流行りの異世界転生が出来ると思ったのにチートするにはポイントが高すぎる
3
「あ、あの神様。ちょっとパニくっちゃって、えっと思いつかないです」
「時間はたっぷりある。ちなみに私は神ではない。正確には神の使いだ」
「へえー。あ、じゃあなんて呼べばいいんでしょう?」
「名か。母は銀月と呼んでいた」
「銀月様……。もうお母さまはいないんですか?」
「母は人であったゆえにもう何百年も前に天へ召されている」
「そう、なんですね……」
しんみりとした空気に私はだんだんと自分の願望が薄れていくのを感じる。そしてこの銀月様のことが知りたくなった。
「もっと銀月様のこと聞いてもよろしいでしょうか?」
「我のことが知りたいのか。構わぬ」
「えっとポイント減っちゃいます?」
「フフッ。案ずるな減りはせぬ」
銀月様の父親は野狐という妖怪で相当の悪だったようだ。このあたりの村の家畜を食べたり畑を荒らしたり散々悪さをし、人を化かした挙句最後には生贄を要求した。その生贄になった娘が、銀月様の母親となったということだ。
「最初は食らおうと思っていたようだが、母の美しさに心を奪われ夫婦になったと言っておった」
「妖狐×村娘……」
ドキドキしながら私は話を聞いた。
「父が言うには母を滝の水で綺麗に洗った後、裸で寝かせて全身を舐めまわすうちに、食欲よりも性欲が勝ってきてしまったらしい。最後には妖力で若い男の姿を取り母と交わった。そして改心し、神としてまつられることになったのだ」
「ま、交わった……」
ごくりとつばを飲み込み、妖狐と村娘の姿を想像すると動悸が激しくなってしまう。しんみりとしていたのにまたしても欲望が沸いてきてしまった。
「我にはその劣情はよくわからぬものだが、そうなると抗えないものらしいな」
「そ、そのようですね」
美しい銀月様を前に私も劣情が沸いてきているのだろうか。静かに話す彼を正視することが出来なくなっている。彼の母親と父親はどんなふうに身体を重ねたのだろう。
ドキドキし、身体が熱くなってくるのを感じているとスッと銀月様が目の前にやってきた。
「あ、あの……」
「欲しいか?」
「え、あ、ほ、欲しいです……」
もうこうなったらポイントは一気に使ってしまった方がいいと思う。今までだって、無駄にためて失効したポイントも数知れず。こまめに使った方がきっといいよね。
「では。湯あみから始めよう」
銀月様はよくわかっていらっしゃる。汗と汚れにまみれた身体のままえっちなんかできない。
一瞬で浴室に変わる。しかもヒノキ風呂で薔薇の花弁が浮かんでいる。
更には私はもう素っ裸だった。
「洗ってやろう」
銀月様は薄絹になって、シースルーの着物に袴姿だった。透けて見える身体つきがしなやかだけど筋肉質で肩幅が広く無駄のない美しさだ。
気が付くと横たわった私の身体は泡まみれで彼の手に上から下まで撫でまわされている。
湯をかけられ、泡を流された後、身体を抱きかかえられ湯船に沈められた。
頭を彼の肩に乗せゆらゆら揺れる赤い薔薇の花びらを眺め、甘い香りを嗅ぐ。動悸が落ち着いてくると、さっと抱き上げられ湯から出される。
「寝屋に参ろう」
「え、あ、はい」
またまた画面が変わる様にあたりの景色が変わる。裸で濡れていたはずだろうにすっかり渇き、ローブのような白いふわりとしたドレスを着て天蓋のついた柔らかいベッドに寝かされる。
「ふわふわして気持ちいい」
銀月様は私の隣に横たわり、ゆるゆると髪を撫で、ドレスの上から身体をさする。時々ふさふさした尻尾がちらりと見え隠れし、私の足の裏をそっとくすぐる。
のんびりとくつろぐような愛撫に私の方がしびれを切らしてしまいそうだ。しかし早くやりましょうとは言えず、ちらりと綺麗な長いぎんいろのまつ毛を見る。
