採集者の役得

赤猪千兎

採集者の覚醒③

ローグは超越に進化した自分のステータスを再確認しながら、そこに記されるオールレベルMAXなスキルを試しに使用してみることにした。
スキルにはレベルが存在し、それが上がるに連れスキル能力は効果を増していく。
時刻は深夜を越したころだろう。先刻の暗黒龍の覇気で周囲のモンスターや魔物は散っていった。つまり安全な地域と化したここなら実験を行うに適しているのだ。

「まずは、『世界樹の眼』だな」

スキル『世界樹の眼』とは、先ほど魔剣『エンダーナイフ』の効果がを知ることが出来たのも、このスキルの能力である。
対象の物質やアイテムの効果や情報をステータス表示で視界内に出現する。また、そのスキルの能力は常時発動しており、使用者が「知りたい」と意にするだけでそれは発動する。
きっと、レベルMAXまで行くとこの世に有るあらゆるアイテム情報を知ることができるのだろう。それは中々に怖いので今は考えないでおこう。
だが『世界樹の眼』にはまだ可能性を秘めている、そう気がしてならないのだが。

「次は、『収集』だな」

これは既存のスキルで、天職『収集者』の専売特許といえる専用スキルである。だが、レベルMAXというカンストした現在、このスキル『採集』がどんな化け物じみた能力をもつのかは知らない。
もともと『採集』というスキルの能力はローグが知る限りでは指定したアイテム等の対象物を至近距離は勿論のこと、視界内に入っているのなら遠距離からでも楽に採集できるという優れたスキルである。だが、これにもレベル差というものがあり、取れるアイテム取れないアイテムが存在する。
そして今、レベルが人類史上最高値に至ったローグにとっては、その論が正しいのなら「この世に取れないものは無い」と言うことになる。


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