これって悪役令嬢?!私の生き方貫きます!

ノベルバユーザー417511

月明かりの庭で

 暇だぁ~!!!


なんか、クッキーとか無いかな?
今日の豪華ビッフェ食べ損ねてるし。
もしかしたら、余ってるものあるかも。
厨房に向かう。


こっそり抜け出し、辺りを見回して
よしっ、誰もいない。


すり足、さし足、忍び足...


厨房に入ると、大当たり~!
余ったデザートが沢山置いてある。


よっしゃ!
あっ、袋、持ってきて無いわ。
しょうがない、ガウンで包むか。


カップケーキをこれでもか、というくらい
ガウンにくるむ。


部屋に戻る途中、庭に繋がる廊下から
月明かりが差し込む。


ほ~。綺麗~。
庭の花がキラキラしてる。
吸い寄せられるように、足が向かう。


あそこで、少し食べていこうかな。
月明かりの中、大きな木の下に向かう。
う、うま~。外で食べると何倍も美味しいのは何故だろう?
今度、ロイとピクニックでもしよっと。
なんて考えてたてら、


「誰か、いるのかっ?」
ビクッ。
~厨房でカップケーキを盗み、
ルーファス王子婚約者マリー嬢、国外追放~
そんな見出しが頭ををよぎる。
声を押し殺す。
「誰だ。出で来い。来ないなら、
こちらから行くぞ。」
剣を抜く音がする。
殺される~、カップケーキ盗み食いの罪で~。
目を瞑る。


「もしかして、マリーか?」
目を開けると、ルーファス王子が立っている。
「な~んだ。あんたか」
「なんだとはっ。なんだ!」
「なんだ、だから、なんだだよ!」
「だから、なんだっ!」
........................。
「ぷはっ、はっはっはっはっ」
二人で笑い出す。
「俺が、悩んでいたのが、バカみたいに
思えるな」
「何か、悩んでたの?」
はぁ~。ため息がもれる。
「今日お前に、命の大切さの事
言われただろ」
「あぁ、あれね」
「俺は、今まで、大切だと思う物が
ほとんど無かった。
そんな気持ち知ろうともしなかった」
「うん、うん」
「俺には人としての血が通っていない
のではないか?それで王子として
国を支えられるのか?とな」
今日はよく話す。月明かりのせいかしら。


「バカね~。いいのは顔だけなの?
知らなかったんだから
しょうが無いじゃない。
これから、知っていけば、いいだけでしょ。
それよりも、知らない事を知らないと。
正直に話すあんたは、嫌いじゃないわ。」
ルーファス王子の顔が笑ったように見えた。


「さっ、冷えるから戻りましょっ!」
立ち上がる。
「っ!!!」
「おまっ、何て格好してるんだっ!」
月明かりで部屋着が透けて体のラインが
バッチリ見えてる。
王子が上着をマリーにかける。
「そんな、無防備な格好で外を歩くな!」
いきなり、抱きかかえられる。
「な、なによ。下ろしてっ!一人で歩ける!!」
「ダメだ。諦めろ」
暴れるのは諦めて、
カップケーキだけは大切に
抱えるマリーだった。


むろん、心臓が破裂しそうなのは
言うまでもない。

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