捨てられた令嬢~呪われた皇太子~

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第四〇話

 サラとヒューはシーズへと帰ってきた。
「只今戻りました」
「サラちゃんお帰り。犬も一緒なんだな」
「はい。ヒューっていいます。ヒューも一緒でいいですか?」
「ああ、構わないよ」
「トーマスさん、突然ですが、私、明日帰ろうと思います」
「そうか。淋しくなるな。迎えが来たもんな....今日は送別だから好きなもの食べてくれよ。ヒューもな」
店にいた客達が
「サラちゃん帰るのか。淋しいな~。俺なんてデートも誘えなかったのにな~」
ヒューがジロリと睨み、グルルル~と唸る。
「サラちゃんの番犬かい?怖いな~」
「いいえ、私の大切な人です」
「えっ、サラちゃんまた冗談を」
サラはニコリと微笑む。それから店はサラのお別れ会と変わる。トーマスが
「今日は俺の奢りだ。好きなだけ飲んで食べていいぞっ」店は大盛り上がりを見せる。
客の一人が、酔っぱらいながら
「サラちゃん、ほらほら、飲みなっ」と言ってワインをグラスに注ぐ。
「私、お酒は飲んだ事無くて.....」
「ワインなんて、ジュースみたいなもんだよ」
「そうなんですか?じゃあ一口だけ」
「どうだ?」
「美味しいっ」
「意外といける口だね?」サラはワインを飲み始める。ヒューはサラの足元で休んでいる。

だんだんと、サラの酔いがまわりはじめ、サラは笑い上戸らしく、お客の話しを終始、ふふふふ。と言いながら笑って聞いている。
「ヒュー?ふふふふふ。ヒューだ.....」
と言いながら顔を除き込む。
「サラ?酔っているのか?」
「酔ってないよ~。ふふふふふ」
店は騒がしい為、ヒューの声など聞こえていない。
「サラ、それ以上飲むなよ」
「大丈夫。ワインって美味しいんだもん....」
「ダメだ。部屋へ戻るぞ」
「でも、皆まだいるのに....」
ヒューは立ち上がると、サラを引っ張る。
「分かった....」ふらつきながら、立ち上がるとヒューは、サラを庇うように、部屋へ戻る。
あまりの盛り上がりなので、誰もサラとヒューが部屋へ戻った事など気付いていない。
二人は部屋へ戻ると、ヒューはラッセルへと姿を変え
「サラ、飲み過ぎだぞ」
「そんなに、飲んでません。ふふふふ」
サラの目はトロンとしながら、ラッセルを見つめる。
「本物のラッセルだ。本当に淋しかったんだから....」サラは酔っているのか、ラッセルに甘えながら、抱きつく。
「ああ、分かっている」ラッセルはサラを抱きしめ、背中を優しくさする。サラはラッセルを見上げると
「あったかい.....」と言って徐々に目を閉じ始める。
「サラ?寝たのか?」
安心したのかスヤスヤと寝息が聞こえる。ラッセルはサラを抱え、ベッドへと下ろす。
「心配かけたな。もう大丈夫だ。これからはずっと一緒だ」
と言って額にキスを落とす。ラッセルも一緒にベッドに入ると、サラを抱きしめ、目を閉じる。

朝になり、二人は目を覚ます。
「おはよう....私昨日....」
「昨日か、大分、酔っ払ってたな」
「ごめん。迷惑かけたかな?」
「いや、可愛いかったぞ。だけど飲むのは俺の前だけにしてくれよ?」
「うん。反省してる....」
「そろそろ用意をして、行くか」

ラッセルは、ヒューに姿を変え、二人は店に降りる。
トーマスは店の準備をしていた。
「トーマスさん、おはようございます」
「もう帰るんだな。何かあったらまた来てくれよ。こちらはサラちゃんなら大歓迎だからな」
「はい。お世話になり、ありがとうございました」と深くおじぎをすると店を出る。

途中、カイルが迎えに来ており、サラとヒューは馬車に乗り込む。
「サラ様、久しぶりですっ。お元気そうで良かったです」
「はい。カイルさんもお元気そうで。今回はカイルさんも色々私の為に動いてくれたと聞きました。本当にありがとうございました」
「いいえ、私なんて何もしておりません。ハリー様の心を動かしたのは、サラ様ですから」
「ハリーさんは今どうしているのですか?」
「今はご自分の屋敷に戻り、幸せそうにしてますよねっ、ラッセル王子」
「叔父上も良かったな」
ラッセルは、ハリーとジュディの事を話す。
「えっ本当なの?」その事を聞いてサラは胸がいっぱいになる。サラはハリーから悲しい思いを聞いていたから。
「本当に良かった....」
「サラ、俺達も叔父上に負けない位、幸せにならなくちゃな」
「うん。そうだね」ラッセルはサラの手を握る。
外を眺めていると、段々と街の景色が近付いて来る。そしてパン屋まで到着した。サラは馬車から降りると
「お母さん、お父さん、ただいまっ」と笑顔で店の扉を開ける。
「サラ、お帰りっ」ステラがサラを抱きしめる。
ヒューも店に入ってくる。
「ステラ、待たせたな」
「本当だよ。どれだけ心配させるんだろうね」
「すまなかったな。ステラ」
「もういいよ。サラをちゃんと迎えに行けたんだからね」
「ステラ、相談なんだが、サラを城に住まわせたいんだ」
「城にかい?結婚するならいつかは、そっちに行かなくちゃいけないだろうけどね。結婚してからでもいいんじゃないかい?」
「俺としては、これから何があるか分からないから、サラの側にいたいんだ」
「う~ん。城ねえ、私としても、ここにいてくれた方が安心なんだけどね」
「それでな、ステラとロビンにも城に来て貰いたいんだ」
「えっ、私達がかい?無理に決まってんだろ。何をするんだよ。城で」
「王家専属のパンを焼いて欲しいんだ。たまに店に戻っても構わない。そうすれば、ここでも王家に出しているパンという事で博がつかないか?それと一番は、サラの近くにいてやって欲しいんだ」
「そういう事かい....サラはどうして欲しいんだい?」
「私は、甘いかもしれないけど、お母さんと、お父さんと離れたくない....」
「そうかい。そうかい」ステラはサラの頭を撫でる。
「私は、サラにベタ甘だからね、やってやろうじゃないか。だけど、水が合わなかったらすぐここに戻るからね。それと、サラが苛められようもんなら、貴族様だろうがなんだろうが、許さないからね。それでもいいかい?ロビンもそれでいいね?」
「ああ、ステラの好きにすればいい」
「ステラ、ロビン恩に着る」
「お父さん、お母さん、ありがとう」
「さあ、今日は家族、皆で久しぶりだからね、腕によりをかけるよっ」ステラは店の奥へと入り、ヒューとサラは二階の部屋へ戻るのだった。

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