有利になるのは必然だ。
アンナは、次の戦いが厳しいものになることを予測する。
「そこで、教授をお呼びしたのです」
「ああ、そうだね」
「え?」
そう思っていたアンナは、ヴィクティスの言葉に驚く。
何やら、教授が海での戦いに関係しているようだ。
「僕の持つ技術で、船を強化するのさ」
「船を?」
「ああ、そうすれば、海魔団と対等以上に戦えるようになる」
どうやら、教授の技術を使って船を強化するらしい。
教授が呼びだされたのは、そういう理由もあったようだ。
「さて、この計画にはもう一人必要な人物がいます。ネーレさん、それはあなたに関係する人です」
「え? ネーレが?」
次にヴィクティスが放った言葉に、アンナは再び驚いた。
「やっぱり、私か……」
呼ばれたネーレは、そのことを予測していたのか、ため息をつく。
「ネーレ、一体、どういうことなの?」
「私の家は、船を作っているんだ。この国でも、かなり有名な所だから、もしかしたらと思っていてさ……」
「そうだったんだ……」
ネーレが呼ばれたのは、実家が造船業をしているかららしい。
この国でも有名な所であるため、船の強化に協力してもらうということだろう。
「それじゃあ、ネーレの実家が、次の目的地ということでしょうか?」
「はい、教授とともにネーレさんの実家に行って、協力してくれるように頼み、船を強化して欲しいのです」
「やっぱり……そうなるよなあ……」
アンナとヴィクティスのやり取りで、ネーレは少し落ち込む。
家出してきたので、帰り辛いのだろう。
しかし、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「それじゃあ、ネーレの実家に行こう」
「まあ、仕方ないよなあ……」
こうして、アンナ達はネーレの実家に向かうことになった。
「皆さん、お疲れさまでした。皆さんのおかげで、この国の危機は去りました。ありがとうございます」
「い、いえ……」
ヴィクティスのお礼に、アンナは困惑してしまう。
前のアストリオン王に比べ、ヴィクティスはかなり丁寧で穏やかな王である。兄弟でありながら、ここまで違うことに、アンナは驚いてしまったのだ。
「教授も、急な要請に答えて頂き、本当にありがとうございます」
「構わないよ。国の危機だからね」
ヴィクティスはさらに、教授に礼を重ねる。
「教授、一体どういう関係なんですか?」
そこで、アンナはそんなことを聞いてみた。
教授が、アストリオン王達とどのような関係があったのか、気になったのだ。
「ああ、僕は元々、王国軍に所属していたんだ」
「あ、そうなんですか」
「そこで、色々やりすぎてしまって、王都を追放されてしまったんだ」
「ええ……」
アンナの質問に、教授はそう答えてくれた。
どうやら、色々と無理をしていたようである。
しかし、それだけでは王族とここまで対等に話せる理由はわからない。
「でも、どうして、ここまで親しく?」
「さて、それも色々あるのさ」
それをアンナが質問したが、教授は答えてくれなかった。
恐らく、言いたくないことなのだろうと、アンナは推測する。
そのため、これ以上の追及はしなかった。
「さて、皆さん、これで我ら人間側に侵攻してきた魔王軍は、全て退けたことになります」
そこで、ヴィクティスがそう言って仕切り直す。
狼魔団を退けたことで、人間側に侵攻している魔王軍は、全て退けたことになったのだ。
しかし、それでも戦いは終わらない。なぜなら、それで魔王軍が滅びた訳ではないからだ。
「これで、人間側の安全は確保できました。そのため、次はこちらから行きます」
「こちらから……」
「はい。人間が、魔族の領域に侵攻するのです」
ヴィクティスから放たれた言葉に、アンナは顔を歪める。
魔王軍を退けても、戦いが終わらないことなど、アンナもわかっていた。結局、魔王を討ちとらなければ、人間の勝利とは言えないのである。
「目的は、魔王の討伐です。その要は、もちろんアンナさんになるでしょう」
「はい……」
だが、アンナは思っていた。
魔王を倒して、それで本当に戦いが終わるのかと。
長い歴史の中で、勇者と魔王は何度もぶつかってきた。
魔王が倒されれば、新たな魔王が生まれる。その逆も同じだ。
つまり、今の魔王を倒しても、また新たなる魔王が生まれるだけのかもしれない。
そのことが、アンナの胸に引っかかってしまうのだ。
「それで、一体どのように魔族の領域に?」
しかし、アンナはすぐに思考を切り替える。
次の魔王が現れるとしても、今の魔王をどうにかしなければ、戦いは終わらないのだ。そのため、今はそちらをなんとかすることにしたのである。
「魔族の領域に侵攻するには、まず海を支配している海魔団を片付けなければいけません」
「海魔団を……」
「はい。彼らがいる限り、魔族の領域への侵攻は難しいですから……」
魔族の領域に侵攻するには、まず海魔団を倒さなければならないようだ。
海魔団は、現在北の海を占拠している。つまり、次の戦いは海であるということだ。
「海魔団は、水棲魔族を中心として構成されています。それに対して、私達は船で戦うしかありません。故に、とても不利であるといえます」
ヴィクティスは、淡々と戦況を話す。
海での戦いになる以上、人間よりも海で活動できる魔族の方が有利になるのは必然だ。
アンナは、次の戦いが厳しいものになることを予測する。
「そこで、教授をお呼びしたのです」
「ああ、そうだね」
「え?」
そう思っていたアンナは、ヴィクティスの言葉に驚く。
何やら、教授が海での戦いに関係しているようだ。
「僕の持つ技術で、船を強化するのさ」
「船を?」
「ああ、そうすれば、海魔団と対等以上に戦えるようになる」
どうやら、教授の技術を使って船を強化するらしい。
教授が呼びだされたのは、そういう理由もあったようだ。
「さて、この計画にはもう一人必要な人物がいます。ネーレさん、それはあなたに関係する人です」
「え? ネーレが?」
次にヴィクティスが放った言葉に、アンナは再び驚いた。
「やっぱり、私か……」
呼ばれたネーレは、そのことを予測していたのか、ため息をつく。
「ネーレ、一体、どういうことなの?」
「私の家は、船を作っているんだ。この国でも、かなり有名な所だから、もしかしたらと思っていてさ……」
「そうだったんだ……」
ネーレが呼ばれたのは、実家が造船業をしているかららしい。
この国でも有名な所であるため、船の強化に協力してもらうということだろう。
「それじゃあ、ネーレの実家が、次の目的地ということでしょうか?」
「はい、教授とともにネーレさんの実家に行って、協力してくれるように頼み、船を強化して欲しいのです」
「やっぱり……そうなるよなあ……」
アンナとヴィクティスのやり取りで、ネーレは少し落ち込む。
家出してきたので、帰り辛いのだろう。
しかし、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「それじゃあ、ネーレの実家に行こう」
「まあ、仕方ないよなあ……」
こうして、アンナ達はネーレの実家に向かうことになった。
コメント