神の使徒、魔王卿となり平和を求む

こにユウ

少し暴走するらしい

剣を出して俺は

「喰らい尽くせ。エレボス」

俺は静かにそう唱えた。その瞬間剣から闇そのものが吹き出し俺に向かってきた剣とそれを放出してした渦も呑み込んだ。

「戻れ」

闇が剣に収まると俺の周りと更には魔法卿の後ろの渦も消え去っていた。ついでに魔法卿の残りの魔力も喰らったので魔法卿は倒れた。よしこれで1人脱落だな。
そう思っていると剣が独りでに暴れだし
俺の右腕を落とした。

「ナーガ!何をしている!」

父さんが驚いていた。自分で自分の腕を切り落としたんだ。驚くよな。俺も驚いたし、二つの意味で…油断していたからか剣の闇に呑み込まれる所だった。これは封印だな。

「小僧。お前まさか片手で俺らに勝てると?」

青筋を浮かべて剣王卿が静かに言ってきた。

「いえ、お恥ずかしい話、剣に呑まれて
片腕を飛ばされたんですよ…」

「そ、そうか」

剣王卿も驚いていたが

「小僧、俺は降参だ。」

「「「なっ!?」」」

大罪卿に国王更には他の卿の人達も驚いていた。

「何故だ剣王卿!」 

「いや、あれには勝てぬよ。確証を持って言える。あやつ、先程からずっと本気を出しておらぬぞ?」

「さらに言うと魔法も身体強化も封印状態だしのぉ」

剣王卿の言葉に続くように魔法卿が言った。いや魔力もほとんど奪ったのに立ってるってどんだけタフだよ。

「腰抜け共め。だからどうしたと言うんだ。私はまだやるぞ。こんな小僧を卿にしてたまるか。」

やる気満々の大罪卿。しかしな

「えっと、片腕ないんですが?」

「…はい。」

相づちを打つようにレイが回復魔法で俺の片腕を治した。

「えー…」

何してはるん?俺、このまま降参するつもりだったのに

「降参…とか、ダメ…だよ?」

「はい…」

いつもの光景だ。俺はやっぱりレイには敵わない。

「ふん。醜女しこめにしてはよくやったぞ?しかしナーガよ。そんな女をそばに置いとくとは勿体ない。私のものにならないか?」

醜女?だれが?レイのことか?

「そやつは平民なのだろう?私と共にこい。不自由せぬ。暮らしをやろう。ただしその醜女は置いてこいよ?醜くて敵わん。」

「そうですね。とてもいい話だとは思いますよ」

「そうだろう。そうだろう」

大罪卿は嬉しそうだ。だが

「俺以外であれば」

「…なに?」

「俺はお前にはついて行かない。」

そう言うと俺は剣と刀をアイムボックスに入れる。
そして

今の全速力で大罪卿の間合いに入り、拳を放つ。けれど、手応えがない。どころか

「ガっ!」

頭を殴られ、ぶっ飛ばされた。まさかこの速さについてきたのか!?人外の域だぞ?

「不思議そうな顔をしているな?私も驚いたがそれだけだ。力を溜めていたのを見ていただろう?あれはな大罪のスキル、憤怒・嫉妬・傲慢・強欲・怠惰・色欲・暴食の条件をクリアするための時間だったんだよ。
私たちへの態度に憤怒し
お前の力に嫉妬し
お前に勝てると傲慢し
その力が欲しいと強欲し
仲間が戦っている間に動かないことで怠惰とし
お前を手に入れたいと思い色欲し
お前と戦う前に暴食した。
これで全ての条件をクリアし身体能力、魔法の他スキルが全強化された。お前は私に勝てない。そんな醜女、置いといて私と暮らそう!」

「言いたいことはそれだけか?」

「なに?」

レイには悪いけど
 

「我、内なる剣を以て…」

「悪あがきか。いいぞ待ってやる。」

気づかれてないな。よしよし

「神なるものの封印を切り裂き…」

「あんな詠唱、しらんぞ?」

魔法卿は困惑してるな、レイは

「えっ!?ちょっ…」

今気づいて焦ってるな。ごめんな。

「我が力、此処に解放す!」

バキン!

おっ封印が外れたかな。

「ナーガ!」

レイの方を見ると…うん。怒ってるなあれ。後で怒られるだろうなぁ。仕方ないか。

「昨日の…は、使っ…ちゃ…ダメ!」 

昨日の?
昨日の~昨日の~
あっ!神滅魔法か!

「わかったよ」

よしやるか!

「封印を解いたんだな。こい、相手してやる」

「悪いが少し痛い思いをしてもらうぞ?」

距離をとり、まず

「ファイアーランス
 ウォーターランス
 ウィンドランス
セイクリッドランス
  ダークランス」

多種のランスを出し

「掃射!」

打ち出す!
 
全弾避けるのは想定内。
そのうちにアイテムボックスからレイホワイトナイトを取り出し、身体強化を全力で使用して接近。そして

「レイを悪く言ったこと後悔しろ。」

「えっ?」

「深奥流剣術秘伝…」

剣に魔力と神気を纏わせ神速で相手を切り刻む技

光月の型・羅刹こうげつ    らせつ

俺は羅刹を放った後、大罪卿から距離を置いた。周りには、というより大罪卿自身も何が起きたのか分かってないだろう。

「貴様、私に何をした?」

少しして異変が出始めたのか大罪卿が聞いてきた。しかしここでは答えない。レイを悪く言ったんだ。少しは反省してもらおう。

「ナーガも大罪卿もどうしたんだ?2人とも動かないが」

「違…う。」

レイ、補足お願いします。

「ナーガ…は、動か…ない…の。大罪卿…は、動けない…の。」

「どういう事だ?」

「ナーガ…の、技の…影響…で、大罪卿は…動けない。ナーガは…それを…眺めてる」

眺めてるってそんな人を悪者みたいに…

「どういう技なんだ?」

「それ…は、ナーガが…話す。」

レイの話が終わって皆俺に注目する。仕方ない。ネタばらしだ。

「では、説明しますね。簡単に言うと大罪卿を神速で切りつけてその傷口に害の無い魔物を埋め込んでさらに精神操作系の魔法で感覚を増幅させました。それと…」

それを俺が言った瞬間大罪卿はナイフで腕を切り裂いた。俺が切ったのは早すぎて傷にすらなってないからな。

「それと、無理に取ろうとすると魔物が活性化するので注意してください…って言おうとしたけど遅かったですね。」

俺の目の前にはなんとも言えない気持ち悪さで発狂している大罪卿がいた。あーぁ。あんなにして俺もあの魔物たちの見た目はあまり好きじゃないから見たくないのに…

「お願いします!!!早く解いてください!私の負けです!!!だから!!!だからぁぁ!!」

あんな生物が体の中でうごめいてるのは感触的にも精神的にも嫌だろうな。ちなみに痛いのは体もだが下手したらこれ精神病むしな。

「『解除』『リフレクション』」

解除で魔物たちを消し去り、回復魔法リフレクションで傷の回復、後遺症の回復、精神の回復を行った。大罪卿は線が切れた人形のように倒れた。

静寂が流れ、

「し、勝者、ナーガ!」

国王がそう宣言した。しかし拍手をくれるのはレイだけだった…

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