神の使徒、魔王卿となり平和を求む

こにユウ

ちょっとそれは想定外

俺はバース。ウォーグ家に仕える執事だ。師匠のおかげで、グリムともまた会うことができたし、副産物として、運命神の座ももらうことができた。それにより、グリムとの結婚に何の障害もなくなった。そう思い、満を持して、結婚指輪を買うことにした。

朝のうちにジーク様に休みをもらい結婚指輪を買いに行くことにした。指のサイズは100年前に婚約指輪を渡した時に測っているのもはっきりと覚えているから、それより少し大きめのサイズを買えば大丈夫だろう。

宝石店を見つけるのに、少し時間はかかったが、夕方には良いものが買えた。屋敷に戻ると、師匠とレイエル様がいた。

「おかえり、バースさん」

「はい、ただいま帰りました。」

「バース…なにかってきた…の?」

聞かれるか。さすがに
まぁ正直に話す訳もない

「休暇をもらい、お菓子を買ってきました。夕食までまだ時間がありますからお部屋でお召し上がりください。」

「おか…し!」

よし!レイエル様お菓子好きだからな。
念の為買っといてせいかいだった。

「お夕食はどのようにいたしましょうか?」

「今日お休みだったんでしょう?気にせずに今日は休んでください。僕が作りますから」

師匠はまだ人がいる前だとけいごなんだよな。神界や事情を知ってるいる人がいる時はともかく
などと考えてるいると1枚の紙を師匠はくれた。

「これは?」

「注意書きのようなものです、僕とレイが部屋に戻ったら読んでください。」

そう言って師匠はレイエル様と一緒に部屋へ戻っていった。
師匠が部屋に戻ったので、手紙を開くとそこには長文が書いてあった。

なになに

『バース。この手紙を呼んだら5分後転移する。』

え?

『せっかく2人一緒に地上に戻れたのに、バースは、ほぼ仕事ばかりで姿を見せないと、グリムさんが悲しい手紙を俺に送ってきた。確かに執事の仕事も大切だが、離れ離れであった婚約者と話をせず顔を見せないのは良くないということでレイが気を利かせて転移魔法でバースグリムさんをある場所へ送るそうだ。頑張れよ!』

なんだと!?
それはヤバい!どうすれば
するともう1枚小さな紙が出てきて
『P.S 指輪のことは、グリムさんには話してないから心配するな 』

「・・・」

見られていたのか気づかれていたのか。
まぁどちらにせよ…

猶予がねぇぇぇ!!
とりあえず執事服に着替えて服装整えて指輪を胸ポケに入れて、などとしていると足元に魔法陣が出来た。

「ちょっ…まっ…」

シュッ

目の前が光に包まれた。少しして目を開くと目の前にはグリムがいた。やべぇ…

「こんばんは。バース。」

「こ、こんばんは。グリム」

グリムはニコニコしているが、この笑顔は良くない!
すっげえ怒ってる!?

「そんなに怯えないでください。それにこの場所を覚えていますか?」

周りを見てみる。緊張と恐怖でそれどころではなかったがよく見ると、ここは俺が知っている場所だった一面に花が咲いており、とても美しい場所。グリムと見つけ、そしてグリムと離れた場所。しかし、おかしい、ここは俺とグリムが離れた時に俺が暴れて更地にしてしまったはずだ。強力な闇魔法を使っていたからもう二度と花など咲かないはずだが…

「ふふ、驚きましたか?ナーガ様とレイエルさんが私の手紙を見た後にすぐに転移していらっしゃいまして、それで事細かに色々聞かれ、その後、レイエルさんとナーガ様が全力で回復魔法を使ってこの場所を復元してくださったのです」

まさか俺が知らないところでそんな事が起きていたとは…

「師匠とレイエル様にはあとでお礼を言わないとな。」

「そうですね。ですが、その前に。バースその隠蔽魔法をといてください、ずっと展開し続けて癖になっているのは分からなくもないですが」

「あっ」

言われて気づいた。俺そういやまだ初老の爺さんの格好してたんだ。俺は慌てて魔法をといた。

「そうですね、やっぱりその姿の方が私は好きです。」

少し頬を染めながら言ってくる分には、やはり可愛いと感じた。
…よし!

「グリム、大事な話がある」

「はい。なんですか?10回目の別れ話でなければぜひ」

「・・・」

「なんでそこで黙るんですか!」

「ははっ、冗談だ」

少し涙目になりながらポカポカと俺の胸を殴ってくる少しずつ、肋骨にヒビが入ってくる程度だ。うん、大丈…  ゴフッ

「じゃあ、改めて」

「は、はい。」

「グリム、俺はいついかなる時も君を守ると誓おう。君とともに人生を歩み、君の幸せを守ると、ここに誓う。」

「・・・」

「俺と結婚してくれ」

そう言って箱を開いて指輪を差し出す。
それをする、グリムの顔を見ると、涙を流せながら笑っていた。これは多分泣き笑いというやつだろう。

「そ、その返事を聞かせてくれないか?」

「そ、そうですよね。」

そこでグリムは深呼吸をし、満面の笑顔で答えた。




「お断りします」



えっ?

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