ふっと目が合うと口元に微笑を浮かべ私の上に覆いかぶさった。目の前に今まで見たこともない一番きれいな男の人の顔が迫ってくる。
硬めの大きな唇が重ねられる。ああ彼が野狐で、私もう、食べられてもいいくらい。
銀月様はクールに息一つ乱さず、貪るような口づけを私に与える。
やっとドレスの前を開かれ肌に彼の手が伸びてきた。さっきの風呂での愛撫を思い出すと触られる前にもう身体が熱くなってくる。
「綺麗だ。食べてしまいたいくらいだ」
口元を少しゆがめ、冷たい眼差しでそう告げられ、私は雷に打たれたようにドキリとして銀月様の瞳に吸い込まれそうになる。今の私の目はハート形になっているはず。この甘く痺れるようなセリフは本心なのかしら。それともそういう設定にしてくれているのかしら。
今度は背中に指を這わされ、ウエストに口づけの雨を降らされる。
「あ、お腹、だめ、はずかしっ」
ウエストに自信がないので逃れようと腰をひねると、大きな骨ばった手ががっちりと抑え込む。
「綺麗にくびれている。滑らかな曲線だ」
「え? うそ」
本当だった。ここ数週間必死で働いた成果だろうか。やせてくびれができていた。
耳をぴくぴくさせ、シルクのような滑らかなしっぽで愛撫される。彼の与えてくれる甘い快感に、気を失うように私はふっと眠りに落ちた。
気が付くと自分のベッドの上に寝ていた。
「ありゃ。まさかの夢おち……?」
そうではなかった。ちゃんとパジャマを着て眠っていたが脱ぐと、身体中に花弁が散らばったようなキスマークがついている。
その痕を眺めていると様々と昨晩の愛撫を身体中が思い出す。
「あ、ふっ!」
思わず快感に身震いする。
そして最後に耳元で囁かれた言葉を思い出した。
『ポイントを貯めたらまた来るがよい』
そうだ。ポイントってまた貯められるんだよね。1000ポイントか。よし、また頑張ろう。
こうして異世界に行くのをやめて、人外の銀月様に愛されるため、私は毎日徳を積んでいる。
「時間はたっぷりある。ちなみに私は神ではない。正確には神の使いだ」
「へえー。あ、じゃあなんて呼べばいいんでしょう?」
「名か。母は銀月と呼んでいた」
「銀月様……。もうお母さまはいないんですか?」
「母は人であったゆえにもう何百年も前に天へ召されている」
「そう、なんですね……」
しんみりとした空気に私はだんだんと自分の願望が薄れていくのを感じる。そしてこの銀月様のことが知りたくなった。
「もっと銀月様のこと聞いてもよろしいでしょうか?」
「我のことが知りたいのか。構わぬ」
「えっとポイント減っちゃいます?」
「フフッ。案ずるな減りはせぬ」
銀月様の父親は野狐という妖怪で相当の悪だったようだ。このあたりの村の家畜を食べたり畑を荒らしたり散々悪さをし、人を化かした挙句最後には生贄を要求した。その生贄になった娘が、銀月様の母親となったということだ。
「最初は食らおうと思っていたようだが、母の美しさに心を奪われ夫婦になったと言っておった」
「妖狐×村娘……」
ドキドキしながら私は話を聞いた。
「父が言うには母を滝の水で綺麗に洗った後、裸で寝かせて全身を舐めまわすうちに、食欲よりも性欲が勝ってきてしまったらしい。最後には妖力で若い男の姿を取り母と交わった。そして改心し、神としてまつられることになったのだ」
「ま、交わった……」
ごくりとつばを飲み込み、妖狐と村娘の姿を想像すると動悸が激しくなってしまう。しんみりとしていたのにまたしても欲望が沸いてきてしまった。
「我にはその劣情はよくわからぬものだが、そうなると抗えないものらしいな」
「そ、そのようですね」
美しい銀月様を前に私も劣情が沸いてきているのだろうか。静かに話す彼を正視することが出来なくなっている。彼の母親と父親はどんなふうに身体を重ねたのだろう。
ドキドキし、身体が熱くなってくるのを感じているとスッと銀月様が目の前にやってきた。
