リアル乙女ゲームは、悪役さえも付いていない、ただの令嬢だった。~40オーバーおばさんの乙女ゲーム初デビュー~

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アンリのお茶会2

 セフィは、瞳をうるうるとさせながら、リズに
「ありがとうございます」と言ってきた。桜はこれが主人公の輝きっ!私と全然違うじゃないっと思ったが主人公になったら、なったで苦労ありそうだもんね。と考え直す。
「いいえ、どういたしまして」と返事をすると、今度は令嬢達の黄色い声が聞こえる。
四人の王子達が連れだってこちらに近付いて来る。桜はヤバいっ。やつらに近付くと、秒殺で殺されるわ。すすすっと、人ゴミに紛れてその場を離れる。
「危なかった~。上手いこと逃げられたわ。なんたってモブですから」
また選択肢が出てくる。A.戻る B.戻らない。こんなの決まってるでしょ。B戻らないよっ。


「何も起こらないわね。ラッキー」っと言って桜は庭を後にする。しかし桜の思案とは裏腹に、王子達が
「さっきの、令嬢は誰なのだ?アンリ達に説教する令嬢がいるとはな....」と思ってもいない方向へと進み出す。王子達はそこにセフィがいるが、全く目に入っていなかったのである。これが、セフィと王子達の出会いの重要な場面だとも知らないままに。


桜は、停めてある馬車に戻ると
「あ~疲れた。人が多いとしんどいわ」と言いながら馬車へ乗り込む。
「リズお嬢様、お早くないですか?」と馬車で待機していたメアリが言ってきた。
「そうだね、久しぶりに人ゴミ疲れちゃって。それとメアリはい、これ」と言うと、帰り際にちゃっかり、お茶会で置いてあったスコーンやクッキーなどを持ち帰っていた。
「お嬢様、なんてはしたないっ」とメアリは怒り出す。
「せっかく、喜んでくれると思ったのに。要らないならもったいないから、私食べるよ」と言うと、
「いえ、私が食べます。お嬢様が持ってきてくれたんですもの」と言いメアリはお菓子を奪う。
「やっぱり食べたかったんじゃん....」自分の屋敷の部屋へ戻ると
「お茶会も、たまにでいいや」とメアリに言う。
「何故ですか?いつも必ず出席してらっしゃったのに」そりゃね、モブですもん。必ずいるよね。
「自分には、向いてないかもね。たまには顔出すよ。でも、その内皆私の事なんて、忘れるって」
「まあ、そんな悲しい事、おっしゃらないで下さい」
「いいんだよ。そしたらさ、小さな学校でも行って教師になるからさ」
「先生ですの?まだお若いのに、志しが高いのですね。女子が手に職など、とても難しいのでは?」
「あ、そっか。そんな時代設定か....」
「設定?」
「いやいや、こっちの話し。何とかなるよ。それよりメアリここってさ、お酒あるの?」
「ええ、ワインなら。でもお嬢様、ワインは苦手だと」
「疲れた時はね、お酒が一番なのよ。メアリ、ワインとつまみ持ってきてくれる?」
「え、ええかしこまりました...」
メアリは、ワインとつまみを持ってくる。そう言えば、私何歳なのかしら?日本じゃ、お酒は二十歳からだけど、この世界って大人って何歳なのよ。
「メアリ、私何歳なの?」
「お嬢様?もう酔われましたか?」
「まだ飲んでないわよ。いつの間にか歳って忘れるじゃない?」
「まあ、そうと言われれば...お嬢様は17才です」
「わかっ!大人って何歳なの?」
「15才になれば皆さん成人されます。やはり酔っていらっしゃいますね。あまり沢山お飲みになりませんように」酔っていると勘違いされたみたいだ。それならそれで都合がいいか。桜はワインを一口、口にする。
「やばっ、このワインめちゃくちゃ美味しい。チーズも美味しいし」桜は次々とワインを手酌で注ぎながらうめ~っと言いながら一本飲み干す。一本ワインを空けた頃にはもうヘベレケになりながら
「1日位、化粧落とさなくても....」といつもの合言葉を言うとベッドに潜り込む。今回は秒殺で眠りに落ちる。


「桜さん、桜さん....」世界が話し掛けてくる。
「うぃっ、うるさいな~。何よ」桜は相当酔っ払っている。
「そろそろ、この世界に慣れましたか?」
「うんっ」と乱暴に返事をする。
「そろそろ、選択肢を外してもいいのでは?と言うご提案なのてすか。どうでしょうか。もちろん人生が変わる岐路には、選択肢は出しますが」
「ああんっ、選択肢?ああ、あれ邪魔よ。ようは死ななきゃいいんでしょ?」
「ええ、そうですが、幸せにもなって貰いたいのですが」
「何?あんたっていいやつなわけ?」
「まあ、自分で言うのも何ですが、そうかと思います」
「あっそ、私が幸せなら、あんたも幸せって事でいいわね?」
「ええ」世界が笑ったような気がした。
「ではっ、桜さんこれにて。しばらくは出て来れませんので、決して選択を間違えませんように」
「あ~い。じゃね~」と手を振りまた深い眠りに落ちる。


「リズお嬢様、リズお嬢様」誰かが体を揺さぶる。
「う、頭痛った~。二日酔い半端じゃないわ。若い体だからいいかと思ったけどそうでもないね」
「当たり前です。昨日あれほど飲み過ぎるなと申しましたのに、一人でワイン一本も空けるなんて」これは確かに反省だ。
「ごめん。メアリ....」
「いいのですよ。最近はリズお嬢様も元気になられたようですし」私になんかあったのかな?まあ大方この顔だもの。失恋とかでしょうね。何か分からないけど
「リズ心配かけたわね。私はもう大丈夫よ」と言うとリズは涙目になりながら、うんうんと頷いた。


「そう言えば、本日の午後こちらへ、アンリお嬢様がいらっしゃるとの事でした」
「えっアンリってあの悪役令嬢の?」
「リズお嬢様っ、なんという言いぐさ。本人には決して言ってはいけませんよ」
「もちろんよ。バカじゃないんだから」
「また、バカとか」
「ごめん、ごめん。分かったから。午後からね、それまで、もう少し寝るから。後で起こしにきて」
「もう、お嬢様、ずぼらになられて....」とブツブツ言いながら、メアリは部屋から出て行くのだった。

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