太陽の申し子〜竜に選ばれた少年の旅物語〜
37,急展開!(前半)
「ま、馬はなんとかなったし、村長さんを呼ぶか」
「……そうね。」
アンナの返事に力がない。
「どうした、元気出せよ!」
「はあ? 私が100年以上生きてようやく最近扱えるようになった念話を、たった10数分でやってのけられた側の気持ちになってみなさいよ!」
「え、いや、でもこれは念話じゃなくて」
「同じよ!」
「うぅ」
「はいはい。喧嘩はしない」
タマが僕とアンナの肩に手を置く。
「アンナも、独学でやってたんだから凄いと思うぞ? アレンが誰にも教わらずにやってたらもっと時間かかってただろうしな」
「……そうかしら?」
「そうだとも。だから自信を持っていいと思うぞ?」
「……ありがとうございます」
……我慢だ。
少し怒りたいが、我慢だ。
もう15なんだ、大人にならないとな。
少し経って村長さんが戻ってきた。
「あれ? 一体どうやって」
馬が怯えていないことが不思議な様子。
そりゃそうだわな、さっきまでビクビクしてたんだし。
「その質問には答えられないが、これで無事出発できそうだ」
「ええ、そのようですな。もう今から出発なさいますか?」
「急ぎだしな。そうさせてもらうよ」
「承知しました。それでは村の者共を呼んできます」
「ん? ああ見送りか? 大丈夫だ。昨日あんなことがあって疲れてるやつもいるだろうし、ゆっくり寝かせてやってくれ」
「いやいやそういう訳には。恩人に対して無礼ではありませんか」
「ふむ、そうか? じゃあ早めにお願いできるかな?」
「もちろんでございます」
そう言って村長さんは、村人達が寝ているであろう地下の方に向かって走っていった。
「しかし、運が良かったな。ほかの建物はほぼ全焼してるのに、この畜舎だけは綺麗に残ってる」
「そうですね。尤も、動物達は逃げれたでしょうけど」
「???」
「あら? あー、アレンは知らないのね。ここ大聖女の領域内の辺境は」
アンナがそこまで話すと村長がやってきた。
「すみません。お礼の品々がございますので、ちょっとこっちに来てもらってもよろしいですか?」
「あー、分かりました」
このタマの「あー」はあれだろうな。
時間がないって言ってるのに連れていかれることに対しての呆れと、遠慮すると余計長引きそうなのを悟ったやつだ。
というわけで後についていく。
そこで協会?らしきものの前に辿り着いた。
ここも綺麗に残ってんな。
木造じゃない…石?
焦げ目もないな。
「ああ、龍様はそこでお待ちを」
そうだな、その巨体じゃ入れないし。
ルビアス
─ええ、でも─
大丈夫だろ
─なにかあればすぐに呼んで─
もちろん
扉をくぐるとそこは外見よりも広々とした空間だった。
正面の大きなステンドグラスには銀髪の美しい女性と、その女性と向かい合う藍白の鱗を持った龍が描かれていた。
「すごい……」
「おや、あなたはかの御方をご存知でないのですか?」
「…すみません」
「では、冥土の土産として教えて差し上げましょう。あの美しき女性こそ、我らの敬愛する大聖女様、メウス・アルニラム様でございます! そして向かい合う偉大なる龍が、我らが守護神、氷園龍 レヴィタスドゥヴィ様なのです!」
レヴィタスドゥヴィって…長いなー。
なんかもっと短い名前なかったのかな。
ん? てかその前になんか言ったよね?
冥土の土産? え、死ぬの?
「この協会は大聖女様自らのお力が備わっている。いくら龍と言えども、上位の存在でなければ壊すどころか傷をつけることすら不可能! まして龍のいない龍契者など恐るるに足らず」
「えっと、あの……どういう状況かわかんないんだけど」
「ああ、俺にもわからん!」
なにこの村長さんの変わりっぷり。
「理解できないですか。まぁそうでしょう、あの大魔女に与するような輩の低脳では分かりますまい。だがよい、貴方達はここで消えゆく運命なのですから!」
「え、大魔女に与する?」
「今更何を仰ります、その女を連れている時点で分かりますとも。その女、魔人族をな」
「あー、なるほど」
お、タマは分かったみたい。
それを聞こうと思った矢先、ぞろぞろと武装した村人達が四方八方から現れた。
どうしよう? 最初の村なのにこんな問題おこるとか。
仮にも襲撃にあったとこを助けた身なのに……
「タマさん、アレン。ここは…私に任せてもらえるかしら?」
「!!?」
お、アンナがやる気だ。
「俺はいいぞ。好きにやってくれ」
「僕も、いいかな」
やばかったらタマがなんとかするだろうし。
「あんまり見くびらないでもらいたい! お前達、かかれ!」
あるものは槍を、あるものは剣を、あるものは鎚を。それぞれ構えて向かってくる。
「そっちこそ、あんまり私達をなめないことね」
アンナが魔法を発動する。
が、
「え!?」
その魔法は村人達に当たるものの、大した威力を発揮しなかった。
急いでアンナが上に飛び回避する。
しかし咄嗟のことで脚を切りつけられる。
「うぐっ」
「馬鹿め。ここは魔人族を捕らえるための場所でもあるのです。そんなチンケな魔法なんぞ、大聖女様が貼った結界によりなんの効果もなくなりますよ」
あ、これやばいやつかも?
