捨てられた令嬢~呪われた皇太子~

ノベルバユーザー417511

第四一話

 サラとヒューは久しぶりの家族団らんをし、ラッセルは城へと戻る。帰り際
「サラと皆の準備が整い次第、迎えに来るから、急かして悪いんだが、準備を初めてくれ」
「うん。分かった」ステラも
「あいよ。ここを離れのも淋しいけどね、人生は一度きりだ。やるしかないね」
「じゃあ、俺は帰るが、ステラ、頼んだぞ」
「任せておきなっ」

ラッセルは、サラの頭にキスを落とすと、カイルの迎えがあり、馬車へ乗り込む。
「ラッセル王子、良かったですね。これで、サラ様を迎えられますね」
「ああ、そうだな。だがまだ反対している者もいるだろうから、身を引き締めないとな」
「ええ、そうですね」
ラッセルは外の景色を眺めながら、大きく頷いたのだった。

ラッセルが城へ戻ると、ルシアがラッセルに向かって走って来るのが見える。令嬢が走るなど、余程取り乱しているのだろう。
「ラッセル王子っ、どういう事なのですかっ」
「ルシアか、どういう事も、お前が知っている通りだ。俺はお前を愛さないと言ったはずだ」
「そんなはずありませんっ。お父様もラッセル王子と結婚させてくれると言ったのです」
「そのようだな。だがウィリアムの不正が発覚してんだ。諦めろ」
「ラッセル王子、目を覚まして下さいっ。あんな娘があなたの妻が務まるはずがありませんっ。私の方が地位も上ですし、教育だって受けておりますっ」
ラッセル王子の顔が変わり始める。
「ルシア、そんなに今の公爵という位が大切か?」
「もちろんですわっ。私は誇りを持っております」
「そうか、ならお前は、自分の下の者に何をしてやった?」
「何をとは?使用人として、世話をさせてあげてますわっ。私の世話が出来るなんてありがたい事だと。お父様も言ってました」
「お父様が言っていたか....ルシア、俺はな皆平等とは言わない。だが皆が笑い合い、手取り合う国にしていきたいんだ。それには上の者は自分の使命を理解してなくてはいけない」
「使命?」ルシアは、言われている事を理解していないようだ。
「そうだ。自分の領地を豊かにしなくてはいけない。それには、民を人を思いやる気持ちが大切だ。お前にはそれが全く見られない。小さい頃から、使用人達に対する態度は酷いものだった。俺はそんなお前が大嫌いだったよ」
「それは、お父様が.....」
「ルシア、お前はもう立派な成人した女性だ。そんな事も分からないで、何が俺の婚約者だっ!」
ラッセルは、ルシアに怒鳴りつける。
「ウィリアムには、開拓の地に出向き、男爵としてやり直して貰う。ルシアお前は、修道院にでも送ろうかと思ったが、父についていき、一から何が大切か学ぶんだ。分かったなっ!」
ルシアは、力が抜けたのか、泣き崩れる。ラッセルは、振り向きもせず、その場を離れたのだった。

サラとステラは、
「今日から少しずつ、引っ越しの準備を始めるかね」
「うん。そうだね。でも本当に良かったの?ここには娘さんの思い出もあるんじゃない?」
「もちろんそうだけどね、思い出は心の中にあるよ。それに今の娘はサラだからね」
「うん。そうだね」
三人は、引っ越しの準備を始める。
「街の皆にも、知らせないとね」
ちょうど、常連のおばさんが店へやって来る。
「ステラ、なんだか今日は品数が少ないじゃないかい?」
「この店を一時たたもうと思ってるんだ」
「どこに行くんだよ?」
「それなんだがね、城で専属のパンを焼こうと思ってるんだ」
「なんだって?凄いじゃないかっ!」
「私達の力じゃないよ。サラの為なんだけどね」
「サラちゃんかい?」
「ああ、サラが婚約したんだよ」
「それは、本当なのかい?それならお祝いしなくちゃ行けないっ。それで相手はどこの誰なんだよ?」
「あんた、口軽そうだね....」
「何言ってんだい。私とステラの仲だろ?私だって嬉しいんだよ」
「ならここだけの話しにしとくれよ。ラッセル王子だ」常連のおばさんの時が止まる。ステラが、
「あんたっ、心臓止まっちまったか?」と肩を揺すると
「なんだって~!!」大声で叫ぶ。
「声大きいよっ」
「この間の婚約者ってのは、ドット公爵の令嬢じゃなくて、サラちゃんの事だったのかいっ」
「まぁ、色々あったけど、そう言う事になるね」
「そりゃ、大変だっ」
「あんた、まだ誰にも話すんじゃないよっ」と言い終わらないうちに、常連のおばさんは店を出ていく。
もちろん、ステラとした約束などはとっくに忘れている。

「大丈夫かね……]
次の日になり、客が店にやって来ると口々に
「サラちゃんが、ラッセル王子の婚約者なんだって?驚きだけど、おめでとう」
と皆から祝福の言葉が述べられる。
サラは困惑した顔で
「ありがとうございます…….」と答えるとステラが
「やっぱり、黙ってられなかったんだね……..ごめんよ。ちょっとばかし口がすべっちまってね」
「別にいいよ。本当の事だし、逆にこれで自分も頑張らなきゃって思うの」
「そうだね。本当の事だもんね」
そして、ついに引っ越しの準備が整う。ラッセルが馬車で店の前まで乗り付けると凄い人だかりが出来ている。
「んっ?なんだこの人だかりは。カイル様子を見て来てくれ」
「はい、かしこまりました」カイルが馬車から降りると人をかき分けて店へ入る。
「サラ様、お迎えにあがりました」
「カイルさん、ありがとうございます」
「あの、この人だかりは何でしょうか?」
ステラがすかさず
「私がね、ちょっと余計な事を言っちまってね。ここにいる人達は全員お見送りだってさ」
「そうなのですか?ではラッセル王子に伝えてきます」カイルは馬車へ戻るとこの事をラッセルに伝える。
「皆がお見送りか。分かった」と言うと馬車から降りる。周りからものすごい歓声が起こる。ラッセルは片手を上げ
「皆、本日はサラの見送りに集まって貰い感謝する。私はサラを婚約者とし、二人で良い国にして行く所存だ。どうか温かく見守って欲しい」
と挨拶すると、パン屋へと続く人の道が出来る。一歩ずつ歩いて行くと先にサラが待っていた。

「サラ、待たせたな」
ラッセルはサラに手を差し出す。
「ラッセル王子、待っていました」笑顔でその手を握り返す。そして二人は、歓声が鳴り止まぬ中、馬車へと歩き出すのだった。

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