リアル乙女ゲームは、悪役さえも付いていない、ただの令嬢だった。~40オーバーおばさんの乙女ゲーム初デビュー~

ノベルバユーザー417511

アンリ編1

 アンリが、屋敷から帰るとメアリが部屋へやってくる。
「リズお嬢様、大丈夫でしたか?」
「何が?全然平気よ。可愛いもんよ」
「そうですか。それなら宜しいですが」リズが言うにはアンリはやはり悪役令嬢だけあり、周りから相当嫌われているのだとか。アンリは公爵家と言うとこもあり、ランバードの事が好きなアンリが無理矢理、親の力を借り婚約を進めたらしい。
「ふ~ん。なんか皆可哀想よね。そんな設定なんだろうけどさ」
「また設定とは、何ですかそれは?」
「私の言ってる事なんて気にしないでいいよ」
「そうですか。でも王子達が不安定になると、ここが心配です」ここが心配?王子が乱心して戦争でも起こすの?説明書には載って無かったな。桜はあらすじと登場人物しか軽く読んで無かった為、首を傾げる。
「リズお嬢様、まさかっそれもお忘れですか?」
「忘れたというか、知らないと言うか....」
メアリはため息をつき
「宜しいですか?リズお嬢様。この国ブルーラグーンは4つの都市から成り立っております」
「あ、はい」
「その4つの都市にはそれぞれ王子がおります。その都市と王子達は深く繋がっており、王子が喜びを感じれば都市は潤い、悲しみが募れば都市は衰退していくのです」
「まじですか....」そう言えば、説明書に国と共に幸せになる。とか書いてあったな。
「ですから、ランバード王子とアンリ様が婚約なさった時、心配になったのです。まさかと思いますが、ここはランバード王子が納めるブルーアリアですよ」
「えっそうなの?まずいじゃんっ」筋書きとしてはアンリを断罪して、ソフィと一緒になった方がブルーアリアは安泰かも.....桜は首を振る。
「いやいや、それじゃ、アンリ殺されちゃうじゃん」
「リズお嬢様?殺すなど物騒な」
「ごめん、ごめん。こっちの話し」
私ただのモブCよ?なんでこんなめんどくさい事巻き込まれんのよ。いやまだ巻き込まれてないか。アンリが婚約破棄されても殺されなきゃいいわけだしね。当面はアンリを更正させる事を考えればいいか。桜は久しぶりに女子トークをしたのもあり、
「メアリ、くたびれたから、もう横んなるわ」
と言って、ベッドに向かう。
「リズお嬢様、今日は湯浴みの日ですよっ」
「ん?風呂?明日でいいや」と言ってベッドに潜り込む。メアリは
「もうっ、いつからそんなに、ズボラに...」とため息をつき、部屋を出ていく。


桜は、そのまま眠りに落ち朝まで一度たりとも目は覚めなかった。朝になると目が覚め
「昨日は一度もトイレで夜中起きなかった!若いって素晴らしいっ」と言いながら体を起こす。眠い目を擦りながら、まったりとしてるとメアリが部屋へ来る。
「リズお嬢様、起きられましたか?午後からアンリ様がいらっしゃるそうです」
「えっ、今日も来るの?」驚いて返事をすると、リズが蒸しタオルを持って部屋へ入ってくる。
「ええ、私も驚いてますの。何かあったのでしょうか?リズお嬢様、昨日湯浴みされませんでしたでしょう?体をお拭きしますね」なんと出来た侍女なのかと感心しながら
「よっこらっしょ」と言って立ち上がると、リズに体を拭いて貰う。
「ふ~、気持ちいい...極楽、極楽。でもアンリ様、何んだろうね?」
「さあ?」とメアリが首を傾げる。メアリはリズの体を拭き終わると部屋から出て行く。アンリが来るのは午後なので、まだのんびり出来るわ。と思っていたら、1時間もしない内に、アンリがやって来た。
「リズ様、リズ様がまた来ていいと言ったので、私嬉しくて早く来てしまいました」
早すぎないかい?と思ったが、アンリが嬉しそうにしているので、まっいいか。と思いアンリの相手をする。
「リズ様、今日はランチボックスを持って来ましたの。天気もいいし、外で食べません事?」
「本当ですか?それは嬉しい」と言って、いつもの癖で頭をよしよしと撫でてしまう。あっしまった。自分より身分の高い人にしちゃダメなんだっけ?するとアンリが真っ赤になりながら
「いいんですの....」とうつ向く。桜はハテナ?となるが、こんなスキンシップも親からして貰ってないのかもな。と不憫に思う。
「リズ様、行こうっ」と言ってアンリはリズの手を引くと、二人は楽しくランチをする。たまにアンリがリズの手を繋いできたりして、キャっキャと喜んでいる。アンリってスキンシップ多めの人種?この年頃の子はね、多感だからね...まあこんな事で喜んでるんだもん。可愛いもんよね。
「アンリ様、そろそろ日も暮れて来ましたから、お開きに致しましょう?」
「えっ、もうなの?」アンリはまだ一緒にいたい様子だ。
「肌寒くなって来ましたので、風邪を引いてはいけませんから。またいらっしゃれば宜しいのですから」
「そうよね。そうよっ」と何か自分で納得したようで、素直に帰り支度を始める。
「じゃあね、リズ様」と言うと、アンリは屋敷を後にした。アンリを見送ると、桜はふ~とため息をつき、肩をゴリゴリと回すと、
「二日連チャンは、流石にくたびれるわ」と言って屋敷へと戻るのだった。

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