「あ、あの……」
「欲しいか?」
「え、あ、ほ、欲しいです……」
もうこうなったらポイントは一気に使ってしまった方がいいと思う。今までだって、無駄にためて失効したポイントも数知れず。こまめに使った方がきっといいよね。
「では。湯あみから始めよう」
銀月様はよくわかっていらっしゃる。汗と汚れにまみれた身体のままえっちなんかできない。
一瞬で浴室に変わる。しかもヒノキ風呂で薔薇の花弁が浮かんでいる。
更には私はもう素っ裸だった。
「洗ってやろう」
銀月様は薄絹になって、シースルーの着物に袴姿だった。透けて見える身体つきがしなやかだけど筋肉質で肩幅が広く無駄のない美しさだ。
気が付くと横たわった私の身体は泡まみれで彼の手に上から下まで撫でまわされている。
湯をかけられ、泡を流された後、身体を抱きかかえられ湯船に沈められた。
頭を彼の肩に乗せゆらゆら揺れる赤い薔薇の花びらを眺め、甘い香りを嗅ぐ。動悸が落ち着いてくると、さっと抱き上げられ湯から出される。
「寝屋に参ろう」
「え、あ、はい」
またまた画面が変わる様にあたりの景色が変わる。裸で濡れていたはずだろうにすっかり渇き、ローブのような白いふわりとしたドレスを着て天蓋のついた柔らかいベッドに寝かされる。
「ふわふわして気持ちいい」
銀月様は私の隣に横たわり、ゆるゆると髪を撫で、ドレスの上から身体をさする。時々ふさふさした尻尾がちらりと見え隠れし、私の足の裏をそっとくすぐる。
のんびりとくつろぐような愛撫に私の方がしびれを切らしてしまいそうだ。しかし早くやりましょうとは言えず、ちらりと綺麗な長いぎんいろのまつ毛を見る。
ふっと目が合うと口元に微笑を浮かべ私の上に覆いかぶさった。目の前に今まで見たこともない一番きれいな男の人の顔が迫ってくる。
硬めの大きな唇が重ねられる。ああ彼が野狐で、私もう、食べられてもいいくらい。
銀月様はクールに息一つ乱さず、貪るような口づけを私に与える。
やっとドレスの前を開かれ肌に彼の手が伸びてきた。さっきの風呂での愛撫を思い出すと触られる前にもう身体が熱くなってくる。
「綺麗だ。食べてしまいたいくらいだ」
口元を少しゆがめ、冷たい眼差しでそう告げられ、私は雷に打たれたようにドキリとして銀月様の瞳に吸い込まれそうになる。今の私の目はハート形になっているはず。この甘く痺れるようなセリフは本心なのかしら。それともそういう設定にしてくれているのかしら。
今度は背中に指を這わされ、ウエストに口づけの雨を降らされる。
「あ、お腹、だめ、はずかしっ」
ウエストに自信がないので逃れようと腰をひねると、大きな骨ばった手ががっちりと抑え込む。
「綺麗にくびれている。滑らかな曲線だ」
「え? うそ」
本当だった。ここ数週間必死で働いた成果だろうか。やせてくびれができていた。
耳をぴくぴくさせ、シルクのような滑らかなしっぽで愛撫される。彼の与えてくれる甘い快感に、気を失うように私はふっと眠りに落ちた。
気が付くと自分のベッドの上に寝ていた。
「ありゃ。まさかの夢おち……?」
そうではなかった。ちゃんとパジャマを着て眠っていたが脱ぐと、身体中に花弁が散らばったようなキスマークがついている。
その痕を眺めていると様々と昨晩の愛撫を身体中が思い出す。
「あ、ふっ!」
思わず快感に身震いする。
そして最後に耳元で囁かれた言葉を思い出した。
『ポイントを貯めたらまた来るがよい』
そうだ。ポイントってまた貯められるんだよね。1000ポイントか。よし、また頑張ろう。
こうして異世界に行くのをやめて、人外の銀月様に愛されるため、私は毎日徳を積んでいる。
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