捨てられた令嬢~呪われた皇太子~

ノベルバユーザー417511

第四四話

 サラが城に来て、一ヶ月位経とうとしていた。使用人達は、サラが弱音を吐かず頑張っているのと、変わらず笑顔を見せ、皆に挨拶する姿を見て、次第にサラの見方も少しずつだが、変わっていた。
「ねえ、サラ様って本当はいい人なんじゃない?」
「うん、そうかも。それにステラを怒らせると怖いじゃない?」

ステラも使用人達のリーダーになりつつあった。
「いいかいっ!あんた達、人の見る目を養わなくちゃいけないよ。そうでなきゃ、真実の愛なんて得られないんだよっ!ほら、このパンでも食べて頑張りなっ」
ロビンは隣でニコニコとしている。

「あの夫婦って、なんだかいいよね...サラ様も血は繋がって無いみたいだけど、二人は両親だもんね」
「そうだね....」
サラが、使用人達の近くを通ると
「いつも、ありがとう」と笑顔を向け声をかける。
「い、いえ、めっそうもございませんっ。私どもに礼など、もったいない限りです」
「いいえ、感謝の気持ちは減るものではありませんので....」と言うとサラは通り過ぎる。
「天使?ソフィアの言ってた事は本当かも....」
使用人達は、サラの笑顔にうっとりとしている。

サラは部屋へ戻る。ソフィアが
「本日は、挨拶の夜会ですね」
「そうだね。上手く出来るかな?」
「もちろん大丈夫です。サラ様がとても頑張ってらしたのは、ラッセル王子も良く分かってると思います」
「うん。そうだといいね。ソフィアもありがとう」
「いいえ、私はサラ様が幸せなお顔をされているのが、私の幸せです」
「ソフィアもいい人が出来たら、自分を優先させてね」
ソフィアはカイルの顔が浮かぶが、
「いいえ。サラ様が一番です」
サラは笑顔を向ける。
「そろそろ、用意致しましょう」
初めての夜会という事もあり、ソフィアは気合いを入れて、準備を始める。
「ソフィア、普通でいいのよ」
「そんな訳には行きませんっ。サラ様はお綺麗なので私の腕も鳴りますっ」
サラは、用意されたラズベリー色のドレスに着替え、ふんわりとした栗色の髪が良く映える。薄く化粧を施し、唇は少し艶のある口紅を塗る。
「サラ様、素敵です....」
ソフィアはうっとりとしている。
「ソフィアのおかげよ」
「これで、ラッセル王子も惚れ直しますね」
「そうだと、嬉しいね」
コンコンコン。
「サラ、用意は出来たか?」
「ええ、大丈夫です」
ラッセルは扉を開ける。
「サラ.....」
ラッセルは、サラを見つめ何も言わない。
「ラッセル?どこかおかしかったかしら?」
「はははっ。反対だ。あまりに綺麗だから見とれていたんだ」
「もう、ラッセルったら」
「あまり、皆にお披露目したくないな...」
「バカな事言わないで」
ラッセルはサラに近付き、腰を引き寄せる。
「きゃっ」
「大丈夫だ。俺はサラを離す訳ないだろ」
「ビックリするじゃない」
「キスしていいか?」
「ダメだよ。化粧したばかりなんだから」
「そうか、じゃあ後でな」
「うん....」
サラは恥ずかしそうに俯く。
ソフィアは二人を微笑みながら見つめる。

「それでは、サラ姫行きますか」
サラは、ラッセルの腕を取り、会場へと向かった。

ゆっくりと扉を開けると、沢山の貴族達がひしめき合っていた。サラは緊張しているのか、ラッセルの腕を強く握る。
「サラ、大丈夫だ。俺がついてる」
ラッセルはサラを見つめる。サラは頷くと、二人は会場に入る。一斉にラッセルとサラに注目が集まる。
「なんと、お綺麗な....」
貴族達からそんな声が聞こえる。サラは精一杯笑顔を作る。ラッセルはサラのそんな様子を見て、頭にキスを落とす。
「ラッセル?」
「いつも通りのサラでいいんだ」
サラは、力が入っていた事に気付き、ふわっと笑う。
「おお~」
紳士達のどよめきが起こる。
「あまり、見せたくないな....」
「バカな事いわないで」
ラッセルとサラは、指定の席へと座る。
すると、隣国の王子がラッセルへ挨拶をしに来る。
「ラッセル王子、婚約おめでとうございます。ご招待頂きありがとうございます」
「フィン王子、わざわざ、遠い所からお越し頂きありがとうございます」
フィン王子は、隣国からやって来た。父の代からの付き合いで、平和の条約を結んでいる。フィンは、ラッセルともそんなに年も変わらず、次期王になる予定だ。幼い頃から、何か式典があると顔を合わせている。
「それにしても、ラッセル王子の婚約者様は、お綺麗だ。会場にいるどの令嬢よりも輝いて見えますね」
「サラ・レベッカ・ベルと申します。本日はお越し頂きありがとうございます」
サラは微笑みながら、お辞儀をする。
「ほぉ~、なんと」
フィンは興味津々なようだ。
「フィン王子も、婚約したとか」
「ええ、そうですがね。私の場合は許嫁でしてね。自分では選ぶ事も出来なかった。二人が羨ましく見えます。サラ様とはどういった出会いで?」
「私が、困難な時に、ラッセル王子が助けてくれたのです」
「それは興味深い」
侍女がワインを持って来るが、サラの目の前でつまずいてしまう。
サラは、あっと声を上げるが、グラスは床に落ち割れてしまった。
「も、申し訳ございませんっ」
会場は静まり帰る。サラは侍女の手を取り
「あなたこそケガは無い?」
侍女に微笑みを向ける。
サラは割れたグラスを拾おうとするが
「サラ様、私がやりますのでっ」
「あなたも、あまり、気にしないで。物はいつかは壊れるのだから」
「サラ様....」
侍女は深々とお辞儀をし、割れたグラスをかたずけ下がっていく。
ラッセルはその様子を見て、目を細める。フィンもサラに釘付けになる。

「それでは、私はこの辺で」
「ええ、ゆっくりして行って下さい」
フィンは挨拶が終ると、会場の中へと戻る。
「オリー見たか?サラと言ったな。まだ婚約しかしてないんだよな」
「ええそうですが....フィン王子、ダメですよ。条約が破棄されてしまいます」
「かまうもんか。それは、父の代の話しだ。サラが俺を選べばいいんだ」
オリーは、また、フィン王子の悪い癖が出た。とため息を付いたのだった。

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