俺をとりまく彼女らからの愛が深すぎる
第14話 父さんと俺と
「学校が終わったら、寄り道をせずに家へと帰ってきてください」
久しぶりに家に帰って来るらしい父さんに、久しぶりに呼び出しを食らった。
俺は元来おとなしく、親の、特に父さんの言うことなら、否応なしに聞いてきた。
だから親に叱られるなんてことはあるはずもなく、以前呼び出しを食らったときは些細なことだった。
だが今回は事情が違う。
お見合い相手で超お嬢様の女の子の首を締める、なんて最低の前に殺人未遂まがいなことをしたんだ。
怒られるなんていう次元の話ではない。
俺はあれから花憐と一度も連絡をとっていない。
もちろん文通もこない。
おそらく彼女の両親にその話はいっていることだろう。
どんな処罰が下るだろう。
家を出ていけ、だろうか。
家族の縁を切る、だろうか。
なんにせよそれに見合うことをしでかしたのだ。
そのくらい受け入れて当然なのだ。
...帰宅後
俺は机を挟み、父さんと対面していた。
父さんは今年で40を越えるが、それを感じさせない若々しさで、その顔立ちだけで、高貴さを感じられるほどだ。
「座りなさい」
父さんは堂々とした態度で俺に命じた。
「はい」
俺は短く告げた。
父さんとの話はいつも緊張する。
風格が違うのだ。
「久しくですね。九路瀬」
「...お久しぶりです。お父さん」
しん、としている。
空気までもが父さんにかしずいている。
「学問はしっかりできていますか?」
「はい」
「友人を大切にしていますか?」
「はい」
「食事はちゃんと摂取していますか?」
「はい」
「宇都宮家のお嬢とはうまくいっていますか」
「...」
「...沈黙、ということはうまくいっていないのですね?」
「...はい」
俺はすべて素直に答えた。
父さんの前では嘘をつけない。
高貴なる獅子王の前では、どんな動物も無力だ。
「そうですか。おや、失敬。本題を言っていませんでしたね。話がそれるのは、年をとった証拠だ」
「そんなことは」
「いえ、ありますよ。あなたと前あったときも、紫音を石川に送ったときも、もうずいぶんとまぁ、前に感じます。あなたが大きくなるのも早い。紫音もね。と、そう。本題というのはその事です。」
紫音、というのは俺の妹の名だ。
例の能登送りの。
紫音、毎度言うがすまない。
それより...
本題が紫音のこと?
花憐じゃあないのか?
父さんは俺のことを誘導しているのか?
それともまた別の...
そのとき俺は1つの可能性を思い付く。
もしかして...
花憐は俺のことを何も伝えていないのか?
「そろそろあなたもある程度は女性と話せるようになったことでしょうし、どうでしょう。紫音をこちらに住まわせるというのは」
「...」
「おや、ご不満でしたか?我ながら妙案だと思っていたのですが...」
「あ、いえ。そういうわけではありません」
「そうですか。それはよかった。実はもう、紫音をこちらに向かわせてあるのです。明日にはつくでしょう。私は本日でまた仕事に戻らねばなりません。母さんをここにおいていきますから、そのつもりでよろしくお願いします」
「...はい」
「えぇ、それでは」
「あっ、あの...」
「?」
「あっ、いえ。何でもありません」
「そうですか。あ、そうだ。久しぶりに共に銭湯に行きましょう。背中を流し合いましょう。いやぁ、楽しみだ」
「えぇ、それは良い。ほんと、楽しみだ...」
生まれてこの方、感じたことのない気持ち。
胸がドキドキして、頭がくらくらする。
罪悪感で心臓を蜂に刺されたのではないかというくらい、じんじんする。
それでいてほっとする。
なぁ、花憐。
今お前は何を考えているんだ。
俺の花憐への恐怖はさらに高まった。
あの花は、目の届くところで眺めるに限る。
でないと近づけばトゲにささるから。
でないと知らぬ間に毒の花粉をばらまくから。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
お疲れ様です。
花粉と言えば、花粉症がましになってきました(なれ
もうすぐ妹、登場です。
レビュー、コメント、星、応援、フォローどしどしお待ちしております。
明日も1日頑張りましょう!!