魔法が使えないってことは物理的なことしか有効打が無くなるし、アンナは物理的な攻撃手段を持ってない。
「よし、危なそうだしやるか」
「あ、じゃあ任せる」
「は? ま、いいけどな」
きゃーいけめーん(棒)
本当にイケメンなのが困る。
「……そうね。」
アンナの返事に力がない。
「どうした、元気出せよ!」
「はあ? 私が100年以上生きてようやく最近扱えるようになった念話を、たった10数分でやってのけられた側の気持ちになってみなさいよ!」
「え、いや、でもこれは念話じゃなくて」
「同じよ!」
「うぅ」
「はいはい。喧嘩はしない」
タマが僕とアンナの肩に手を置く。
「アンナも、独学でやってたんだから凄いと思うぞ? アレンが誰にも教わらずにやってたらもっと時間かかってただろうしな」
「……そうかしら?」
「そうだとも。だから自信を持っていいと思うぞ?」
「……ありがとうございます」
……我慢だ。
少し怒りたいが、我慢だ。
もう15なんだ、大人にならないとな。
少し経って村長さんが戻ってきた。
「あれ? 一体どうやって」
馬が怯えていないことが不思議な様子。
そりゃそうだわな、さっきまでビクビクしてたんだし。
「その質問には答えられないが、これで無事出発できそうだ」
「ええ、そのようですな。もう今から出発なさいますか?」
「急ぎだしな。そうさせてもらうよ」
「承知しました。それでは村の者共を呼んできます」
「ん? ああ見送りか? 大丈夫だ。昨日あんなことがあって疲れてるやつもいるだろうし、ゆっくり寝かせてやってくれ」
「いやいやそういう訳には。恩人に対して無礼ではありませんか」
「ふむ、そうか? じゃあ早めにお願いできるかな?」
「もちろんでございます」
そう言って村長さんは、村人達が寝ているであろう地下の方に向かって走っていった。
「しかし、運が良かったな。ほかの建物はほぼ全焼してるのに、この畜舎だけは綺麗に残ってる」
「そうですね。尤も、動物達は逃げれたでしょうけど」
「???」
「あら? あー、アレンは知らないのね。ここ大聖女の領域内の辺境は」
アンナがそこまで話すと村長がやってきた。
「すみません。お礼の品々がございますので、ちょっとこっちに来てもらってもよろしいですか?」
「あー、分かりました」
このタマの「あー」はあれだろうな。
時間がないって言ってるのに連れていかれることに対しての呆れと、遠慮すると余計長引きそうなのを悟ったやつだ。
というわけで後についていく。
そこで協会?らしきものの前に辿り着いた。
ここも綺麗に残ってんな。
木造じゃない…石?
焦げ目もないな。
「ああ、龍様はそこでお待ちを」
そうだな、その巨体じゃ入れないし。
ルビアス
─ええ、でも─
大丈夫だろ
─なにかあればすぐに呼んで─
もちろん
扉をくぐるとそこは外見よりも広々とした空間だった。
正面の大きなステンドグラスには銀髪の美しい女性と、その女性と向かい合う藍白の鱗を持った龍が描かれていた。
「すごい……」
「おや、あなたはかの御方をご存知でないのですか?」
「…すみません」
「では、冥土の土産として教えて差し上げましょう。あの美しき女性こそ、我らの敬愛する大聖女様、メウス・アルニラム様でございます! そして向かい合う偉大なる龍が、我らが守護神、氷園龍 レヴィタスドゥヴィ様なのです!」
レヴィタスドゥヴィって…長いなー。
なんかもっと短い名前なかったのかな。
ん? てかその前になんか言ったよね?
冥土の土産? え、死ぬの?
「この協会は大聖女様自らのお力が備わっている。いくら龍と言えども、上位の存在でなければ壊すどころか傷をつけることすら不可能! まして龍のいない龍契者など恐るるに足らず」
「えっと、あの……どういう状況かわかんないんだけど」
「ああ、俺にもわからん!」
なにこの村長さんの変わりっぷり。
「理解できないですか。まぁそうでしょう、あの大魔女に与するような輩の低脳では分かりますまい。だがよい、貴方達はここで消えゆく運命なのですから!」
「え、大魔女に与する?」
「今更何を仰ります、その女を連れている時点で分かりますとも。その女、魔人族をな」
「あー、なるほど」
お、タマは分かったみたい。
それを聞こうと思った矢先、ぞろぞろと武装した村人達が四方八方から現れた。
どうしよう? 最初の村なのにこんな問題おこるとか。
仮にも襲撃にあったとこを助けた身なのに……
「タマさん、アレン。ここは…私に任せてもらえるかしら?」
「!!?」
お、アンナがやる気だ。
「俺はいいぞ。好きにやってくれ」
「僕も、いいかな」
やばかったらタマがなんとかするだろうし。
「あんまり見くびらないでもらいたい! お前達、かかれ!」
あるものは槍を、あるものは剣を、あるものは鎚を。それぞれ構えて向かってくる。
「そっちこそ、あんまり私達をなめないことね」
アンナが魔法を発動する。
が、
「え!?」
その魔法は村人達に当たるものの、大した威力を発揮しなかった。
急いでアンナが上に飛び回避する。
しかし咄嗟のことで脚を切りつけられる。
「うぐっ」
「馬鹿め。ここは魔人族を捕らえるための場所でもあるのです。そんなチンケな魔法なんぞ、大聖女様が貼った結界によりなんの効果もなくなりますよ」
あ、これやばいやつかも?
魔法が使えないってことは物理的なことしか有効打が無くなるし、アンナは物理的な攻撃手段を持ってない。
「よし、危なそうだしやるか」
「あ、じゃあ任せる」
「は? ま、いいけどな」
きゃーいけめーん(棒)
本当にイケメンなのが困る。
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