平穏な日々2

　「まり、今日の仕事さ....」
美香が話しかけてくる。
ん？さっき庭で、ルーファスとランチしてて
お昼寝して。
そっか、これって夢ね。
「まり、聞いてるの？誰よ。ルーファスって」
「えっ....」
「やばっ、チャイム鳴っちゃった。
帰り寄りたい所あるから、付き合ってね」
「う、うん....」
「じゃあ、後でね」
美香は脱いでいたジャケットを着て、
急いで部署へ戻る。
.................。
これ、夢よね？
私も急がなくちゃ、うるさい部長から
嫌味言われちゃうよ。
あれっ？走っても、走っても進まない.....


「マリー、マリー、そろそろ、起きろ」
マリーはゆっくり目を開ける。
「夢か、なんだかリアルだったな」
「どんな夢をみてたんだ？食べそこねた
とかの夢じゃないのか？」
「また、バカにして....」
「そろそろ、冷えて来たから戻るぞ」
「そうだね。また外でランチしようね」
「毎日でもいいぞ」
「それは、無理」
ルーファスがマリーの手を引き城へ戻る。


久しぶりに、日本にいる時の夢見た～。
ちょっとリアルで驚いたけどね。
美香のスーツ姿も懐かしかったな～。


そうだ、午後から美香とロイが来るんだった。
そろそろ、家にも帰らないと
お母様もリリアンも心配して
押し掛けて来そうだもんね。


ロイと美香が来た。
「ねーさん、城での生活はどう？」
「いい感じよ。リックの料理も
毎日食べれるしね！」
「思ったより、元気そうで良かったよ」
「全然大丈夫だって！」
「それより、剣の稽古はどうしたのよ？」
「ジャックの捜索で、ライルさん
忙しいみたいでさ。明日からまた、再開だよ」
美香を見ると、しっかりとロイに
腕を回している。
「あんた達、ほんと、仲良しね～」
美香が
「何、言ってんのよ。王子の甘々には
負けるわ。ねっ、ロイ？」
「そうだね、ミリカ」
二人は見つめ合う。
「はい、はい。イチャツクのは二人の時に
して下さいな」
「ロイ、ミリカを借りるわよ」
「うん、分かった。俺は図書室にでもいるよ。
ごゆっくりどうぞ」


美香とまりの部屋へ行く。
「なんかさ、久しぶりに日本にいる時の
夢見ちゃったよ～。懐かしかった。
美香も見る事ある？」
「私は無いな～。皆どうしてんだろね」
「二人も同時に事故で、亡くなったんだから
大騒動だっただろうね」
「そうだよね。桜井君なんて、まりの事
大好きだったから、ショックだっただろうね」
「えっ、そうなの？」
「まさか、気が付かなかったの？」
「なんか、気が付いたら隣にはいた
気がするけど.....」
「可哀想～。気持ちも伝えられず
さよならだったわけか」
「まっそうなるね....」
「でもさ、まりには、ルーファス王子が
いるもんね。考えてみて。赤い糸で結ばれている人が、この世界の人だったら
ジル君が現れて事故を起こしたのも
運命だったのかもよ！」
「でたっ！美香の赤い糸で結ばれてる説」
「いいじゃない。ロマンチックで」
「違うって、何度も言ってんのに。
出会いは無数なの。出会って結ばれるか
どうかなんて、全部自分次第なんだよ。
例え結ばれたとしても、お互い努力しなきゃ
愛なんて育たないっての。一人強がりは
ダメってこと。依存し過ぎてもダメ。
共存してくって事ね」
「は～い。まり先生」


「別にいっか、今、美香は、
ロイとラブラブだから」
「そうなの～。今までになかったタイプで。
もう、メロメロ」
「何？そのメロメロって、ふっる～」
「ラブラブだって古いしっ！」
二人は日本を懐かしく思う。


美香と女子トークが弾み
気が付けば、日も暮れ始めている。


「まり、そろそろ帰るわ。明日から
教育も再開だよね？」
「うん、そうそう。ロイにも宜しくね。
もう少ししたら、家に帰るって、
伝えといて！」
「了解っ」
美香は、部屋から出ていく。


良かった。美香もロイと上手く行ってるのね。


さてと、今日の夕食なんだろな～。
と考えるまりであった。