          
久しぶりに家に帰って来るらしい父さんに、久しぶりに呼び出しを食らった。
俺は元来おとなしく、親の、特に父さんの言うことなら、否応なしに聞いてきた。
だから親に叱られるなんてことはあるはずもなく、以前呼び出しを食らったときは些細なことだった。
だが今回は事情が違う。
お見合い相手で超お嬢様の女の子の首を締める、なんて最低の前に殺人未遂まがいなことをしたんだ。
怒られるなんていう次元の話ではない。
俺はあれから花憐と一度も連絡をとっていない。
もちろん文通もこない。
おそらく彼女の両親にその話はいっていることだろう。
どんな処罰が下るだろう。
家を出ていけ、だろうか。
家族の縁を切る、だろうか。
なんにせよそれに見合うことをしでかしたのだ。
そのくらい受け入れて当然なのだ。
...帰宅後
俺は机を挟み、父さんと対面していた。
父さんは今年で40を越えるが、それを感じさせない若々しさで、その顔立ちだけで、高貴さを感じられるほどだ。
「座りなさい」
父さんは堂々とした態度で俺に命じた。
「はい」
俺は短く告げた。
父さんとの話はいつも緊張する。
風格が違うのだ。
「久しくですね。九路瀬」
「...お久しぶりです。お父さん」
しん、としている。
空気までもが父さんにかしずいている。
「学問はしっかりできていますか?」
「はい」
「友人を大切にしていますか?」
「はい」
「食事はちゃんと摂取していますか?」
「はい」
「宇都宮家のお嬢とはうまくいっていますか」
「...」
「...沈黙、ということはうまくいっていないのですね?」
「...はい」
俺はすべて素直に答えた。
父さんの前では嘘をつけない。
高貴なる獅子王の前では、どんな動物も無力だ。
「そうですか。おや、失敬。本題を言っていませんでしたね。話がそれるのは、年をとった証拠だ」
「そんなことは」
「いえ、ありますよ。あなたと前あったときも、紫音を石川に送ったときも、もうずいぶんとまぁ、前に感じます。あなたが大きくなるのも早い。紫音もね。と、そう。本題というのはその事です。」
紫音、というのは俺の妹の名だ。
例の能登送りの。
紫音、毎度言うがすまない。
それより...
本題が紫音のこと?
花憐じゃあないのか?
父さんは俺のことを誘導しているのか?
それともまた別の...
そのとき俺は1つの可能性を思い付く。
もしかして...
花憐は俺のことを何も伝えていないのか?
「そろそろあなたもある程度は女性と話せるようになったことでしょうし、どうでしょう。紫音をこちらに住まわせるというのは」
「...」
「おや、ご不満でしたか?我ながら妙案だと思っていたのですが...」
「あ、いえ。そういうわけではありません」
「そうですか。それはよかった。実はもう、紫音をこちらに向かわせてあるのです。明日にはつくでしょう。私は本日でまた仕事に戻らねばなりません。母さんをここにおいていきますから、そのつもりでよろしくお願いします」
「...はい」
「えぇ、それでは」
「あっ、あの...」
「?」
「あっ、いえ。何でもありません」
「そうですか。あ、そうだ。久しぶりに共に銭湯に行きましょう。背中を流し合いましょう。いやぁ、楽しみだ」
「えぇ、それは良い。ほんと、楽しみだ...」
生まれてこの方、感じたことのない気持ち。
胸がドキドキして、頭がくらくらする。
罪悪感で心臓を蜂に刺されたのではないかというくらい、じんじんする。
それでいてほっとする。
なぁ、花憐。
今お前は何を考えているんだ。
俺の花憐への恐怖はさらに高まった。
あの花は、目の届くところで眺めるに限る。
でないと近づけばトゲにささるから。
でないと知らぬ間に毒の花粉をばらまくから。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
お疲れ様です。
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明日も1日頑張りましょう!!
          
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