採集者の役得

赤猪千兎

採集者の覚醒②

驚きを通り超えて、それは唖然を即する光景だった。
この世界で最も高いレベルに至った天職は『勇者』と言われており、そのレベルは『98』と三桁には至らないという、これは有名な話だ。
つまり、現在までで人類が至ったレベルの最高領域は二桁までという事だ。
そして、最弱といってもいい天職である『採集者』を授かっているローグの現在のレベルは『380』。軽く三桁に至っていた。
見間違いと思い何度も目を擦り自分の文字通り桁外れのステータスを凝視するが、そのレベルの数値もスキルも変わることは無い。

「これは?凄いのではないのか?」

自分のステータスの高さに自賛するローグはふと我に返り、何故ここまでレベルが高くなったのか、その経緯を考えてみる。

「やっぱりキーとなるのはコレだよな」

そう言い示すのは『エンダーナイフ』である。先ほど得た『世界樹の眼』という新たなスキルで分かった魔剣エンダーナイフの「経験値が自分と相手とのレベル差で倍加する」という効果が効いたのだろう。
確かに駆け出し冒険者のローグと伝説級のドラゴンである暗黒龍とのレベル差は雲泥の差であった。

「それにしても……これは凄いよな」

今だに我が身に起こっている現状を理解できずにいるローグは、レベルの急上昇に一度目をそらし、今度は新規や既存のスキルに目を付けてみた。


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