リアル乙女ゲームは、悪役さえも付いていない、ただの令嬢だった。~40オーバーおばさんの乙女ゲーム初デビュー~

ノベルバユーザー417511

アンリとの出会い

 桜は二度寝から目を覚ますと、
「あ~よく寝たわ。やっぱり二度寝って最高だよね」と言ってベッドから起き上がる。
リズが水やフルーツを用意していてくれたらしく、
「リズって、優秀だよね」と言いながら、葡萄を一つ摘まむと口に放り込む。二日酔いの頭はなんとか回復したらしく、
「アンリ様が来るんだっけ?何しに来るんだろう?」
さほど気に止めないで、着替えを始める。
「そう言えば、昨日世界がなんか言ってた気がするな。選択肢がどうとか。まっいいか」と言ってソファーに座る。


コンコンコン。


「リズお嬢様、もうすぐアンリ様がいらっしゃいますので、ご用意お願い致します」メアリが部屋まで起こしに来た。
「もう起きたよ」と言うと、メアリが部屋へ入って来る。
「あれ、もうお着替えでしたか。では化粧を致しましょう」リズが化粧道具一式を持って、リズに化粧を始めようする。
「メアリこれから、化粧とか着替えとか自分でするわ」と言って桜は、サササと化粧を始める。その手際の良さにメアリは驚いていると
「生活術よ。時間なんてかけてられないからさ」出勤前の時間は大切なので、化粧なんてする時間はもったいないのだ。むしろスッピンでいいならそれでもいいくらいだ。しかしそれは世間が許さない。おばあちゃんのスッピンなんて誰も見たくないだろうから。


「ですが、私の仕事が....」と悲しそうにメアリが言うので
「もちろん、凄いゴテゴテしたドレスの時は手伝って欲しいよ。リズも少し楽しなね」と言うと
「リズお嬢様、ありがとうございます」と言って髪をまとめあげる。
「これもね、こうすると、自然な感じでいいよ」メアリにふんわり後れ毛まとめ髪ヘアを教える。
「まあ、とても簡単で、素敵ですわ」
「でしょ?」と桜が言うと
「リズお嬢様、本当に元気になられて」と涙目になっている。昨日から何度目だろ?
「昨日から喜んでるけど、私に何かあったの?」分からない事は素直に聞いたほうが早い。
「まぁ、ショックで記憶を封印されたのですね?」
「う、うん。多分そうかも...」
「リズお嬢様は、ダニエル様と婚約されてましたの。でもそのダニエル様が他に好きな方が出来たとかで。お嬢様は婚約をとても喜んでらして、こんな私でも結婚出来るのねと。ですので、婚約破棄された時は、それはそれは酷い落ち込みようで....」
「やっぱりね。そんな事じゃないかと思ってたわよ。それにしてもダニエルって酷い男よね。良かったわ。そんな奴と一緒になったって、幸せになれないもん」現実世界でも、桜は結婚を決めた相手に逃げられてる。
「自然に任せるのが、一番よ!」そう言い続け40才を越えてしまったのだが....


外から、馬車の到着した音が聞こえて来る。
「アンリ様が到着されたようですわね。私出迎えに行って参ります」と言ってメアリは部屋から出て行く。
「アンリ様が来られました」と部屋へアンリを案内する。
「どうぞ。お入りになって」
アンリが部屋へ入ってくると、桜は
「アンリ様、よく来られました」と笑顔を向ける。
アンリは、ソファーに座るなり
「ねぇ、あなた私が怖くないの?」と聞いてきた。はは~ん。心を許せる相手がいないのね。生徒にもいたな。そういう子。お金持ちのお嬢様で、皆がその子に上部だけでしか付き合わないから、どんどんひねくれて行っちゃってさ。でも私だけには心を開いてくれて...元気にしてるかな?
「ちょっと、聞いてますの?」桜は、我に返り
「すいません。アンリ様が怖いかどうかですよね?」
「そうよっ。どうなのよ...」アンリはモジモジとして顔が赤くなる。
やだっ、可愛いじゃない。教え子くらいの年なので、可愛く見えてくる。
「怖がったほうが宜しいですか?」
「ダ、ダメよ。そんなの皆と一緒じゃない...」
やっぱり、淋しかったのね。それにこのアンリって、速攻殺されるんじゃ....ゲームとは言え、今は現実世界だ。殺されと分かると、なんだか、可哀想になって来てしまった。桜は考える。もしかして、更正させればいいんじゃない?今は話しはどれくらい進んでいるのだろう?
「アンリ様、セフィ様とはお知り合いですか?」
「えっ?あの殿方に色目使う女の事?昨日ちょっとからかってやっただけよ...」アンリは、ばつが悪そうに答える。まだ本格的な関わりは無いようね。桜は少しほっとすると
「そんな事を言ってはいけません。いくら気にいらないからと皆で寄ってたかって虐めるのは、自分が損するだけです」
「でも...皆が私を盾にして言い始めるんですもの...」
「それじゃ尚更です。アンリ様が皆をお止めになる立場にならなくては。いつでも笑顔でいる人の周りには自然と人が寄って来るものなのですよ」
「ランバード王子もそうなのかしら?」
「もちろんですよ」桜はアンリが案外素直なのでこれは良い感じになるのではと期待する。
「リズ様、私今まであなたの存在を全くも知らなかったの。ごめんなさい。これから、友達になってくれるかしら?」
「何を謝る必要があるのですか。知らなくて当たり前です。大衆の一部でしたから。こちらこそ、お友達になって下さいませ」桜はニコっと笑った。
アンリと話していると、教師だった時を思い出してしまう。それから二人はたわいもない話しに花を咲かせ、気が付いたら日が暮れ始めていた。
「リズ様、また来て宜しいかしら?」アンリが可愛らしく微笑むと
「いつでも、いらっしゃいませ」と桜は返事を返したのだった。

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